フローレンスの認定の是非を問う ② 「政治活動」の成果?の不公平な公金分配
2024年1月15日
(1/23修正)
1回目記事はこちら。ふるさと納税について。
2回目から「認定NPO」としてフローレンスがふさわしいかどうかというテーマで論評してます。この記事は禁止されている政治活動をしてるんじゃないの?という論点です。
今回は3回目(シリーズ2回目)。
当初は前半・後半で構成する予定でしたが、何回かに分けることにしました。
今回はフローレンスグループが文京区内でふるさと納税及び一般財源を使って主催している「こども宅食」事業について。
禁止されているNPO等による「政治活動」の結果が、問題ある公金分配という形で表れているのではないかという論点です。
1、前置き
① NPO等に対する食料品等の寄附について
NPO等への現物寄付が割と最近になって目立つようになったのは、2018年に農水省がフードバンク等への寄附の際の損金算入について、考え方を示した影響も大きいようです。
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/foodbank/pdf/foodbankzeisei.pdf
2021年に財務省が「こども食堂への寄付等も同様」との見解を示したことも後押しになっています。
詳説はしませんが2016年の「廃棄カツ転売事件」以降、食品製造会社の廃棄コスト(手間暇含む)が高くなっており、「捨てるよりも誰かが引き取ってくれた方がいい」という需要が高まっていた時期で、時勢にマッチした考え方ではありました。
フードロスの軽減にも役立ちますし、お困りのご家庭も助かりますし、結構なことだと言えるでしょう。
② NPO等による食料支援事業について
フードバンクというのは主に企業からの寄付物品等を集積して、倉庫等でお困りの家庭向けに無償提供する方式のサービスです。
こども食堂というのは主にお困りの家庭向けに食事を無償提供するサービスです。
宅食というのは、お困りの家庭に対して無償で物品を送るサービスです。
いずれの形態であっても、間にNPO等が入ることで円滑な支援が可能になり、行政、企業、お困りの家庭、三者それぞれにメリットを示せる支援の在り方ではあります。
フローレンスグループでは一般社団法人こども宅食応援団にて文京区の、ひとり親家庭等をターゲットに、企業から集めた食料品等を送る取り組みをしています。
「申込実績」とあるように、対象世帯からの申し込みに応じて配送がなされるようです。
2、文京区こども宅食事業に見える不公平な公金分配
① 「お金配り」について
本件事業は文字通り、食料品等を届けるのが主な目的です。
しかし一方で、2020年度にはクオカード1万円とおこめ券8,800円分を文京区の一般財源から、
2021年度には図書カード2千円分を一般の方の文京区への寄付金から、
2022年度には図書カード1,000円分を一般の方の文京区への寄付金から、クオカード1万円分を文京区の一般財源から、
それぞれ利用者に向けて配っています。
クオカードにしても図書カードにしてもおこめ券にしても、広義では「現金同等物」と呼ばれる金券であり、現金とほぼ同じです。
宅食事業の経費の大半は文京区へのふるさと納税が原資です。その集金にはフローレンス自身の広告宣伝が大きく寄与しています。それで単純に文京区内への宅食事業だけを行うのであればいいでしょう。
しかしそれに加えて、さらに一般財源等から宅食との関連性が薄く必然性もなさそうな「お金配り」の原資を出すことが適当なのかは疑問です。
② 本件「お金配り」の問題点
宅食事業の申し込み要件を満たすご家庭であっても、宅食の需要がないため申し込んでいないというケースもあるはずです。
しかし当然ながら汎用性の高い金券であれば欲しいと考える方が大半ではないでしょうか。
令和4年度にこの金券が配られたのは約730世帯とのこと。
サービスが始まった2017年当初のターゲット層は1,000世帯だったそうですが、
現在では対象となる世帯は拡充されているようなので、ターゲット層は多くなっているはずです。
(その割にサービスの申込者が伸び悩んでるのはよくわかりませんね。)もちろん公平性の問題なので、取りこぼしが少なければこの対応が是認されるというわけではありませんが、730世帯という数字は宅食の申込要件を満たす世帯の総数をあまりカバーできていないのではないでしょうか?
何故特定の民間事業者が主催するサービスの(もしかしたら少数の)加入者だけに公金から金券が配られたのでしょうか?
また、図解したように、宅食サービスについてはNPO等が間に入ることに一定の蓋然性があります。
しかし金券の送付については、民間事業者のサービスに自治体が相乗りする必然性がありません。
特定の民間事業者が行っているサービスの加入者にだけお金を配るというのは、「同じ境遇の方であれば誰でも公平に」という行政サービスの考え方から逸脱しており、非常に問題だと思います。
他の自治体でも金券を困窮世帯に配ることはありますが、基準を満たす世帯に対して扱いに差をつけるというのは聞いたことがありません。
フローレンスグループがお金を配ると言ったから予算が出たのか、こども宅食事業の予算からお金を配って文京区がこれを追認したのかはわかりませんが、フローレンスと区政との密接な関わりが関係しなかったと考えるのは難しいかもしれません。
③ フローレンスと区政との関わり
文京区の政治家とフローレンスがどのように関わっているかを、2023年の統一地方選挙の時の活動を通して見てみましょう。
まずは区長候補の推薦活動。
候補者(現職の区長)が任期中にフローレンスグループの活動を後押ししたことについて絶賛しています。
結果は5万票の得票で当選。対立候補の得票は4万票。
続いて、区議の推薦活動。こちらは駒崎氏の公式サイトにもリンクが貼られているNoteで行われています。
同じように候補者(現職の区議)が任期中にフローレンスグループの後押しを積極的に行ったことを評価しているようです。
結果は2290票を得票し、当選。最下位当選者の得票が1,540票、トップ落選者の得票が1,197票です。
駒崎氏の後押しがどの程度得票に結び付いたのかはわかりませんが、現職区長・区議の候補者が、区で特別な立場にあるNPOグループに対して非常に協力的であり、そのトップから応援を受けたというのは事実のようです。
2023年4月に行われた選挙は任期満了に伴う統一地方選ですから、前もって時期は予測できます。
話を元に戻しますと、これ以前にクオカード1万円分が配られたのは2022年8月のことです。
これがただの自治体からの配布物であれば、受け手側もそれほど意識はしないとは思いますが、これは他の困窮家庭には与えられない、フローレンスグループが主催するサービスに申し込んだ者だけに与えられた特典です。
そして、その記憶が残っている時期に、フローレンスグループのトップが名指しで候補者を推薦したわけです。
お金配りは有権者の投票行動にまったく影響を与えなかったのでしょうか?
選挙期間から8ヶ月「しか」空いていないのか、8ヶ月「も」空いているのか、人によって解釈が異なりそうです。
3、まとめ
駒崎氏の「政治活動」は団体の活動と同一視されて然るべきだという私の考えは前回の記事で示しました。
上記を踏まえて再度、フローレンスが禁止されている「政治活動」を団体として行っていないのかを東京都に判断してもらいたいものです。
併せて、本件に法的な問題がないかを都内のNPO等を所管する立場と、選挙を管理する立場の両方で判断してもらえればより良いと思います。
2023年の夏に決まったフローレンスの認定継続が適切だったのか、次回の記事ではまた別の側面からも見ていきたいと思います。
以上
その他 宅食事業の支援パッケージの中身
気にはなりましたが調べようがないのでとりあず書き捨てておきます。
購入した食料品等は18,894個で全体に占める割合は12.9%、価格は17.7百万円であったとのこと。
17.7百万円 ÷ 12.9%で寄付物品全体を売価に換算した場合の食料品等支援総額がわかるはずです。
概算で137百万円ということでしょうか?
これを4,702個の支援パッケージに分けて配送しているそうなので、137百万円÷4.7千回で概算できる支援パッケージの単価は平均で29千円/回?
単価高すぎない?化粧品等が混じってるのが単価を引き上げてる?なんだかよくわからないな?と思いました。
しんぐるまざぁずふぉーらむの宅食支援費単価も月によっておそらく化粧品の有無で3,000円~5,000円から数万円に跳ね上がる時があったんで似たよう事情なのでしょうか?
化粧品の現物寄付を時価で受け付けて高額な寄付の領収書を切っているのかもしれません。もちろんそれが駄目というわけではありませんが。
変更履歴
1月23日 次回予告消しました。
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