フローレンスの認定の是非を問う ① 団体が「政治活動していない」は苦しそう

2024年1月13日
(2/16加筆修正)

昨年末以来、フローレンスについては様々な方が調査・言及なさっており、色々と良くないところが見えてきました。
まず初めに言っておくと、フローレンスさんが特に保育事業を通じてここまで大きくなったことは、政治家へのロビー活動の効果だけだと断じることはできず、やはりそのサービスが受け入れられる土壌があったのだとは思います。
良いところと悪いところを分けて考え、是々非々で論評することを心掛けるのが良かろうと思います。

フローレンスを「悪」として断罪しているかのような言説が目に付きますし、またそう言った発言をする方々は事実を一部誤認されている方も多いようです。お気を付けください。

ただしそれはそれとして、全国5万件を超えるNPOの内のたった1,200件しかない認定NPOの所業としては見過ごせないことも多々ありますので、こうしてまとめてみた次第です。

なお、東京都のNPO法の運用方針において、NPOは『市民のチェックによる緩やかな監督、あるいはそれに基づくNPO法人の自浄作用による改善、発展が期待』されていることについてご留意ください。本件はこの方針に沿った指摘です。

あと参考までにこれ前回の記事です。ふるさと納税の件。

1、前置き

① 認定NPOとは何か

  • 認定NPOのことを物凄くざっくり説明すると、自治体が太鼓判を押したNPOです。

  • 寄付者が寄付をする際に控除が受けられるため、集金しやすいのが大きな特徴です。控除の仕組みはふるさと納税の似た感じだと捉えて問題ありません。

  • 先述しましたが、NPOは全国で5万件以上存在しています。全国のコンビニの数が6万件弱みたいですから、匹敵する計算です。

  • その内の約1,200件が「選ばれし」認定NPOになります。フローレンスはその中の1件ということになります。

  • フローレンスを管轄する東京都は何だかよくわからない理由で非認定処分を下したり、申請団体に認定申請の取り下げを迫ったりするなど、対応を疑問視されていたりします。

  • 以下、ご参考。

上記国会議事録より一部抜粋

② NPOの政治活動について

  • これは色々なところでリンクが貼られていますが、NPO法人・認定NPO法人の政治活動に関する内閣府のQ&Aです。

  • ご存じの方も多い通り、認定NPOは政策提言等は別に行っても構いませんが、特定の政党や政治家や候補者を推薦・支持したりしてはいけません。

上記リンクより

2、フローレンスは「政治活動」をしているかどうか

  • 暇空さんが動画にまとめています。

  • これについて少し補足したいと思います。

① 「個人の活動です」という説明

  • 色々な方々から問題視されているのが元代表者、現CEOの駒崎氏による選挙応援活動です。

  • 一例として前回の東京都区議選の記事。

  • これが「特定の公職の候補者を推薦」という政治活動に当たることに誰も異論はないでしょう。

  • 問題はこれを駒崎氏個人の活動と見なすのか、フローレンスのCEOとしての活動として見なすのかということです。

  • ご本人も問題になり得るということを認識しており、こんな注釈を入れています。

上記リンクより
  • 暇空さんも動画で指摘している通り、「個人の意見です」だけで団体の政治活動を制限するルールを有名無実化することが許されるわけはありません。

  • この「政治活動」を個人の活動と言い切れるか、やはり団体の意志が一定程度反映されているのかを考察してみましょう。

② 「政治活動」の主体の考察

  • 駒崎氏はNote 及び ご自身の公式サイトで当該「政治活動」の情報発信を行っています。

  • 公式サイトの方に手がかりがありました。

  • まず、「このサイトについて」

上記リンクより
右上「お問い合わせ」
右下「プライバシーポリシー」にも注目
  • 企業サイトなんかによくある免責事項です。駒崎氏個人だけでなくフローレンスの責任が免責されることが書かれています。

  • 少なくともサイト上での情報提供をきっかけに何らかの被害が発生した場合、フローレンスに対して責任が及びかねないことを認識しているようです。

  • 続いて画像右上の「お問い合わせ」の遷移先。

  • フローレンスのお問い合わせ先に繋がります。駒崎氏のサイトに関する問い合わせについてもフローレンスが対応している様子です。

  • 続いてプライバシーポリシー。

上記リンクより
  • このサイトは言うまでもなく駒崎氏の個人サイトという体裁ですが、フローレンスの個人情報保護方針が記載されています。

  • もう少し言葉を加えると、プライバシーポリシーとは2022年4月に改正された個人情報保護法に基づき、個人情報保護を推進する上での考え方や方針を対外的に明確化するために企業サイト等に掲示されるものです。

  • 駒崎氏個人は個人情報取扱保護事業者には当たらないと思われますが、フローレンスは該当します。

  • 駒崎氏個人の公式サイトからの個人情報を含んだ問い合わせを受けた際、対応するのがフローレンスだからこそ、駒崎氏個人の公式サイトに別人格のフローレンスのプライバシーポリシーが掲載されるという珍妙なことになっていると解釈せざるを得ません。

  • 以上の通り、サイトの情報が原因で何らかの問題が生じた場合はフローレンスに責任が及び得ると認識していること、問い合わせ対応をフローレンスが行っていること、サイトを通じて入手した個人情報を扱う主体がフローレンスとなっていることを踏まえると、政治活動を行う駒崎氏とフローレンスは一体で不可分の存在と解釈するのが自然だと思われます。

③ フローレンスによる駒崎氏個人サイトの宣伝

  • 上記だけでも十分だとは思いますが、極端な話をするとフローレンス側が「駒崎氏が勝手にやってるだけ」という言い訳をする余地がないこともありません。

  • しかしフローレンス側が駒崎氏の活動を推進している証拠があります。

  • 上記のリンクはフローレンスがGoogleに出している膨大な広告の一覧です。

  • その中には駒崎氏の個人サイトも含まれています。
    (ツイッターでこのことを指摘している方がおられました。教えていただきありがとうございました)

上記リンクから前回の区議選区長選があった時期を絞り込み。
(個人サイトで候補者の支持・推薦を表明していた時期)
  • 団体が出稿している広告先でトップが政治活動を行っているのに、「団体は無関係だ」と言い逃れるのは常識的には難しいと思います。

※2/16加筆
1/13の本件記事の公開時は確認できていた当該広告について、1/22時点で確認できなくなった様子です。

急ぎ広告の出稿は取りやめた可能性が高いですが、逆に「まずいことをしていた」という証拠になるような気もしますね。

3、まとめ

  • 以上の通り、随分前から駒崎氏は選挙の度に特定の候補者を大々的に宣伝しています。

  • それは「駒崎氏個人の政治活動」という体裁ではありますが、その情報発信媒体をフローレンス自身が管理し、また広告の出稿まで担って宣伝しているようです。

  • NPO法で制限される認定NPOの政治活動に抵触しないと考える方が難しいのではないでしょうか。 

  • 冒頭で示した通り、東京都の認定NPOの認定は基準がよくわからないとの批判もあります。

  • 一方で少し調べればすぐわかる程度に堂々とフローレンスは政治活動を行っているように見える他、続きの記事で述べますが認定NPOとして相応しくない行為を色々としていますが、2023年夏に無事に認定NPOの認定を更新できています。

  • 東京都の認定NPOって政治力があればなれるし、問題視もされないけど、そうじゃない団体には厳しいんじゃないの?と批判されても仕方がないような気がしますが、どうなんでしょうか。

以上

以下、2/16追記

① サイトドメインの所有者

  • 上記に「駒崎弘樹公式サイト」のURLを打ち込むと、ドメインの所有者がフローレンスであることがわかります。

  • 団体が用意した場で行う政治活動を「個人としての活動」と言い張るのは無理があるように思えます。

変更履歴
1月16日 タイトル変えて次回予告消しました。
2月16日
フローレンスが「駒崎弘樹公式サイト」の広告を取りやめた可能性について追記。
駒崎氏の活動をフローレンスが支援している可能性について材料を記事の下に加筆。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?