小学生に走り方を指導してわかった、伸びる子と伸びない子の違い
初めまして。大学生のあかいしと申します。陸上のインストラクターを3年間しております。主に小学生・中学生に走り方を教えています。
自分で言うのも大変恐縮ですが、今まで指導してきた生徒の親御様には「教え方が上手で、子供が走ることを好きになってくれた」、「走りが速くなり、運動会(体育祭)でも良い結果を残せた」、など評価を頂いてます。とはいえ、まだまだ未熟者ですが・・・。
今後noteでは、速くなる走り方のコツなどを綴っていこうと考えています。よろしければ、読んでいただけると嬉しいです。
今回は初投稿なので、「小学生に走り方を指導してわかった、伸びる子と伸びない子の違い」をまとめていきます。
私の主観的な意見であり、とりあえず文章に起こしてみようと思って書いてみました。初投稿なので、拙い文章になりますが、自分なりにまとめましたので、読んでいただけたら幸いです。
また、伸びるという抽象的な言葉を使っていますが、ここでは「足が速くなる成長スピード」という意味で使っています。
伸びるか伸びないかの5つのポイント
私が思う伸びる子の特徴を5つまとめてみました。
1. 大前提「親の気持ち」か「子の気持ち」か
2. どれほど子どもが自分事で考えられるか
3. 基本を無視して、応用を求めてしまっていないか
4. 周りを気にしすぎてしまっていないか
5. 一度の練習<日々の練習を意識できているか
それでは、上記の5つをポイントを詳細に綴っていこうかと思います。
1. 大前提「親の気持ち」か「子の気持ち」か
「私の子どもは、いつも運動会ではダメな結果ばかりで。もっと速く走るには、どうしたらいいでしょうか?」
このようなお問い合わせをとても多く受けます。
親御様の「運動会で活躍している子どもの姿が見たい」という気持ちはわかります。
ただ、このようなお問い合わせの三分の一ほどは、親御様の気持ち優先です。
というのもお子様が、「運動会で1位になりたい」、「リレーの選手になりたい」、「速く走りたい」という気持ちになったので、お問い合わせしてくださったというわけではないんですね。
あくまでも親御様が、「今の走り方はいけない、次の運動会までに早急に走り方を直して良い結果を出せるようにしなければ」という気持ちからお問い合わせしているわけです。
親御様のお子様に対する気持ちはとてもわかるのですが、やはり練習する際に伸びる子は自ら速くなりたいと考えている子の方が、圧倒的に伸びるスピードは早いです。
例として、自ら速くなりたいと考えている子とそうでない子の特徴を紹介します。
初めての練習の際に、私は絶対に覚えて帰ってほしい基本の走り方10個のポイント(とても覚えやすいものです)を教えています。練習の終盤にはだいたい全員覚えられます。
自ら速くなりたいと思っている子は、忘れてしまったポイントを聞きに来て、練習が終わった後に自らメモを取ることが多いです。反対に、親御様に連れてこられた子は、練習中うわの空になっていたり、終盤になっても大事なポイントを忘れたままにすることがあります。
この違いは、意識の問題です。親に連れてこられる=「やらせれている」、自ら速くなりたいと考えている=「自らやっている」ということです。
やはりこの「やらされている」人と「自らやっている」人との差は大きくあります。
きっとこれは、短距離の練習だけでなく勉強や今後の人生にも大きく左右することだと思います。
ではどうすればよいか??
まずはお子様としっかり話し合うことを大切にしてみてください。とても単純なことですが、これをやっていない(やっていると思いこんでいる)親御様は多くいます。
運動会の後であれば、「よく頑張ったと褒める・今の気持ちはどうなのか(嬉しいのか悔しいのか)・今後はどうなりたいのか」等を話し合ってみてください。ポイントは、質問をすると言うよりもお子様の話を聞いてあげることです。質問ばかりをしていくと、こちらの聞きたいことしか聞けずお子様の本当の気持ちを聞くことはできません。ですから、しっかりと話し合い、お子様の本当の気持ちを聞いたうえで練習に参加するだけで、今後の伸びしろは大きく変わります。
もちろん走るのが嫌いなお子様に対して、走ることを好きになってもらえるように練習を組んでいくこともできます。お子様をやる気にさせるのも私たちの仕事だと思っておりますが、練習を始める前は、親御様の気持ちを先走らせるのではなく、しっかり話し合ってみることが大切です。
(今後、基本の走り方10個のポイントや走ることが楽しくなるような練習などのnoteも書いてみます。)
2.どれほど子どもが自分事で考えられるか
2番目は、「どれほど子どもが自分事で考えられるかどうか」です。
まず、初めに自分事とはなんなのか?
辞書では「自分に関係ある事柄」とあります。
すなわち、練習等を取り組む際に「どれほど練習が自分に関係あることなのだろうかと考えられるか」ということです。
たまに走り込みなどの練習をしていると、体力的に辛くなった生徒から
「コーチは見ているだけで良いよね。楽してて羨ましい。」
と言われることがあります。
この発言を聞くたびに「この子は今やっている練習を自分事と捉えていないな」と感じます。私は練習メニューを考える際に、今後の運動会や陸上大会などのイベント、季節、その日の天候・気温、生徒の体調やモチベーションなど様々な情報を吟味して、どのような練習をしたら良いか考えます。
生徒の走りをより良くするために今はどのような練習が良いかを考えていても「辛い練習はやりたくない」、「やらされている」の状態になっちゃう子が多いです。
この練習は自分が速くなるための練習であるということを意識せずに練習に取り組み始めると次第に練習が”自分のため”ではなく、”やりたくないけどやっている”になってしまします。そうなると結果的に、大前提である「自らやっている」という意識もなくなってしまい、上記のような発言が出始めます。(その場合、個人的には子どものためにも無理して続ける必要はないと思うのですが・・・。)
他にも、
1. 子どもの上手くできない動作(腕振りなど)を指摘すると、改善しようとするのではなく、他にできない子を探し始める。見つけると、自分以外にできない子はいると主張する。
2. 私は、子どもが主体的に練習に取り組めるように練習前にそれぞれ今日の目標を聞いているが、何も答えられない。毎回の練習後に動きの良い点・悪い点を本人にも伝えているが、1つも覚えていない。
3. 50メートルと100メートルを毎回計測しているが、自分の自己ベストタイムを知らない。
などの特徴が見られると自分事として練習に取り組めてないことが伝わります。
このように生徒がならないためにも、インストラクターとして取り組んでいることもいくつかあります。(今後、またnoteに書いてみます。)
しかし、何より大事なのは、毎回の練習などを自分のために今日も頑張ろうと思える子は確実に伸びます。練習になぜ参加するのかをしっかり考えることはとても大切で、考えられている子はもちろん他の子よりも圧倒的スピードで伸びていっています。
3.基礎を無視して、応用を求めてしまっていないか
「私の子供は、走り方がなんか変で。特に腕振りがおかしいかなと思うので、腕振りを中心に指導してください。」
初めての練習に参加した際に、このようにリクエストしてくださる親御様がいます。
しかし、前述したように初めての練習の場合には、私は基本の走り方10個のポイントを教えてから練習を進めていきます。10個の中の1つに「姿勢を正しく走る」というのがあります。変な走り方になっている根本的原因が姿勢にあると親御様にご説明すると、納得してくださります。ですが、やはり家に帰ると腕振りが気になりだして、どのようにしたら腕振りが綺麗になるのかを調べ、姿勢のことは何処へやらというケースがありました。もちろん、相対的にその子のタイムは他の子に比べて伸びにくいです。
上記は一例ですが、親子ともに練習を重ねるにつれて、基本的動作の大切さを忘れてしまう傾向があります。10個のポイントすら忘れて、今の現状では足の切り替えをもっと速くしなくてはいけないのでは?と聞いてきたりすることもあります。
はっきり言いますと基本・基礎ありきの応用です。速くステップアップしたい気持ちはわかりますが、「基礎は一度覚えたのでもうやりません。」というのは、今後伸びなくなる典型例です。
基礎を何度も繰り返し、前回よりも上手になるよう自らのアップデートを繰り返してください。その上で一定のレベルを達したら同時並行で応用的な技術練習も行う。
基礎力・基本力 > 応用力 というのを忘れないように。
4.周りを気にしすぎてしまっていないか
上記の記録は、2016年度の全国の体力・運動能力調査の結果です。公開日は去年の10月で一番最新のものです。下記がURL。
例えば小学5年生(11歳)の男の子の平均が、データ上では8.79秒です。自分の息子が全国平均より遅ければ憂うし、速ければ喜びますよね。しかし、本質的に大事なことはそこではありません。
「平均のタイム=一般的なタイム」という考え方を意識する必要はないと思います。
全体の平均が一般的なタイムという考え方は念頭から消すべきです。平均タイムは平均のタイム以上の何物でもなく、そうなんだというくらいでいいのです。
本当に大切なことは平均タイムより速い遅いで一喜一憂するよりも、自分(子ども)の現状(50メートルのタイム、走り方)から、どのように今より速くなるのかを考えることです。
平均タイムを切るということを目標に挙げることはかまいませんが、多くの人が平均タイムより遅いことをマズイと思い込み、焦って飛び級をしようとします。例えば、3つ目のポイントに関連付けるならば、今は基礎的動作をマスターすべきなのに平均タイムを切らなければと思い込み、基礎を飛び越えて応用テクニックばかりの練習をこなそうとします。そうなると言わずもがな、結果は出ません。
同様に、ライバルに一刻も早く勝ちたいと思うばかりに今すべき練習を飛び越えてさらに高レベルの技術習得をしようとするなどのケースもあります。
今の現状から適切な目標を立てて、進捗状況を確認していくという姿勢を忘れてはいけません。
比較すべきは周りではなく、現状と目標とのギャップです。
そのことを忘れないようにすること、周りを気にしすぎないようにすること(情報として知っておくくらいにする)を注意しておいてください。
5.一度の練習 < 日々の練習を意識できているか
私が指導する陸上教室の生徒様は、基本は週に1日、多くても週に2日のご受講です。
はっきり申し上げますと、たいていの親御様もお子様も、1週間に1度の練習のみを通い続ければ足は速くなっていくと考えている方が非常に多いです。
もちろん速くはなります。しかしながら、ここに伸びる子と伸びない子の大きな差があります。
陸上教室で教わるというのは、いわばインプットとアウトプットを同時に受けられ、その場でフィードバックを貰えるという一度に多くを学べる場所です。
そのような環境下で、一番のデメリットは時間に限りがあることです。
私の所属している陸上教室では、練習時間が1時間のみです。
1時間の間に、走り方を学び(インプット)、実際に走り(アウトプット)、そしてインストラクターからフィードバックを貰うというのは、とても時間が短くあっという間です。
ではどうすれば良いのか?
語弊を恐れず言わせていただくと、陸上教室ではインプットとフィードバックに徹することを意識して欲しいです。
すなわち、1時間の間に走り方の基本や自分の走り方の良い点・悪い点、新たに教わった点などをしっかり学び(インプット)、実際に走ってみる(アウトプット)、そしてどうだったかをインストラクターに説明を受ける(フィードバック)という一連の中のインプットとフィードバックに重きをおいてください。
もちろん、実際に走るアウトプットの面は手を抜いていいというわけではありません。そこで手を抜くとよいフィードバックを貰えないので、アウトプットは真剣に行ってください。
ただ、ここで私が言いたいのは、陸上教室では学びを重視で取り組み、陸上教室以外(日常生活)で走る際にどれほど意識して走れるか(アウトプット)がとても大事です。
インプットは陸上教室内でしかできませんが、アウトプットはいつでもできます。1週間のうちのたった1時間のみだけにアウトプットを頑張るのではなく、1週間をフルに使ってアウトプットをしてみてください。
練習以外で走る際に意識して走っているかと聞いた時、教えている9割以上の子どもがなにも考えず全力で走っていると答えていました。もちろん、週に1度でも走り方を教わるだけで足は速くなります。しかし、練習以外の時(鬼ごっこしている時や体育の授業など)にも意識して走ってみたという子は、圧倒的に足の速くなるスピード、成長速度が他の子と違います。
このように練習で教わったことを練習以外でもアウトプットする、そしてまた練習でフィードバックをもらい新たな知識を得るというループをこなせることこそが、成長速度が速く伸びる子供の特徴です。
まとめ
「小学生に走り方を指導してわかった、伸びる子と伸びない子の違い」という題で話を進めてきましたが、上記5つをすべて意識して練習に取り組んでいる子は、まずいません。かなり一握りです。しかし、しっかりと意識して取り組んでいる子どもはその分だけ、結果が出ています。これは、間違いありません。
1つ私の教え子の例を挙げると、勉強はできるが運動が苦手な子が意識して走る練習をした結果、今では運動会でリレーの選手になり1位を導いたクラスの人気者もいます。
お子様がいらっしゃる方はぜひ今回紹介しましたポイントを意識してくださると幸いです。
また、今回の内容は子どもに限らず、成長する人としない人との差ではないかなと思います。ぜひ、大人の方も参考にしてくださると嬉しいです。
さて、今回は私の個人的な考えをまとめさせてもらいました。長く拙い文章ですが、最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございます。
今後は、具体的な速くなる練習方法や走り方などをnoteに投稿していこうと思っておりますので、参考にしていただけると幸いです。
運動会シーズンだと思うので、多くのお子様が活躍できるよう応援しております。
走り方など詳しく聞きたい方・相談したい方はぜひお気軽にご連絡ください。
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