#10 少しづつ出来上がる台本は当て書き
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高麗さんは当て書きする脚本家で演出でもあった。
高麗さんから少しづつ台本が届く
高麗さんから少しづつ台本が届きだし、本読みを始める。
どんな話かざっくりと紹介すると
といったところまでだが、この突然入ってくる
見知らぬ女性=キーマンの役が私だった。
菖蒲さんからのいじめがはじまる
今までもちょっとしたイビリのようなものはあったが
この時期、私に対する本格的ないじめのようなものが始まった。
『今回は月白さんが主役ですから』
『この場面、月白さんにどう捉えるか聞いてみたいんですけど・・(あ~あんたにゃわからないか、という態度)』
『月は高麗のお気に入りだからね~~』
などなど、ことあるごとに私の名前をだして突っかかってくる。
今まで、菖蒲さん大好き!のスタンスで来た私に対して
あまりにもひどい仕打ち。
他の劇団員も私ほどではないが、足を引っ張るな!とばかりに怒鳴り散らされている。
稽古帰りには打ちひしがれた面々をナンバー2の青竹さんが率いて飲み屋で菖蒲さんバッシングで盛り上がるのが常になっていった。
小劇場の公演では役者は演じるだけではない。
小劇場の劇団は皆で創り上げると言っても過言ではない。
もちろん、台本は脚本家の高麗さんしか書けないのだが
その他、チラシ・ポスターの構成や依頼、照明さんや音響さん、舞台監督さん・大道具や小道具、衣装の手配やスケジューリング
出来上がったチラシやポスターを置いてもらえるお店まわりなど
やることが山ほどある。
今まで芝居だけしてればいい事務所所属だった私にとっては
なんでこんなことしなくちゃいけないの?といった雑用もやらされる。
こういった雑用に菖蒲さんはあまり加わらず
芝居だけではない話し合いを劇団員だけでする機会が増えていき
親睦を深めていったのは必然だった。
飲みに行くのが日課となる
青竹さんと飲みに行くのは街の裏通りの
小料理屋風の居酒屋が多く
珊瑚さんから誘われる日は繁華街の踊って飲める、とにかく騒げるような店だった。
青竹さんは騒がしい店には遠慮する、と帰宅してしまうし
紫苑さんさんはそもそも飲み会にはめったに顔を出さない。
若手女優は学生とバイトが忙しいからとほとんど夜の飲みには来ない中
珊瑚さんと飲みに行き、騒がしい店で憂さを晴らしているのは
もっぱら若手男優二人と私だった。
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