パーソナルスペース(3-1)

さらに一歩進んで、相手に働きかけましょう。その時に、相手との距離感について意識してほしいことがあります。両腕を真横に上げた状態で、くるっと一回りして画くと円ができます。実は、中指の先から反対側の中指の先まで、つまり、描いた円の直径がその人の身長にほぼ等しいそうです。そして、この円の内側が、「パーソナルスペース」=他人に立ち入られたくないと感じる境界線です。
もともと日本人は、この「境」を重んじてきました。畳は、まさにこの「文化」です。畳は、自分の場所と相手の場所を、その一枚で区切りながら、互いに相手のスペースに入る作法を重んじてきました。
襖、障子など、「空気は遮断せずに境界をつくる文化」というのは、独自のものなのです。そして気配りとか、作法は、ほとんどこの「境界」をベースに成り立っています。それらの基本になる考え方が、パーソナルスペース。
このごろは、核家族化が当たり前になり、日常生活でも、他人との「境界」を学ぶことがめっきり減りました。自分の都合、権利ばかりを主張します。
これはあまりよろしくない傾向です。
日常生活の中で、パーソナルスペースということをすこしきちんと意識しましょう。相手の領域に入るとき、交差してしまうときに、「すいません、失礼します」の一言をかける習慣。そして、「ありがとう」を添えることを忘れない。
子供はシェアの天才です。初めて会った子供たちでも、10分もすれば仲良く遊び始めます。最初は、自己主張のぶつかり合いからです。そうやって、自分を伝えることから始めて、相手との距離のとり方を学習していきます。この、「相手との距離」のとり方のトレーニングの機会が減っています。人に向かい合うことに時間を費やしていない、「子供な大人」が増えています。
いまからでも遅くはありません。ちょっと気づかいしてみましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?