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映画「SKIN 短編」をみた感想。スキンは考えさせられる一作だった!

こんにちは。recozamuraiです。今日は短編映画「スキン」の感想を書いていきたいと思います。

よろしければ最後までお付き合いください!


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SKIN 短編
監督 ガイ・ナティーヴ
脚本 ガイ・ナティーヴ
シャロン・メイモン
原案 シャロン・メイモン
製作 アンドリュー・カールバーグ
ティム・ハームス
ダリル・ラモント・ジェンキンス
ガイ・ナティーヴ
ジェイミー・レイ・ニューマン
ブライオン・ウィドナー
製作総指揮 マット・ルーバー
ステファン・マオ
ジョアンナ・プラフスキー
セリーヌ・ラトレイ
ジェシカ・シャーマン
ピーター・ソビロフ
トゥルーディー・スタイラー
出演者 ダニエル・マクドナルド/クリスティー役
ジャクソン・ロバート・スコット/トロイ役
ジョナサン・タッカー/ジェフリー役
音楽 ブライアン・マコンバー
撮影 ドリュー・ダニエルズ
編集 ユヴァル・オア
製作会社 ニュー・ナティーヴ・ピクチャーズ
スタジオ・マオ
配給  サーチライト・ピクチャーズ
公開  2018年8月23日
上映時間 20分
製作国  アメリカ合衆国
言語 英語 受賞歴: アカデミー短編映画賞

評価

filmarks

4,1点

映画com

3,7点


・前置き

このブログは積極的に映画感想を書いていきたい、と思っているのですが、なんとなんと今回が初です。 自己紹介文でも堂々と述べているのに、です。

遅くなって申し訳ございません。

また、僕は映画感想は基本的には、核心的なネタバレは避けつつも、ある程度はネタバレを用いて感想解説を行なっていきます。

また、今回は、完全にネタバレします。全部です。

スキンを見たいと思っている方は、ご注意ください。

また、「少し興味があるな〜」という方も、絶対にネタバレを聞かないで見る方がいいので、ぜひ観賞後に見ていただけると嬉しいのです。

今すぐ見ることができるのでどうぞ!!

⇩これが今回の映画です。


・「スキン 短編」とは

「スキン 短編」は2018年制作のアメリカ映画。上映時間20分と短いです。

ガイ・ナティブという方が監督です。イスラエル出身の監督さんだそうです。

監督のおじいさんはホロコースト生存者です。

2019年のアカデミー賞・短編実写賞を受賞しています。

今月26日から公開される長編映画「スキン」の元となっている作品で、「スキン」とキャラクターやストーリーは繋がっていませんが、同じ人種差別をテーマに扱ったものになっています。

ブラックライブスマター運動の高まり、「スキン」公開日決定を受け、6/12~6/18の期間に「スキン」のオフィシャルサイトで限定無料公開されています。


・なんで短編映画が公開されたか?

今月長編映画として公開される「スキン」は「ムーンライト 」「ミッドサマー」などを配給しているA24が配給。2018年トロント映画祭で高い評価を受けたそうです。

今作は5/9日公開予定だったのですが、6/26日に公開延期に。

その間に、black lives matter運動が高まりを見せたことから、スキンのオフィシャルサイトで6/12~6/18の1週間、限定配信されることに。

制作側の「今だからこの作品を見て欲しい」という熱い気持ちが僕たち日本の人間にも届きました。 とても嬉しいですね。

この映画の感想などを眺めていると、

「今だから見て欲しい」という言葉がかなり出てきます。

僕も本当にそう思っています。

短い、タダで見られる作品ですから、ぜひ、見てください!!

本当にそれです!!

↑(多分最後もいいそうです、、、)

・recozamuraiの感想、考察

それでは行ってみましょう!!

ちょっと僕、今テンションが高いので、

落ち着いてっと。

はい。

さあ、ここからは僕recozamuraiが最近見た映画についての感想を述べ、考察し、紹介していくコーナー「recozamuraiの気まぐれ映画批評」。

今日扱う映画はこちら!

「SKIN/スキン 短編」

作品情報は前述したとおりです。

僕は公式サイトで計3回拝見いたしました。


映画は主人公家族のお父さん”ジェフリー”(演・ジョナサン・タッカー)が息子のトロイ(ジャクソン・ロバート・スコット)の髪を刈るシーンから始まります。

黒い画面に髪を刈る音が乗って、ファーストショットでトロイの足が映る、という映画のスタート。

僕はこの映画のスタート大好きなんですよね。

最初に入ってくるのが音で、次は人ではなくて、物が(今回だと足)映る、という演出でのスタート。お気に入りです。

そして、トロイの髪型はジェフの髪型に似ているものになっています。

お母さんのクリスティー(ダニエル・マクドナルド)も登場します。演じている女優さんについては後述したいと思います。

そして、湖にお父さんの仲間と共に出かけます。このお父さんの仲間やお父さんの体のタトゥーから、彼らが白人至上主義者・ネオナチであることがわかります。

湖へ向かう車を上空から移したショットに彼らの会話が重なり、SKINと大きい白地のシンプルなタイトルが出ます。

それに合わせて、ハードコア/パンクの曲が流れ出します。白人至上主義の登場人物が歌詞を〇〇○○ the world とノリノリで歌っていることから、僕はスクリュードライヴァーなどのネオナチ・バンドの曲ではないか、と考えました。

誰のどういう曲か調べたのですが、情報が出てきませんでした。

正確な根拠を出せず、すいません。

そして彼らは湖で、並べた瓶を一斉に銃で打ち始めます。

このシーンで思い出したのが、スパイク・リー監督の2018年の映画「ブラック・クランズマン」の、

KKKのメンバーが、この映画と同じく並んで黒人のシルエットの板の的を銃で狙って撃つというシーン。

宇多丸さんが詳しく解説されています。


どちらとも白人至上主義者が並んで、銃で物を撃っています。

これはただの偶然か、そういう習性があるのか。

さらに、ジェフはトロイに車の座席にセットしたスイカを打たせ、仲間と当たるか、当たらないかの賭けを行います。

子供に銃を打たせる父親。

僕はこの時点で強い不快感を覚えていました。

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そもそも子供が、銃を打てるのか、というツッコミを入れてしまうと、論点がずれてしまいましたが、そこも気になりました。

実際子供は銃は撃てるそうですが、中学生以上の年齢で、体もしっかりとしていないと、きちんと撃てないことが多いそうです。何より、銃の衝撃に耐えられるか、ということですね。

ここで蛇をトロイが触っていますが、これは後の話の伏線になっています。

その後がスーパーのシーン。トロイにフィギアを見せた黒人男性に言いがかりをつけて、複数人で暴力を振るいます。

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暴力を振るわれている様子を、家族が泣き叫びながら車の中で止めようとしている、辛いシーンです。胸が痛くなります。

差別が本当に非合理的な、無くしていかなければいけないものだと強く感じました。

最後にジェフが男性に液体をかけますね。

最初は「石油?」とも思ったのですが、色は白ですし、牛乳だという結論に落ち着きました。

そして、車で去っていく差別主義者たち。トロイは黒人の子供と目があってしまうのです。

この次がトロイが蛇についての説明をするシーン。

ちなみにトロイは10歳という設定だそうです。

監督インタビューによると、このシーン、トロイの蛇の説明は全て演じるジャクソン・ロバート・スコットのアドリブで、彼はちょうど学校で好きな動物についてのスピーチをしたばかりだったと言います。それを監督が映画に取り入れた、ということです。

色がついている蛇は危険と決めつける父、ジェフ。

そして、トロイとジェフがサーフィン(ソファを車の後ろと紐で結んで、ソファにトロイが乗る、という遊び)のシーン。

これを長編の方のスキンでもやっているようです。 予告で確認できます。

37秒あたりです。

何か意味があることなのでしょうか。監督が好きで起用している、ということもあるかもしれませんね。

そして、サーフィン後帰り道に、通りたい道を塞いでいるバンにジェフが文句を言いに行ったところ、乗っていた黒人男性のグループによって、拉致されます。

このシーンでも音楽が車の中で流れています。 この音の切り替え、外で聞いている車外で流れている音楽の音と、トロイが聴いている、車内で聞かれている音楽の音の切り替えです。 これはメタルですし、歌詞もわからないので、ネオナチバンドの曲か全く判断できませんね。

車の中に押し込まれるジェフを見て唖然とし、車から降りて「ダッド!!」と叫びながら、走り去る車を追いかけるトロイ。

その様子を、先ほどの黒人の男の子が眺めているのです。

その表情に色々と考えさせられました。

あの時、目があってしまった時のことを思っているのではないか、どんな気持ちなんだろう。

たった一瞬の表情でこんなに深く物事を考えるとは思っていませんでした。

また、僕は黒人男性たちが、ジェフをガレージまで連れていくシーンの窓から少し引いたカメラで車が動いた方の景色を移していくカメラワークや、光と影のバランス、色が素晴らしいと感じました。

そしてガレージの中へ。

この一連のシーンで黒人男性たちは一切台詞を喋りません。

タトゥーの機械を用意し、ジェフの服を脱がせたりする動作で感情などを表現しているのです。前のシーンと同じく、男性たちの汗や背中を写すカメラ、影や光の描写なども合わせて、「本当にうまくてわかりやすくて、意味深いな〜」と唸らされました。

そして彼らはジェフの肌にタトゥーを入れていきます。

全体的に動きがゆっくりで無音なシーンであり、タトゥーの墨で肌がゆっくりとドクドク揺れるシーンは印象深かったです。

僕は全くタトゥーについて全く詳しく知らないので、使用している機械がどういうものかわからなかったのですが、痛そうでびっくりしました。

ドクロなども含め、道具の描写で緊迫した空気感や緊張感が伝わってきましたね。

「肌全体にタトゥーを入れるなんて、どんだけ時間がかかるの?」と最初は思っていたのですが、ニュース番組で10日間拉致されていることが述べられていたと気づきました。

10日間ずっとタトゥーを入れ続け、ついには肌全体が黒くなったわけです。

また、暴力を振るわれた男性の家族も映り、無事生活できていることが判明しました。しかし、社会に対する恐怖、残ってしまったトラウマは消えることがない、だから、絶対に差別や暴力はいけないのでしょう。

そして、ジェフが路上に落とされ、家に戻るシーン。

ここでは、ジェフが車の窓で自分の顔をはっきりと確認するまで、彼の肌が黒くなっていることが分からないようになっています。

自分の顔が黒いことに気づき、悲鳴を上げるジェフ。

飼っている犬にも吠えられ、水ではタトゥーが落とせません。

この肌は実際に俳優さんが肌に黒色で塗ったものですかね。

また、疑問に思ったところなんですが、最後のシーンまで、ジェフは滑舌がとても悪く、呻き声が多かったり、よだれが垂れたりしています。

父とも話をして、考えてみたのですが、タトゥーを入れたことの影響か、拉致されたときに使われた薬の影響か、というところに落ち着きました。

このシーンと対比して描かれる家の中の、クリスティーのシーンが僕にとってはとても良かったです。ピストルの弾を入れる時の手つきや、外をチラチラと電話しながら見る行動などに、不安である、怖い気持ちがうまく現れています。

このクリスティーを演じる女優さん、見たことあるなあ、、、と思っていたのですが、「パティ・ケイク$」のヒロインを演じていたダニエル・マクドナルドさんでした。

「バード・ボックス」や「レディ・バード」にも出演されています。

この映画に出演している俳優さんたちの中で最も知られている女優さんではないのでしょうか。

長編のスキンにもヒロイン役で出演されています。 もちろん、違う役名ですが。

そして、クリスティーとジェフのやりとりがありますね。

ジェフが扉を破って中に入ってくる。

クリスティーは銃を向けて「撃つわよ!!」と脅すわけです。

ジェフは泣き叫びながら自分がジェフだと主張。クリスティーも銃を下ろすのですが、その瞬間!

銃声が鳴り響き、ジェフが倒れます。

その背後に、銃を持ったトロイが立っているわけです。

銃を下ろし不安な表情を浮かべるトロイ。

あまりの衝撃にすすり声をあげるクリスティー。

クリスティーのすすり泣きの音にエンドクレジットが重なって映画は終わります。

最初と同じく、音に黒い画面、で映画が終わるわけです。

この映画の宣伝や感想コメントでよく見る「衝撃のラスト」がこれなわけです。

僕も初見時、もうビッッッックリしました。

まさか息子が父を殺す、だなんて。

この映画のテーマは人種差別ですが、特にその中でも、

復讐の連鎖、負の連鎖

が、大きなものになっています。

この映画のようなやられて、やり返して、の繰り返し、連鎖はやめなければ、いけない、そういうメッセージが込められているのです。

トロイは白人至上主義者の両親に育てられ、自然とそのような考えの持ち主になってしまい、最後の展開が起こった。

トロイには罪はないのです。

それは仕方がないと思います。 僕も両親が毎日何かに対しての悪口を繰り返していたら、自分もそれに対してのマイナスなイメージ、それはひどい、よくない、といった考えを持ってしまうでしょう。

映画でトロイがまだ小さい可愛い子供であり、両親とトロイが楽しそうに生活しているからこそ、重く、強く心に問いかけてきます。

カメラワーク、影と光、人物描写、演技、編集やそのテンポなど技術面もバッチリで、「素晴らしいです!!」と拍手を送るべきです。(偉そうにすいません!!)

監督はインタビューで負の連鎖を断ち切るためには、

「 憎しみの連鎖を断ち切る最も効果的な方法は、まず第一に教育です。子供は清潔なシートのようなもので、生まれたばかりの娘がいてから今まで以上にそれを目にするようになりました。今、私が彼女に教えていることは、良くも悪くも、彼女の大人の人生の多くを形成します。いつか娘が大きくなったらこの映画を見て、不寛容は教えられていて、一世代だけで永続させたり壊したりできることを理解してほしい。

本当の意味での変革の鍵は教育にあります。」

と語っています。

差別をなくすには、差別にしっかりと向き合い、反対し続けていくことが大切です。

気持ちを動かす、重く、強く、凄まじい映画でした。

是非ご覧ください!!

・最後に

いかがでしたか。

僕が生まれてきてから初めての映画紹介文です。

短く全体のストーリーや構成が掴めるため、あえてテンポの悪い形態で書いてみました。

今だからこそ見て欲しい一本です。

この文を書いている時点で、あと4時間しか見れる時間がない!!

タダで見れるのは今だけ。

この映画を見て、差別問題について、負の連鎖について皆様の様々な視点を展開して行っていただけると、とてもいいだろうと感じました。

是非見てください!!

⇩引用したインタビュー記事です。

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「スキン 短編」に対する意見、感想

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最後まで読んでいただきありがとうございました!!!


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