見出し画像

学校と学習塾 それぞれの役割

今回は、学校と学習塾について書きます。

学校の役割は、主に2つ。教科指導生徒指導です。

教科指導は、国語、数学などの勉強に関すること。

生徒指導は、社会的資質や行動力を高めることを目的としており、自己実現をするために必要な能力を養う教育活動です。

一方、塾の役割は教科指導(進路指導)です。主に勉強のことを指導します。

このように考えた時、素朴な疑問が浮かびました。

学校で教科指導を行っているのに、学習塾は必要なのか?

という疑問です。

学習塾が必要だということは、もちろん理解しているつもりですが、あまり深く考えたことはありませんでした。学校と学習塾の違いを整理した上で、学習塾の必要性や学校の役割を考えていこうと思います。

1.学校と学習塾の違い

学校は教科指導と生徒指導、学習塾は教科指導のみと上述しましたが、それ以外にも違いがあります。

(1)生徒の学力層

1つ目に挙げられるのは、生徒の学力層です。一般的な公立学校では、広い学区から様々な生徒が集まってくるので、勉強が得意な子もいれば苦手な子も同じ学級に在籍しています。

一方、学習塾の場合は、高いレベルを目指すための塾、勉強が苦手な子ども向けの塾というように、塾ごとにレベルが分かれていたり、同じ塾の中でも学力に応じたクラス分けがされていたりする場合があります。

そのため、同程度の学力を持った生徒が集まりやすいという特徴があります。


(2)指導形態

一般的な学校では、40人程度のクラスに対して1人の教師が一斉授業を行います。中には少人数指導やテームティーチング(複数の教師が授業に関わる指導形態)を行っている学校もありますが、主流は一斉授業です。

学習塾では一斉授業のほか、1:1や1:2〜3の個別指導など弾力的に指導形態を変更することが可能です。


(3)指導内容

学校の授業は「学習指導要領」の内容に沿って構成されており、基本的に教科書を使用して行われます。教科書以外の教材で適切有益な教材を使用することはできますが、塾と比較すれば、教材の選定は弾力的ではありません。

学習塾では、学習指導要領は関係ないので、学習指導要領に載っていることすべてを教える必要はありません。また、教科書を使用する必要もないので、独自の教材や市販されている教材を購入して学習することが可能です。


(4)指導者

学校の授業を行う人は教師であり、教員免許を取得しています。

学習塾の場合は、学生のアルバイト、塾の正社員など様々で、教員免許を取得している必要はありません。


(5)費用

公立の小中学校では、授業料は無償ですが、学習塾は営利を目的としているので、入会料や授業料がかかることがあります。


2.学習塾が得意とすること

1.学校と学習塾の違いを踏まえると、学習塾が得意とすることは何でしょうか。

私の考えは、一人一人の学力に応じた指導をすることが塾の強みだと思います。学校では学力差がある子どもたちに対して、同じ授業を提供しなければなりません。

いろいろな子どもに対して同じ授業をすれば、勉強が得意な子どもは退屈な授業、勉強が苦手な子どもは難しい授業と感じるでしょう。

その反面、学習塾は学力に応じた授業を行いやすいので、それぞれの生徒に合わせた授業をすることができます。


もちろん学校の先生も、全ての子どもが成長できるような授業を考えていると思いますが、学習塾に比して「個別最適化」されているとは言えないのではないでしょうか。


3.学校が得意とすること

学校が得意とすることは、 生徒を多面的に理解した教育活動ができることだと思います。学習塾で生徒と教師が接する機会は、授業や自習など勉強をしているときに限られます。

学校の教師は、勉強以外にも生徒が部活動をする姿、学校行事での様子などを見ることができ、多面的に生徒を理解することができます。

また、学校はクラスとして集団で生活することが多いため、集団の雰囲気を理解することができます。

そのため、学力に応じた指導がなかなかできなくても、集団の雰囲気に合わせた指導をすることはできるのではないかと思っています。


4.問題提示

最後に、学校と学習塾に関する問題を提示します。

(1)学校と学習塾の連携

私の個人的な印象かもしれませんが、学校と学習塾の間に、なにか険悪なムードが漂っているように感じたことがあります。例えばこんな時。

学習塾に通っている人が、学校の授業を受けたあと、「塾の先生のほうがわかりやすかった」「塾で習ってたから今日の授業つまらなかった」と言っているのを聞いたことがあります。

確かに、学習塾の先生は授業のプロなので、学校の先生よりも授業が上手い人はいます。また、塾で予習している生徒がいることも事実。

学校の立場からすれば、複雑な気持ちになります。


(2)学力差の拡大

全ての子どもが塾に通えるような経済状況ではないことも問題の1つです。塾に通って成績を上げるのは良いことなのですが、塾に通えない子どもが不利になってしまう仕組みがあっては困ります。

例えば、学校の定期テストを収集している学習塾があります。塾は、定期テスト前に過去問を生徒に配布して、テスト対策をしているのです。

仮に、学校の先生が定期テストを毎年使い回していたとしたら、過去問を持っている生徒が明らかに有利になってしまいます。(学校の先生も対策をして、毎年違うテストを作っているようですが・・・)

家庭の経済状況は、子どもにはどうしようもないことです。それだけで子供の成績が決まってしまうというのはよくありません。

それなら学校で、補充的な授業を行えばいいのでは?と思いますが、教員の長時間勤務が課題となっている現状では難しいところ。


5.まとめ

学校と学習塾、それぞれの役割は違えど、目標とすることは本質的に同じだと思っています。役割分担をしながら連携できる仕組みが整えばいいのに、と考えました。

また、学力差の拡大を招かないためにも、NPOなどの学習支援ボランティアの力を借りることも選択肢の1つとしてあると思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。