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デジタルDX時代にあえてこだわるフィジカル

noteでは音楽活動の中での本音をズバッと書いている。敬語、丁寧語はあえてなし。



人間活動におけるデジタルの反対語はアナログというより、フィジカルと定義している。

リモートワーク時代であっても、あえてフィジカルで行う必要のあるものは必ずある。

それを今回書き出してみる。


1.生歌・生演奏
人間がリスナーである以上、人間らしさが求められるのがアート。

どんなにデジタル化、効率化が求められようとも、可能な限り、生歌・生演奏にはこだわりたい。

デジタルにおける利点はかんたんにコピーできることと、音を視覚的に覗きにいけることである。

これらを組み合わせることにより音楽製作において、効率化、低コスト化を実現して、ウマい演奏、いい音を機械的に作り出すことができる。

しかし音楽を含むアートにおいて、価値の判断基準が絶対的であるならば、コレらは全てが万能だとは言えない。

生ドラムやタンバリン・スレイベル等のパーカッションは素材を並べて、強弱をつければ、人間が叩いたような雰囲気を出すことができる。

コレをモックアップと呼ぶ。

しかし打ち込みでモックアップなんかしなくても、楽器の現物とマイク、そして収録する環境があれば、実際に演奏する方をオススメする。

絶対的価値の中では一定水準の正確さを満たすと、それ以上に個性や人間味が評価される。

パーカッションは音程がない分、リズムの躍動感や表情が勝負の決め手。

同じように叩いたとしても、どれ一つとして全く同じ1打は生み出すことが出来ない。

生歌も同じ。

1テイク毎に歌声の状態が変わり、楽曲にハマる1テイクはいつ出るのか正直分からない。

一期一会だから難しいし、美しいもの。

打楽器や生歌は意外にも共通点が多く、
その場で演奏しているところには
必ず立ち会うようにしている。



2.現場へ足を運ぶ
現場というのは地上だけでなく、ミラーワールドのことも含んでいる。

どうも想像やロジカルだけで、現場を全く見ずに批判するシチュエーションに割と出くわすのだが、腹が立って仕方がない。

もちろんコロナ禍で感染予防の観点からフィジカルな現場に毎回行けるとは限らないが、本質的なものはやはり現場でないと体感できない。

ここ2〜3年、とある楽器メーカーにて製作現場を見学させて頂くことが多く、職人さんからの話はいつも興味深い。

オーダーメイドで作り上げていくため、基本的に全く同じものを毎回製作している訳ではない。

いろいろと製作工程を覗き込む中で、大前提として徹底的にクオリティにこだわっているが伝わってくる。

楽器の元となる木材のチョイスに始まり、木工加工や塗装、セットアップに至るまで単位にならないような微細なところまで、肌感覚で作り上げる。

そこまでは当たり前で、それ以上を目指すために個々の要望、言い換えれば夢を叶えるためにあらゆる箇所を磨き上げるところに、オーダーメイドの醍醐味に感じる。

そうしたところを把握していると、なぜこの音になるのか分かるので、愛着も湧くもの。

ライブ会場で歌を聴くなど、現場の理解からいい結果に結びつくのなら、そのチャンスを惜しまず、目に焼き付けておきたい。


3.立会いミックス
お客さんの希望があれば、立会いミックスを実施している。

完成手前のミックスをお客さんに指示をもらって音を磨いていく時間。

楽曲をお客さんが思う通りに仕上げるのが目的であるが、純粋に一番いい音で存分に鳴らすところに意味がある。
そうすることで、今まで見えてなかったところが見えるようになるし、出来上がったものに対して自信を持って頂ければと思う。

それにエンジニアだからこそのアイディアもあれば、エンジニアにはないお客さんからの視点もあり、相乗効果で新しいものが生まれることで、その価値が絶対化される。

デジタルなプラットフォームでは、楽曲を最初から最後まで聴いてもらうことに価値がある。
それなら聴きどころを随所に作ったり、最後までストレスなく滑らかにリスニングしてもらえるよう工夫が必要。
一緒に音を聴いて考える、クリエイトすることが本質的に思う。

幸いにも立会いミックスを希望される方はそうした意欲の高い方たちばかりなので、これから更に強化していこうかと。


4.まとめ
総じてプロセスを大切にしていきたい。

ただただ効率的に結果だけを求めてデジタルに頼っていては、おそらく人間活動において正しく評価なんてされない。

当たり前のことを当たり前に行う。

たとえ時間が掛かろうと、労力が掛かろうと、本質的ならばホンモノになれる。

デジタルでは解明できないフィジカルな現場に価値を感じ、大切にしようと思う。


【サブスクリンク】

Re:birth / Tomoyuki Yamaguchi
※ベース(バッキング) / レコーディングを担当。


会いたくない / レコラボ



Rainy Dance / フランソワ・マリコ
※作曲・レコーディングを担当





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