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青春が終わっていた事に、最近気付いた。

三十歳になると、途端にJ-popを聴きたくなくなった。
気取ってるとかそーゆーことでは全くなく、J-popが好きだったから、今はもう聴きたくないのだ。

私の中でJ-pop=青春 とかそういうイメージがあって、じゃあ青春っていつ終わるんだって言われたら、結婚したら青春は終わるんだと、結婚して初めて思った。子供を産んだらいよいよもう、「青春」という言葉を聞くだけで胸が痛くなる。
それほど遠いものになってしまった。

だって、青春って、つまり恋とか孤独とか、それゆえの葛藤とか、そういうものだと思っていて、結婚したらその全てが解決してしまって、なんかもう、あ、終わってたんや…ってある日突然気付いてしまって、それからJ-popを聴くのがとにかく辛くなってしまった。
私には、恋も孤独も、もう縁のないものなのだ。二度と手に入らないものなんだと自覚してしまった。
一見するといいように聞こえるかもしれない。自惚れや自慢に取られてもおかしくないが、全くそういうことではない。

一生青春という人もいるけど、私はそうは思えなくて、
青春って限られた時間のものだからこそ良いといいますか。
一生青春な時点でそれは青春ではなくてですね…

学生時代はもちろん、20代のオール明けの朝とか、ヒールで擦れた足の指とか、好きな人と会う日に限ってメイク失敗して超ブスとか、好きな人からLINEが来た瞬間とか、来ない時の吐きそうな病み具合とか……

今私のライフスタイルにそれらはひとつも無い。心がハチャメチャに乱されることも、つまらないことで一喜一憂することも、もう死んでもいいと思えるくらいのトキメキも。ない。

多分私が青春真っ只中にいたら、髭ダンディズムとか、なんかその辺の曲とかすごい聴いてだんだろうな、と思う。
でも絶対手に入らないものを目の前にまざまざと見せつけられるのが辛い。共感したくてもできない。キラキラ眩しくて目が潰れそう。

そう思ったら、あの頃あんなに私を悩ませていた恋愛も孤独も、本当は好きだったんだと気付いた。

結婚してすぐは、アバヨ!!という感じだった。新しく手に入れた幸せにテンション上がっていたけど、それがだんだん落ち着いて、ほんのりと退屈を見つけたら、途端に懐かしくなった。あれらを失った今、こんなにも切ない気持ちになるなんて、もう絶対孤独好きでしょ。好きだった証拠でしょ。

うんざりするほど孤独な夜が腐るほどあった。いつこれが終わるのか分からなくて死にたくなった事は何度もあったし、上手くいかない恋愛に依存する自分を、心底醜く思っていた。
それなのに、あれらを懐かしく、時に切ない気持ちで思い返すなんて。いつだってその真っ只中にいる時は気付かないものだな。
だけど同時に、それこそが”美化”だということも解っている。そんなに綺麗なものじゃなかった。今の生活の方がよっぽど健康的で、満たされていて、輝いている。所詮失ったものだから尊く思えるだけなのだ。

ちなみに結婚しても恋愛する人はいる。相手は旦那だったり、不倫相手だったり。
でもそういうのは、私の中の青春の定義とはまた違う。

恋愛界隈において、♡恋の相手は旦那サマ♡を謳う”恋愛”ほどクソつまらないものはない。
そんな安全なものを私は恋愛とは呼ばない。
恋愛はもっとこう、先が見えなくて、一瞬一瞬が勝負で、些細な瞬間に心を奪われて言葉にならないような、そういう不確かで不安定なものだ。だからこそ、Jーpopが活きるのだ。
日本語ならではの言い回しで書かれた歌詞。その時々の自分の状況と最も近い曲を探し出して、縋るように何度も何度も繰り返し聴く。それこそが恋愛で、青春なのだ。
そういう意味では不倫のほうがまだマシである。(あくまで恋愛/青春界隈において)

Jーpopが好きすぎて、もう聴きたくないはそういう事。

じゃあ今子持ち主婦になった私がどんな曲を聴いてるかというと、基本何も聞いてないのだが強いて言うなら息子用の英語の童謡とか、ディズニーとか、絶対に私の心を乱さないもの。
特にディズニーは良い。昔ディズニー嫌いだった。歳とってから分かるディズニーの良さ。あと劇団四季の音楽。誰も傷付かないし痛いところも突いてこない代わりに、心の真髄にも特に刺さらない。それがいい。


今日ふと、globeのプレシャスメモリーズを思い出した。大好きな曲。

階段を駆け上って、
ヒールもだんだん履かない
アドレスのデータもほとんど
使わない人ばかりになる


今、見事にこの歌詞のようなの現状。

息子を見て、羨ましいなと思う。
この子はこれから経験するのだ。青春時代を。

青春は終えたけど、人生はまだ続く。むしろこれからのほうが長い。(多分)
恋と孤独を失った今、それと引き換えに手に入れたものは山ほどある。

あの頃欲しかったものは全部手に入った。
これからはこれらを、つまり彼らを、守る為に生きていく事になるのだと思う。

どうなりたいのか。どう死にたいか。そろそろ終わりから逆算して生きねばと思っている。

やりたいことは沢山ある。子育てに関しても、ビジネスに関しても。青春が終わったあとのほうが、毎日本当に忙しい。


とりあえず、走る。
走りながら考える。

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