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折々のチェスのレシピ(371)少しだけ高度な知識をあなたに
AIやソフトが推奨する最善手やそれに近い手を指し続けるとどうなるかということは誰でも興味があると思います。ただ、AIやソフトは相手も最善手を指してくることを基本的には前提にしているので、ほとんどの人は実戦ではそういうプレイヤーには出会わないと思います。
ここで実際に指された興味深い対局を見つけたのでご紹介します。白がほぼ最善手だけを指しています。まずは一局を通してご覧ください。
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途中からはどうやっても白が勝ちですねという展開ですが、それは「チェスのレシピ」をずっと読んでこられた人であればそんなに不思議ではないと思います。きっとこの指し方ができるようになっているはずです。
今回、じっと見てこの対局から学んでもらいたいのは、ひとつにはメイトまでの寄せ方です。
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ここまで白は相手が一箇所しか逃げ場所がないような手を指しています。
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そこでのこの手はなかなか思い浮かばないと思います。なんでこんなにすでに優勢なのにわざわざ駒を捨てにいくのか? でも、
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もし取って来たとしても、というより、取らないと黒のキングはc5に逃げるしかなく、あっという間にメイトされてしまいます。ということで黒は取りますが、
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ピッタリと詰め切っています。
ということで、白はサクリファイスを噛ませることで相手に一手も与えずに黒をメイトしています。これはとても重要なことで、相手に一手与えてしまうと反撃を喰らう可能性が常にあります(この対局ではないですが)。そこで、一手一手チェックを掛けて詰ましにいくというのが勝ち切るための大前提になります。
どれだけ優勢だと感じていても、一手も相手に渡さずに勝てる手筋が見つかった時点でやっと「勝った」と感慨に耽ることができます。相手は必ず反撃の機会を窺っています。反撃の機会を摘んでしまうしまうには、相手に手を渡さないことが一番です。
今回例にした対局はほぼ白が最善手を指しています。ただ、これは事前に研究できる指し手かというと、なかなかそうではありません。なぜなら、黒が緩手や悪手を指しているからです。この対局の白は、そうした緩手や悪手をきっちり咎める手を基本的には指しています。これはどれだけAIやソフトで事前研究してもなかなか身につかないことです。なぜなら、AIやソフトは相手も最善手を指してくることを前提に推奨手を提示してくるからです。これはAI研究の罠などと呼ばれているみたいで、AI研究に頼りすぎると落ち込んでしまいがちな陥穽とされています。
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