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チェスのレシピ(3) チェスでまずスコア1000点超えを目指す人のために

将棋を覚えてからチェスを始めたという人も多いはず。

そこで面食らうのは、チェスの場合、いきなり駒がぶつかることがあるということではないでしょうか。

取るべきか放置すべきか?

局面によって対応が異なるのは当然ですが、考え方の法則みたいなものはあります。これを覚えておくとさまざまな局面で応用が効くようになると思います。

最もシンプルな局面を見てみましょう。

黒がいきなりポーンをぶつけてきました。取りますか? 取りませんか?

取らずにd4のポーンにナイトやポーンで紐付けするという手はあります。もしくはd4のポーンを取ってきたらクイーンで取り返すという手もあります。しかしそのいずれも白にとってあまり良い形にはなりません、残念ながら。

白がd4のポーンにナイトやポーンで紐付けしたとしましょう。その時、黒がe4とポーンを進めてきたらどうしますか?

ナイトをf3に出していたらナイトを逃げなくてはいけません。ポーンで紐付けしていた場合でも無力です。

よって、ここは取る一手です。そして、取ったほうが断然いい局面です。

黒はポーンを取り返そうと上図のようにNc6としてくる可能性が高いです。しかし、白はNf3でe5のポーンを守ることができます(上図のように)。

黒がしつこくe5のポーンを除去しようとしてくるかもしれません。というのも、黒にとってe5のポーンは結構目障りだからです。

こんなふうに。

黒がこうきても白には素敵な手があります。それが次の図です。

Bg5!

黒はクイーンに当たっているので何らかの対応をしなければいけません。黒には3つの選択肢があります。

1、ポーンをf6としてクイーン取りを防ぐ。
2、ビショップかナイトをe7としてクイーン取りを防ぐ。
3、クイーンをd7に逃す。

(1)に対しては、同ポーンとします。次は黒が同ポーンとしてくるので、ビショップをh4に引きます。
(2)に対しては、そのビショップかナイトを取り、黒がそのビショップを取った後にd6のポーンをポーンで取ります。
(3)に対しては、d6のポーンをポーンで取ります。

どの白の対応でもポーン1つで相手ポーンを2つ取っていることに注目してください。駒得になっているのに加え、黒は自陣付近がかなり乱されており、キングの守りが難しくなっています。

(1)の応酬の後は下の図のようになります。

黒が陣形を乱されていることが一目瞭然です。

最初の問いに戻ります。「取るか取らざるや?」

A、相手の駒を取った自分の駒が安全かどうか。
B、相手の駒を放置することで自陣が不利になるかどうか。

これを考えることで適切な対応が可能になります。

もうひとつ、

C、相手の駒を取った自分の駒が安全ではない場合。

この場合は、相手の駒を放置することで自陣が不利になる時には相手駒を取ったほうがいいことが多いです。

この考え方は、局面にもよりますが、中盤以降で駒があちこちでぶつかる時にも、基本的に応用が可能です。ぜひ実践で試してみてください。

今回は定跡以前の話でしたが、序盤の失敗(今回は黒の失敗例)はたちまち形勢の良し悪しに直結することが見てとれたかと思います。


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