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藤井聡太二冠に学ぶ次の一手(14) 安全に見えて危険だった。

第1図は先手が8八に入城した直後の一手。

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第1図 42手目 △6五桂まで

角換わり腰掛け銀ではよく出てくる手筋。

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第2図 43手目 ▲6六銀まで

入城してしまうと応手は基本的にこれしかない。

藤井聡太 七段 vs. 斎藤慎太郎 八段 第91期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント(2020年2月29日)から。

考えてみたいのが次の後手の一手。

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第3図 44手目 △4二玉まで

3一にいた玉を動かしたところ。先手の3筋、4筋は駒が詰まっていて飛車の直射もないし、角も今のところ効く道がないし、玉の居場所としては安全に見える。飛車の可動域も増える。ちなみに持ち駒はお互い角のみ。

ところがである、後手が△4二玉とした途端、3筋、4筋から先手の▲5六銀〜▲4五歩〜▲2四歩〜▲4四歩〜▲3五歩〜▲2四飛〜▲4三歩打の猛攻が始まるのである。これで形勢はほぼ決した感があった。

角換わり腰掛け銀では駒がぶつかると一気に終盤になだれ込むことがあるがそれにしてもあっという間だった。

先手は9筋の位を取っていて入城しても懐が深い点も見逃せない。穴熊にしなくても9筋の位を取っているとそれなりに対応ができるので、この辺りの指し回しは藤井二冠の強みのひとつなんだろうな。


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