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折々のチェスのレシピ(323)キャスリング考

では、下の局面はキャスリング(と序盤)の観点から見てどうでしょうか。

第1図

次に黒がキャスリング以外の手を指すと、

こんな手が白からはあるかもしれません。いますぐにメイトされるような状態ではないものの、黒は早晩キャスリングをしないと持たないでしょう。これは強制されてしまったキャスリングだと言えます。

黒がキャスリングを保留する大きな理由のひとつは、後手番として一手遅れている状態を回復するというものでした。しかし、第1図をあらためて見てもらうと、黒は手が進んでいないことが明らかです。

その理由は、「チェスのレシピ」や「新・チェスのレシピ」そしてこの「折々のチェスのレシピ」を読んでこられた人にはすぐにわかるように、黒がクイーンを無駄に早繰りしたためです。クイーンの早繰りを咎められる形で白に駒組みを進められた結果が第1図です。

黒はクイーンを逃すことで手損をしており、それが駒組みの遅れに直結しています。これでは、キャスリングを保留して先手番に追いつくどころか、逆にさらなる遅れを取ってしまいます。

クイーンの無駄な早繰りは、駒組みを毀損するだけでなく、キャスリングの選択にも制約を及ぼすことが、つまりそれらはセットであることが、理解できると思います。


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