マイナ保険証の笑える話(笑ってはいけない)
マイナ保険証について調べてたら面白かったので記事に残す。
マイナ保険証とは
マイナ保険証とは
「健康保険証の情報をマイナンバーカードに紐付けし、マイナンバーカードを健康保険証としても利用できるよう一体化する」
取り組み。
要は、健康保険証が果たしてきた役割をマイナンバーカードに持たせようということ。
2021年に本格的な運用が開始され、2023年4月には全ての医療機関・薬局でマイナ保険証を利用するためのシステム導入が義務付けられた。
マイナ保険証のメリット
旧来の健康保険証の仕組みと比較すると、デジタル化やデータの紐づけが可能となりそれに伴うメリットが生まれる。
オペレーションの効率化
従来の健康保険証の場合、受診する際には窓口に保険証を提示し、受付スタッフは本人確認や保険証の情報確認を手作業で行う必要があった。
マイナ保険証の場合、受付の顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードをかざすだけで、ICチップに記録された情報や顔写真を自動で照合することができる。
医療情報の集積
マイナ保険証を利用して医療機関を受診すると、「マイナポータル」から過去の処方歴や特定健診情報などの診療情報を閲覧できるようになる。
良いコトづくめのはずなのに
たしかにマイナ保険証がもたらすメリットは大きい。健康保険証という長年受け継がれてきたアナログな仕組みと比べると、明らかに社会に革新をもたらすポテンシャルを秘めている。
ところが現状を見てみると
利用率は低下
2023年4月に6.29%だった利用率は、2023年12月には4.29%となっていたらしい。増加どころかまさかの低下。
(この辺のデータの出自は末尾にまとめて記載する)
普及に躍起
医療機関にマイナ保険証の利用率を月次等で報告させ、利用率が向上していたら支援金が支給されるらしい。安直というか、金銭的なインセンティブで普及を図るのは本質的なのだろうか…
致命的なエラーが存在
なぜ普及しないか調べると、割と致命的なエラー事例が存在していた。いくつか挙げると
紐づけミス
マイナンバー情報と健康保険証の紐づけミスがあるらしい。住民基本台帳と一致しないケースが87万件あるとか。
この紐づけミスによって本来の所得情報や健康保険の加入状況が取得されず、6歳未満の幼児が「高所得 現役並み」と表示されたケースもあるらしい。これはまずい。
あと紐づけが間違っていると、マイナポータルで他人の医療情報が見れてしまうことになる。
導入コスト
マイナンバーカードを読み取るための機器を医療機関は設置する必要がある。設置費用そのものは普及を進める国が負担したりしてくれるのだろうが、そもそものマイナ保険証の利用率が低い中で新しい機器を導入するのは忙しい現場においては反感を買いそう。
医療が受けられず帰った人も
マイナ保険証を使おうとしたが、正確に情報が読み取れず医療費が全額負担となったり、診療を受けずに帰った人もいたらしい。
(現在はマニュアルが改訂され、情報が確認できなかった場合には3割負担とするようになったらしい。ただ医療機関は「その人が健康保険に入っているか」その場では分からない中で3割負担を提供するため、一時的に与信リスクを抱えることとなる。)
感想
マイナンバーという国全体でのデジタル基盤をつくることには賛成だし、メリットは大きいと思う。
ただプライバシー保護等の観点から懸念が寄せられる中で、「他人の情報が見れてしまった」「医療が受けられず帰った人がいた」というセンセーショナルな事例が出てしまうと、それが人々に印象付けされてデメリットが大きいかのように思われるのは仕方ない気がする。
おそらく効率化やメリットを生んでいるシーンの方が現状でも多いのだろうが。
元はと言えばアナログ管理されていた情報を手入力する際にミスをするという、古典的かつ完全に回避のしようがないヒューマンエラーが原因となっている。
この移行方式にならざるを得なかったのだろうが、結果それが数々の問題を引き起こしている現状はなんだか勿体ない気がしてしまう。
当社も様々な情報をデジタル上に載せていくサービスをつくる企業として、今後もマイナンバーの動向は追っていきたい。
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