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事業会社の社員はキラキラしていなくていい

私は新卒で銀行に入社し、3年働いて独立し起業しました。

起業してからというもの、投資家の方へのピッチ、アウトバウンド営業、経営者との交流など、所属企業というバックグラウンドを捨てて「私が個人として評価される」場に出る機会が増えました。

その中で考え言語化に迫られたのが「事業会社にいた価値」です。
今日はそのことについて書いていきます。


【そもそも】私の経歴

改めて私の経歴について。

銀行員時代

私は学部卒で某銀行に入社しました。

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大学では物理工学を専攻していたのですが、院に進学して研究開発をするより早く社会に出て働いた方が身になる2年が過ごせそう。
そう感じて、当時インターンしていた社長の勧めもありその銀行に入社しました。

銀行ではシステム部に配属され、インフラチームのひよっことしてコールセンター周りの基盤運用をしていました。

その傍ら「何か先進分野で独自のスキルや知識を身につけたい」と思い、当時ビットコインバブルで注目が増していたWeb3をチョイスし探索を始めました。

その後色々あり、Web3周りのプロジェクトやR&Dにトライさせてもらい、Web3領域の専任担当者になりました。
(この辺りは色々書きたいのですが、それだけで前編/後編が書けてしまうくらい語れてしまうのでまた今度)

そして先日3月31日をもって退職しました。

起業について

新卒二年目くらいから起業したいという気持ちが芽生え始めました。

理由はいくつかあるのですが、スタートアップがエコシステムの中心にいたWeb3業界と関わる中で、彼らの働き方や事業のスピードに魅力を感じたというのが大きかったです。

その後ビジネスコンテストで入賞したり、会社で最年少プロジェクトリーダーになったりと波に乗り、起業に向けて本格的に動き出しました。
そして大学時代の友人であり、自分に足りていないスキルセット(エンジニアリングスキル、コミュニケーションスキル)を有していた中瀬を誘い、まずは副業という形で会社を起ち上げました。

ただ起業後、今年の1月頃までは事業が上手くいきませんでした。
この辺もそれだけで前編/後編が書けてしまうくらい語れてしまうので詳しくは別の機会になりますが、一番の原因は「自分の経歴やスキルが全く活きないドメインで事業をしていた」ことでした。

そのことに気づき、proovyというWeb3への知見が活きる事業を始め、社会に新しい価値を提供できると自信をもって人に話せるもの、そこそこ他者から注目していただけるサービスを開発しています。

事業会社とは?

タイトルの内容に触れる前にもう一点だけ・・・

「事業会社」の定義について。
Chat GPTに聞くと以下のような回答でした。

GPTの回答

微妙。。

解釈が幅広い用語ですが、私の中では「自社で提供しているプロダクトやサービスがある(おまけにtoC向けに販売しているケースが多い)」イメージです。
SEベンダーやコンサルティングといった業態のサービスは含まれない認識。

私の解釈が違う可能性も大ですが、この記事の中ではいわゆるユーザー企業的な意味として「事業会社」というワードを捉えていただければと思います。

【ここから本題】事業会社の社員の特徴

さて、本題です。
私は事業会社の社員にはいくつか特徴があると感じています。

これは元いた会社で感じた事というよりは、事業会社の方々とお付き合いをする中で感じた事です。
(私が元いた会社はどちらかというとイノベーティブというか、レガシーな事業会社ではありませんでした。)

注意:この章はだいぶ独断と偏見があるかもしれません笑

①猛烈に働かない

いわゆるワークライフバランスというか、朝から晩まで日々苛烈に業務をこなしている印象は少ないです。

コンサルティング会社やSEベンダーと比べると、人月的な考え方がないため時間的にも精神的にも余裕をもって働いている印象。

私が元いた会社では、優しすぎるのではないかと感じるほど若手社員への声かけ(業務量が多すぎないか?仕事は楽しいか?など)がありました。

②キラキラしていない

これは他会社と比べた時に相対的に感じるものです。

例えばコンサルティング会社やSEベンダーで働いている方々は、猛烈に働いて稼ぎ、それを派手に遊びに使って発散されている系の話をされているシーンを見かけます。

起業して経営者の方々と関わるようになり、更にこのキラキラな人々を見る機会が増えました。

実際に稼いで豪遊している人もいますが、それ以外でも

  • 自分が過去に大物と関わってきたことを一番のバリューとして話す元テレビマン

  • 見たことのない表彰や資格を自己紹介スライドにはち切れないほどに載せている人

などキラキラに見せている人も多数。

悪い感じで書いてしまいましたが、コンサルティング会社にしろ経営者にしろ、自分の能力や働きぶりが商材になっていることも多いため自己アピールに長けているのだと思います。

こういった方々と比べると、事業会社の方々は自らの優秀さをアピールしている人はかなり少なく、謙遜しているシーンの方が多いと感じます。

③優しい

私が銀行のシステム部にいた頃は、元々SEベンダーとして働いていて、セカンドキャリアとして事業会社に来られた方が多かったです。

企業戦士として働きまくることに負担を感じ、心と家庭の安寧を求めて事業会社に来た方も多かったです(おそらく)。
その結果部下にも優しい図式が成り立っていました。

安寧

④縦社会

「若くても優秀ならどんどん上に上がって、年上上司もたくさん従えるんだ」といった野心溢れるマインドも相対的に少なそうです。

組織体系としての話もありますし、そういった野心を持って働いている方がそもそも少ないなと。

悪いところは、上司が誤った判断をしてもNOと言えずにズルズルと流れるリスクがある点です。
上司をどのように説得するか、社内プロセスを如何にして通過させるかに頭を使うシーンも多かったです。

事業会社で働いた経験の価値

起業してから、他者から自分自身を評価されるシーンが増えました。(特に投資家との対話)

起業家というと、コンサルティング会社や大手広告系、外資系の方々が多いイメージがあるのではないでしょうか。
私もそうで、ギラギラした彼らと比べた際に事業会社出身であるという経歴は劣後するのではないかと考えていました。

ただ、前述の通り「自らの経歴が活きるドメインでビジネスをする」と決めてから、改めて自分の経歴をもとに出せる独自のバリューを考えるようになりました。

経歴の独自性(私の場合)

レイヤー1

私の場合、Web3に対する知識があります。
これは独学で身につけた側面が大きく、悪く言えば誰でも身につけることが可能です。

レイヤー2

次に、私はWeb3領域に事業会社の社員という立場で関わってきました。

既存のビジネスがありお客さまも一定抱えている中で、新しい技術をどのように取り込んでいくか。
単にWeb3の素晴らしさや革新性を信じて突き進むだけではなく、自社とのかけ合わせで生まれる価値(=シナジー)を見出す必要があります。

日々スタートアップの方々から提案を受けていましたが、仮に素晴らしい提案でも「これはうちの会社では正直できないな」と思うシーンは何度もありました。
(取り組みが先進的すぎてリスクが大きい、現行ビジネスとのシナジーが薄すぎる、わざわざスタートアップと組まなくても既存ベンダーで出来そう、など理由は色々です。)

このレイヤー2の経歴と経験は、スタートアップが多い領域において一定の希少性があります。

レイヤー3

更に私は、Web3技術を使ったプロジェクトを立上げからリリースまで回した経験があります。

  • どのように予算をとるか

  • スタートアップと組むということをどう社内で見せるか

  • そもそもWeb3とは何か、短い時間で(興味がない方々に)説明する方法

  • 取り組みの先にどういった未来が待っているか

  • 既存アセットがどのように活きてくるのか

挙げればキリがありませんが、要はこれは前章に書いた「社内プロセスを如何にして通過させるか」を考える上で検討が必要なものです。

このレイヤー3の経験までくると、国内でも数十人レベルまで希少性が上がります。
Web3は黎明期かつリスクが不透明な箇所が多く、お客さまが触れる(=実証実験ではない)サービスを大企業が生み出した事例が非常に少ないためです。

経歴の活かし方

このレイヤー3の経歴はなかなか強力に作用しています。
私たちのサービスは事業会社の方々に導入していただく想定シーンも多いため、あらかじめ出て来そうな障壁をヘッジしたうえで開発や営業を進めることができます。

アクセラレータープログラムに応募することもあるのですが、私は銀行時代に事業者側担当者として参加した経験があります。
そのため、提案の先にいる事業会社側のマインドや気にしている点を一定予測したうえで提案を持っていくことができます。
(そのせいか、今のところ応募した案は打率10割で一次選考を通過しています。)

まとめ

正直私は猛烈に働いても構わない派なので、就職してから1,2年は
「ベンダーで汎用的なプログラミングスキルとか身につけたほうが良かった」
「コンサルティング会社でガンガン競争にさらされてしごかれた方がよかった」
と思ったこともありました。
(それもあって独学で先進領域に詳しくなろうと考えていました。)

起業してからも、最初は自身の経歴に価値がないと感じていた節はあります。

しかし、事業会社の内側で働いていた中で得たバランス感覚や知見を活かそうというマインドになってから、この経歴をもとに一定の価値が出せるようになりました。

キラキラしていない地道な価値をもとに、Receptというスタートアップの成長に寄与していきます。

おまけ

私が事業会社目線でWeb3業界に感じていたことをnoteに書いています。

また共同創業者の中瀬が創業話を書いてくれています。ぜひ。
(私目線でもそのうち書きます。)

またこんなところに書いても目に留まらないと思いますが、当社Receptでは積極採用中です。(エンジニア、営業、事業開発それぞれ)
もし少しでも興味がある方は私のプロフィールのfacebookからご連絡ください。

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