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ラジオドライブ

趣味と呼べることは少ないけれど、しいてあげるとすればラジオドライブだ。

「あぁ『ラジオ』と『ドライブ』ね」
と思ったそこのあなた、そうではない。

「ラジオドライブ」である。


んん?



乗馬ビリヤード…?




フルート生花…?



そう思ったあなたは同志だ。抱き合おう。

まず僕はラジオが好きである。と言ってももっぱら聴くのは芸人深夜ラジオばかりで、一時期は週に7番組ぐらい聴いていた。ただ流石に毎週追い切れなかったので、こそいでこそいで今は『オードリーのオールナイトニッポン』と『ハライチのターン』と、最近Podcastで初回から配信されているのを見つけた『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』を少しずつ消化しているくらいだ。

ラジオは疲れている時でも聴けるのが良い。テレビのように場所や姿勢を選ばないし、目を瞑ってしまっても構わない。

だからよく、寝ようとベッドに入った時にradikoで聴き逃していた番組をかけたりするのだが、そうすると寝落ちしてしまって結局最後まで聴けない。「どこまで聴いたっけなぁ」とシークバーを何度も右へ左へ動かすのも結構面倒だ。

だから今度は作業中にかけてみることにした。ラジオを聴くタイミングで鉄板なのは勉強中や仕事中だろう。耳しか使わないのでながら聴きにはもってこいだ。

だがしかし、僕の作業といえば曲作りである。最近始めたこのnoteや作詞の作業をすることもあるけれど、一番時間を割くのはやはり曲作りの時間である。

試しに一度やってみたことはあるが、途中でもっとしっかり音を聴きたくなって結局すぐにラジオを止めた。とりかかっていた作業が、自分の曲のMixだったのもさらに合わない原因だったとは思うけれど、耳しか使わないのがラジオの利点なのにガッツリ耳を使う作業とは当然めちゃくちゃ相性が悪い。

そんなわけで消化できていない番組が日々溜まっていっていた。


僕のもうひとつ好きなものがドライブだ。
18歳で免許を取ってからは友達を乗っけてドライブしまくっていた。夜景や星の綺麗な山奥まで行ってみたり、ただうまいラーメン屋に行くためだけに2時間車を走らせたりした。

実家の車は母親が通勤に使っていたから、母親が仕事から帰った夜や休日の限られた時間の中で乗り回した。

しかし3年前実家を出て就職してからは車を運転する機会はほぼなくなってしまった。それでも運転したい欲は湧いていたので、カーシェア(アプリで気軽に借りられるレンタカーのようなもの)を契約して月に数回乗っていたが、決して安く無い請求が毎月にきてしまっていて、それならと思って去年、リースではあるものの、念願のマイカーを手に入れた。

「よっしゃ乗り倒すぞぉ!」

————————————と思ったものの、
手にしてみると案外そこまで乗らないものだ。

というのも僕は元来一人行動が大の苦手だ。嫌いと言ってもいい。
どこかに入るのも誰かと一緒でないとおっくうで一人では全然出かけない。

実家を出て地元を離れて友人も知人もいないところに移り住んだことや、そもそも年齢的に友人はみな働いていたり忙しいというところもあってなかなか気軽に誘える人はいない。

流石に最近は「人生損しているし情けないな」と思ってひとり行動にチャレンジして、少しずつレベルアップを実感しているところではある。褒めてくれ。

まあ一人で音楽活動をしているからライブハウスに行くにも基本一人だし、ライブハウスでは交友関係を広げるためにも色々な人と親しくしなければいけないので、強制的に経験値を積んだ感はあるけれど。

そんな感じなので、一人で車を走らせてまでどこかに行こうともあまり思わない。思い返してみれば、車を運転する行為そのものも好きだけれど、道中の車内で色々な話をするあの空間もとても好きなのだ。


そこで編み出したのがそう、
「ラジオドライブ」だ。



なんてことはない、
ラジオを聴きながらドライブするだけ。



・・・。

「いや運転中にラジオ聴くとかめちゃくちゃ原始的じゃねぇか!!!」



と書いていても今自分でめちゃくちゃ思った。
オカシイなぁ、この記事を思いついた時はこんな風になるはずじゃ無かったんだけどなぁ…。

まあ移動中にラジオを聴く人はいても、ラジオを聴くために車を走らせる人はあまりいないんじゃなかろうか。

頼む、あまりいないでいてくれ。

いや、共感してくださる人がもしいたらそれは大変うれしいのだけど。

運転中いつも音楽しかかけてこなかった故に、ラジオをかけることを思いついた時に僕の中ではめちゃくちゃ革命的だったのだ。

凹と凸が噛み合ったというか、パズルのピースがはまったというか、テトリスで青い長いのが溝にすっぽり収まって大量に消せた感じというか。

何かをしながら聴くのがちょうどいいラジオと、ひとりではどこか手持ち無沙汰なドライブのふたつが合わさると、互いの短所を打ち消しあってとても心地よい時間が生まれた。

兎にも角にも僕が言いたいのは、趣味と呼べる楽しみがひとつできてとても喜ばしいということである。

まあそんなわけで、ハルの風の強い午後に、国道をニシエヒガシエ、ラジオを聴いてニヤニヤしながら、またアクセルを開けるのだ。


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