散歩のすすめ

私は、中学校で理科教員として勤めていましたが、生徒とうまくコミュニケーションが取れず、学校にいることが苦痛になり、うつ状態と診断を出され休職をしました。

現在は復職をして、校務分掌などほとんどない状態で、無理のない範囲で働けるようにと配慮していただいています。

そんな私が、休職中に心療内科の先生からすすめられ、現在も続けている散歩について少し書いてみようと思います。

自分と会話ができる

心療内科の先生に少し運動をするといいよ、散歩とかするといいよ。と話をしてもらいましたが、話を聞いたときは散歩なんかしたところで何か変わるのだろうか、と思っていました。

散歩を始めた当初は、本当に復帰できるのか、また人間関係に苦しむのではないか、自分はこの仕事に向いていないのではないか、転職をしなくてはいけないのではないか、とどんどん悩みが浮かんできました。そのたびに死にたい、消えてしまいたいという思いが出てきました。

しばらく散歩を毎日続けていると、自分の悩んでいたことがどうでもいいことなんじゃないかと思えるようになってきました。悩んでも悩んでも自分にはどうにもできないこともあるんじゃないか、と思えるようになり、世の中にはどうにもできないことはある、悩んでも仕方ない、適当に生きていこう、という思いが強くなってきました。ここの自分の気持ちの変化にきっかけは特に思い当たらないのですが、いろんなことを悩んで自問自答し続ける時間が散歩にはあったからだと思います。

いろいろな発見がある

散歩を毎日していると、同じ道でも自然の変化によく気付くようになりました。昨日までは咲いていなかった花が今日は咲いている。昨日まで咲いていた花が散ってしまっている。虫の鳴き声が聞こえる。鳥の鳴き声が聞こえる。自然への変化に敏感になり、毎日の散歩も退屈しません。

歩いたことのない道を散歩することも面白いです。この道は、どこにつながっているんだろう、どこに出るんだろう、本当に童心に帰ったように景色を楽しみながら新しい発見があります。

少しだけ自信がつく

継続は力なり、とはよく聞きますが、筋トレや勉強などなかなか毎日できなくて、できなかった自分に失望してしまうこともあるかもしれません。私も何か挑戦しようと思っても3日坊主で断念してしまって自分にがっかりすることの繰り返しです。

もちろん、散歩を毎日続けるのもおっくうな部分はあります。今日は仕事で疲れているし、もう一回外に出るのは嫌だな、雨が降っているからいやだな、と思うこともあると思います。ですが、雨の日の散歩もいつもとは違う自然があって面白いです。土のにおいや、アスファルトのにおい、雨の音の中で自然を楽しめるのもいいですよ。

そして、毎日続けられると自信につながります。これはいろいろなところで言われていると思いますが、継続をしているという事実が自信につながるのだと思います。自尊心も高まったのかな、と思います。

もう少しだけ

私にとって散歩をして得たもので一番大きいのは、もう少しだけ教員を続けてみようと思えたことです。今でも悩みは尽きませんし、人間関係にも悩みながら、苦しいと思うこともありますが、それもこれもどうでもいいな、まぁなんとかなるだろう、もう少し適当に生きていこう、という思いが自然と湧き上がってきます。

不思議なことですが、たかが散歩で、死にたいと思っていた自分を救うことができました。

教員の仕事がつらい、死にたいと思ったら、散歩に出かけてみてください。もう少しだけやってみようかな、と思えるかもしれません。




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