『椿三十郎』黒澤明全作レビュー&イラスト(21)
みなさんお疲れ様ですvintageです
個人的にはエンタメとしての黒澤映画で1本を選ぶとしたらこれですね、三船敏郎は相変わらず渋いですが、女性陣にタジタジだったりしてユーモアがあって凄くいいのです。
ここからレビューです
黒澤監督は基本的に続編は作らないのですが、『姿三四郎』はヒットに押されて続編を作りました、あとは本作です。
続編といっても素性もわからない腕の立つ浪人というキャラ設定だけが同じであり、ストーリー的には続きではないので本作だけでも楽しめます。
この時代の黒澤映画はユーモアの入れ込み方が実にうまいですね。もっとこのシリーズを見たかった気もしますが、、、
三十郎はアウトロー浪人キャラで安定のカッコよさ。ここに加山雄三を筆頭にした若侍たちのからみという構成がよくできています。金魚のふんというかアヒルのこどもみたいに三十郎について回る様は面白いし、シリアスな場面ともうまいバランスで成り立っている。
脇役ながら、睦田の奥方と娘が金持ちの天然さで三十郎をタジタジさせるところもいいですね。逃げなきゃいかんのにこんな高い塀は超えられないわと渋る奥方に自分の背中を踏み台に差し出す三十郎。ここまで女性にたじたじな三船敏郎もなかなか珍しい。
捕まった敵方(小林桂樹)のなんとも飄々とした雰囲気もいいですね。さらに睦田(伊藤雄之助)の馬面ネタとかも笑える。
数十人がバッサリ斬られるというシリアス展開もあるのだけど、ユーモアの配分がちょうどよく『用心棒』シリーズとしてpart3なども作れそうな魅力があります。
でも黒澤監督そういうのは嫌いだからなあ
未見の方は是非お勧めします
ではでは
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