見出し画像

コンサルティング?カウンセリング

お疲れ様ですキャリアコンサルタントのタケシマです

キャリアコンサルタントという職業について、まだまだ一般的認知が低いと言われています。厚労省の出している統計資料「令和4年版能力開発基本調査」をみてみましょう。
こちらの<個人調査>によれば、労働者全体でキャリアコンサルタントを受けたことがある人は10.5%。まだまだ低いですね、、、しかもこの内誰に相談をするかというと職場の上司・管理者が76.8%、企業内キャリア専門家6.9%、企業外キャリア専門家6.6%という内訳であります。
会社員としての気持ちを考えるとラインの上司・管理者には自由に相談しにくいと思われます。他部門への異動についても評価が悪くなったらどうしようと考えてしまいますし、ましてや他社への転職を相談できないですよね
一番本音で相談できるのは、企業外のキャリア専門家でしょうが6.6%と低いスコアです。統計から読み取るとこれがキャリアコンサルタントの認知度や利用度の現実なのだと思います。
厚労省は<転職を伴う労働移動>が活発になる社会を目指す方針であり、そのためには企業外キャリアコンサルタントへの相談を増やすことは必須なのですが、残念ながら前年調査と比較しても認知度、利用度はそれほど上がっていないのが現状です。

一方でキャリア相談を受けた人は、明らかに仕事への意欲が高まったりステップアップの転職をしたり効果は出ています。

今回は日本におけるキャリアコンサルタントの導入の歴史からこの問題を紐解いて考えてみたいと思います。

キャリア相談というとアメリカが本場です、ただアメリカではキャリアコンサルタントではなくキャリアカウンセリングと称します。日本では1980年代のバブル崩壊後に本格的に導入されてきました。そして、厚労省が明確に日本のキャリア支援の呼称を「キャリアカウンセリング」でなく「キャリアコンサルティング」としたことは、2002年に厚生労働省が公表した「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書に現れます。

カウンセリングではなく、コンサルティングとした意図を厚労省はこのように説明します。

アメリカにおいては、こうした個人のキャリアに係る指導・助言活動を「キャリア・カウンセリング」と呼称している。我が国においては、「カウンセリング」という用語が心理的な療法を想起させる面が強いことを考慮し、労働市場における職業キャリアの方向づけに係る相談・指導・助言を表す用語としては、「キャリア・コンサルティング」を使うこととしている。

ここから読み取れるのは、キャリア相談は心の問題だけではなく、広くキャリアの方向について相談・指導・助言するのだという厚労省の考え方です。

私個人としては、コンサルティングという言葉の方が幅広い領域を対象とするイメージがあり割と好きなのですがごく一般のキャリアに悩む方から見るとどうでしょうか。
いろんなキャリコン仲間に聞くと企業人の多くは心の問題を抱えています。営業のプレッシャー、職場のパワハラ、やる気が出ない、仕事と育児のバランス、などなど、、こう言った心の問題に対し相談・指導・助言をより専門的に行うためダブルライセンスで産業カウンセラーやEAPの資格も取得する人は多いです。

コンサルティンングとカウンセリング、、、言葉から受け止めるイメージの違いはどこにありますか

コンサルティング
課題解決型であり、マイナスをプラスに転じるエネルギーを持った相談者のイメージがあります。言ってみれば意識高い系のアプローチです。またグループとかチームで進めてゆくイメージもあります

カウンセリング
とにかく悩みがある、モヤモヤがある、マイナスをプラスにしたいがそこまでのエネルギーが出ない、、そんな相談者のイメージが浮かびます。こちらは心の悩み系のアプローチです。グループというよりは秘匿性の高い個人対個人の進め方のイメージがあります。

統計資料があるわけではないのですが、直感的には意識高い系よりも、心の悩み系のマーケットが圧倒的に大きいのではないでしょうか。
キャリアコンサルタントの認知・利用が広がらない理由の一つに名称含め大きなマーケットを取り逃していることはないでしょうか。
厚労省がなぜ「心理的な療法を想起させる面が強いことを考慮し」と考えたのかどうか背景を詳しく知らないのですが、入口として求められているのは心理的な療法かもしれません。

マズローの欲求段階説

現在の日本の企業人がどの辺で悩んでいるかというと、経済情勢も大きく影響していると思われます。長引くデフレにより住居や給料という<安全欲求>を満たすファンダメンタルな部分が不十分で、その上で職場の心理的安全性、教育など<社会的欲求>の部分に問題を抱えている方が多いのではないかと。そして<承認欲求>が満たされないという悩みも抱えている。
キャリアコンサルタントというと、語感のイメージからは<承認欲求>から<自己実現>の領域を想起します。
マズローの図がうまいこと作られているなあと思うのは、三角形がちょうどマーケットサイズを表すようにも読み取れるところです。

先ほど言ったように私個人はキャリアコンサルタントという名称は好きです。ただ時代の要請としてはマズローの図の下の方からのアプローチが優先度が高いのではないでしょうか。

入り口は心の問題を扱うキャリアカウンセリングで、相談過程で自己効力感が上がってきたらキャリアコンサルティングに移行するような二段階のアプローチが有効かもしれません。
そしてそれは我々キャリアコンサルタントが相談の現場の工夫でやれることです。相談者の言葉を傾聴し、その人がマズローの図で言うと現在地はどこなのかを理解すること。例えば、ブラック企業に勤め心身ともにネガなダメージを受けている人に自己実現の話をしても響かないでしょう、その人にとっては生きるか死ぬかの瀬戸際の問題が目の前にあるからです。

国家資格としての名称はキャリアコンサルタントとして定められていますが、相談の現場では自分の活動について相談者に寄り添うべくメタレベルの評価をしつつ進めることが重要だと思います

ではでは






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?