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vol.5 心と体のめぐりの原点

呼吸によるめぐり

前回は、姿勢から呼吸が変化する、とお話しましたが、呼吸が変化する事で自律神経への影響があるということは、裏を返すと、呼吸ひとつで興奮状態にもリラックス状態にもなれるということです。

禅や、ヨガに代表されるような腹式呼吸。これは深く横隔膜で呼吸をする方法です。本来正しい呼吸というのは、吸うときにお腹と胸が同時に膨らむものなのです。

この呼吸が崩れている人は、吸っている時にお腹が凹み肩がすくむような呼吸、いわゆるパラドックス呼吸というものになっています。トレーニングでは、この呼吸を整えていくことをそれぞれの方に合わせてやっていきます。


日々の暮らしのなかに、“リズム”をつくることで整えていく

恐らく昔の人は、例えば、狩りのときに、交感神経優位で身体にスイッチを入れて後は何もしない時間があったり、夜になると自然と暗くなり、副交感神経に切り替わり、呼吸も落ち着いた深い腹式呼吸になり、身体を休めるサインを出していたのではないかと思います。

夜はメラトニンが分泌されて睡眠へ、そして朝には太陽の光を浴びてセロトニンが分泌されて起床へ。そういった自然に沿った生活が難しい現代は夜になっても明るい蛍光灯の下で生活をし、ブルーライトを浴び寝るギリギリまで興奮状態となっています。

トレーニングの観点からみると、日々の暮らしのなかで、寝るモードに向かって行くリズムを作ることで自立神経の不調を改善へと向かわせることができると、捉えています。

朝には日光を浴びて起床出来るよう、例えば、カーテンを開けて寝てみることで、セロトニンの分泌を高めて、しっかりと身体にオンのスイッチを入れる生活をしてみる。

セロトニンは脳の扁桃体という部分に作用します。扁桃体とは記憶、経験から不安などの情動側面を司っていて、時には慢性の痛みを倍増させたりする場所です。セロトニンを分泌させることによって、脳の扁桃体に作用し、マイナス方向への思考や、鬱、自律神経失調症などにも効果的に働く。つまり、日光を浴びてセロトニンの分泌を促すことは、心にも大きな影響を与える、とも言えるのです。

そしてセロトニンから作られるメラトニンが睡眠へのスイッチとして重要な働きをします。セロトニンが不足すると、メラトニン不足に繋がり、寝られない、起きられない。寝たのに疲れる。このような悪循環の症状を引き起こしてしまいます。

寝る前のブルーライトや光の調節、起きる時のカーテンの工夫によって朝の日光を浴びること。日々の暮らしのなかに、リズムと流れを工夫して生み出していくことによって、呼吸、睡眠を整えることができる、さらに、心と体をめぐらせることができるのです。


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