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「Rebirth(仮)」(8)

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兄の回顧ブログの続き

2013年8月 セカンドオピニオン

入院してからは、少しでも生き残る可能性を上げたいとネットや本を買って白血病のことを勉強した。

同じ若年性のALLで闘病されてる患者さんのブログを読んでいくうちに、自分の受けている化学療法と違う化学療法を受けている人がいることがわかった。

僕が先生に勧められて受けていた化学療法はhyper c-vadというプロトコールで、同じようにhyper c-vadを受けている人もいたが、もう半分はALL 202_u という化学療法だった。
ALL 202_u をさらに調べてみると、最近僕と同じ若年性ALL患者に対して7割の長期生存を達成した、みたいな話だった。

急性リンパ性白血病は小児において、よく見られる癌で、小児ALLは8割以上が長期生存できるが、成人ALLはその半分ほどの成績である。理由はいろいろ研究されてるけどよくわからないみたいだが、1つは大人は小児が受けるような超強力な抗がん剤に耐えられないので、化学療法自体が小児のそれと比べて、弱いことも一因のようだった。
ALL 202_u は小児ALLの化学療法をそのまま若年性ALLに使う化学療法で、その激しさから-25歳くらいまでしか受けられない治療だった。

僕が入院していた病院は白血病治療に対して日本有数の病院だったし、先生も看護師さんも素晴らしい方ばかりだったので、信頼していたが、違う化学療法を選択している施設の意見も聞きたくなっていった。

2013年8月 セカンドオピニオン②

セカンドオピニオンを頼むのは、先生を信頼してないみたいで、少し気が引けたが命には変えられないので、最初のクールが終わった外泊してる時に先生に電話して、セカンドオピニオンを希望していることを伝えた。話し合いの結果、セカンドオピニオンといってもいきなり行くことも出来ないし、次の治療を遅らせるわけにもいかないので、第2クールが終わったあとに行くことになった。

セカンドオピニオンの先は ALL202_u の治験に参加していた都内の大学病院にお願いした。

第2クールも終わり、セカンドオピニオン当日。 聞きたいことは2つだった。

・今からでも ALL202_u に切り替えるべきか
・移植した方が良いか

答えは、今からでも ALL202_u に変えた方良い。ということと、現時点で移植のリスクを負う必要はないということだった。
入院先の病院に帰り、先生方と話し合った結果、転院はせず、次のクールから新しい化学療法を始めることにした。

2013年9月 新しい化学療法

第3クールから新しい化学療法が始まった。

既に前の治療で抗がん剤を入れていたので、ALL202_u を最初からではなく、途中の部分から始めることになった。

強力な化学療法なので、恐怖心はあったが、絶対再発はしたくなかったので、なんとか乗り越えようという気持ちだった。

最初のうちは心配していたような強い副作用も出ず、少し残っていた腫瘍細胞も完全検出度以下になり、順調に来ていた。

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