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飲食アルバイト50代お局様‼第14話 怒る、イジる、仕事丸投げ…さすがに気持ちを伝えさせてもらう2 

「あのね、でも私は良くないところは言っていくからね。コマ井さんの良くないところは人の話を聞かない、社長に対してハイハイって言うこの二点!これはダメです。絶対に!」
反論は許さないという威厳が感じられる。ていうかこの人本当に何者なんだ?バイト長?じゃあ、私もあなたの悪いところ言ってやりたいけどなぜか自分の意志に反して従順で当たり障りのない返答しかできない。
私「はい・・・悪いところは善処していきますがもう少し優しくして言っても良いと思うんですが・・・」
一号さん「私怖い?」
私「少し・・・。でも笑ってくれるしまあ・・・。」
嘘ついちゃった。本当はめっちゃストレスになってるけどもっと怖い人いるから。
一号さん「誰か怖い人いた?」
私「二号さん。この間入ったとき色々言われて・・・タメ口でしかりつけられるみたいな。」
という感じで先日起こったことを話す。
一号さん「そうなんだ・・・二号さん、もしかしてコマ井さんの言動がイライラしちゃって強く言っちゃったのかな?」
ちょっと待ってくれ。なぜ二号の肩を持つのよ。
私「イライラって・・・別に普通に言えばいいじゃないですか。怖く言っても言われた方は委縮してその後パフォーマンス下がるし全く生産性無いんですよ。ここって一杯のコーヒーの廃棄も出さないように頑張っているお店ですよね?社長はアルバイトやめるたびにまた求人出して面接してせっかく仕事教えても辞めちゃってっていう繰り返しでしょ?意味あります?」
一号さん「わかりました。でもコマ井さんの悪いところは人の話を聞かないところとハイハイって言うところです。これは本当に直した方がいいです。」
結局そこに戻るんですね。ハイハイってそんなに気になるんだ。反抗的な気持ちで言ってるわけじゃないんだけどな。
私「はい・・・」
一号さん「それとね、マナさん以外の人って皆コマ井さんより目上の人なのね。」
私「はい」
一号さん「だからそういうこともあると思っておいて」
は?私は悪いとこ直さなきゃいけない上に先輩の恐怖指導に耐えなきゃいけないってこと⁉
私「あの、でも二号さんって入って一か月ですよね?入って一か月の人が入って一週間の人をタメ口でしかりつける。これ、普通ですか?歳が上か知りませんが同じ時給でやっていて・・・」
ここで新規の客が入り忙しくなり会話は中断。
「ま・・・まあそう言う事です。」
「だいたいわかりました。」と威厳のある態度で答える一号さん。この人何とかしてくれるのかな?でも全てとまではいえなくても伝えることができたと思う。
そこにネズミ山さんが入ってきた。え?やめたんじゃなかったの?この間社長が熊田さんとひそひそ話してた。
「ネズミ山君、今日当日欠勤だから・・・辞めるって言ってる。鬱って怖いから・・・ひそひそ・・・」
あんなに一号さんから嫌われてたら普通鬱になるし辞めると思ってたのに来たのでびっくりした。
と厨房の方から一号さんの怒鳴り声が聞こえる。
ネズミ山「だからその件は俺が悪かったです」
一号さん「うっせーんだよ!もう聞きたくねーっつってんだろ!」
ネズミ山「すみませんでした!」
一号さん「男らしくねーんだよ!」
わ・・・すご・・・。
副店さんと私顔を見合わせる。ないわー。
オープンキッチンになっているのでこのののしりあいがお客さんに聞こえてしまうのではないかという不安を周囲の方が心配してしまう。
一号さんの怒鳴り声と言葉の荒さはクラシカルなカフェに底辺高校の不良少女が紛れ込んだような存在感を放っている。
心の中で突如こんな気持ちが芽生えた。
「この職場面白いかも」
今私は強烈なキャラクターに魅了されている。
社長に最低一年は続けてほしいと言われた。
でも言葉に人を縛る効力なんてない。
人を縛ることができるのは魅力だけなんだから。


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