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飲食アルバイト50代お局様‼第15話 優しくなったのは一度だけ、また元に戻った件

翌日二号さんとアルバイトに入ったが嫌な事言われなかった。単に機嫌が良かったのかな?それとも、もしかしたら一号さんが手をまわしてくれたのかも?ひょっとしたら本当に一号さんは頼りになる人物なのかもしれないぞ?

今日のシフトは一号さんの日だ。「この間マナさんが二号さんに注意してたからもしかしたらコマ井さんに対する態度があんまりだと思ったんじゃないかな?」と伝えられる。
「それとね、門野さんって知ってるよね?」ああ、あのゆーっくり動く門野卓三似の六十歳位のバイトの人か。静かな人だしあまりシフト重ならないからしゃべったこと無いけどあの人がどうしたというのだろう?


「二号さん門野さんに注意したら、オメーいいかげんにしろよって言い返されたんだって。」
何それ!めっちゃせいせいする話じゃん!門野さんおとなしいしのんびり屋さんだから意地悪お局二号さんの餌食になってたんだね。ちゃんとやり返せるなんて門野さんやるじゃん!「そうですよー。ちゃんと言わないとダメですよ。」とニコニコして答える私。

お客さんに「ランチメニューなんだっけ?」と聞かれてとっさに答えられない。4つメニューがあるけどカレーとパスタと・・・なんだっけ?
店内にあるメニューはレジ前のバインダーに手書きで書かれたもののみ。スタッフが確認するためのメモだ。
「すみません、メニューお借りしてよいですか?」と聞くと
「どうぞ、どうぞ」と一号さん。良かった。怒られなかった。
その他のシーンでも一号さんから注意を受けることはあった。
でも一号さんの言い方が柔らかくなった。
あ・・・そうか!前回自分の気持ちを伝えたからだ!
やっぱり言えばわかってくれるんだ・・・そう思ったのもつかの間翌日もまた覚えられなくて同じことしたら
「お店の内情見せないでください!恥ずかしいです。ちゃんと覚えてください!」
ジロリと睨まれかなりきつく怒られた。だったら前回覚えるように言ってよ。覚えられない私も悪いけど。

オーダーを取りバックヤードに戻ったら鬼の形相で「ここに重いお盆置かないでください!」と一号さん。
プラスチックのお盆の場所にステンレスの重いお盆が混ざって入っていることが気に入らないらしい。それはそれとして・・・
え?元に戻ってる?また怖くなってるじゃん!
どういうこと???私そこに重いお盆置いた覚えないけど時間ないから謝ってるし。
やっぱり私の言葉は届かなかったのか。残念だ・・・
としばしうなだれる。するとしばらくして一号さんが「今日元気ないね。」と声をかけてきた。えーっと・・・あなたに怒られたから働く元気失ってるんですが・・・
あげく「続けられそう?」と私に声をかける一号さん。うん・・・あなたとシフトに入ると続けられるか不安になるんだ・・・心配してくれるならもうちょっと優しく接してほしいんだけどな。

ベルが鳴り新規のお客さんが入る。
トレンチとダスターを持つと副店さんがお冷とおしぼりを手渡してくれる。
おお!ナイスアシスト!
新規のお客さんのオーダーを取りパントリーに戻ると副店さんが「ホットでしょ?」と言ってカップを指さす。
カップにお湯が張られている。カップ温めておいてくれたんだ♪
これからしようとした作業が完了していることにちょっと感動して「すごーい!なんでわかったんですか?」と聞くと「ああ、あの人常連さんだから」と笑顔で答える副店さん。
 なるほど・・・とはいえ簡単な事だけど痒いところに手が届くというかこういう先回りしてのサポートはしてもらった方としてはうれしいものだ。
仕事していく中で副店さんは的確に指示を出しフォローしてくれるので実に働きやすい。さすがフロアマネージャー!
入ったばかりでわからないことが多い私は当然失敗も多い。
そんな時副店さんからも注意を受けることは多々あるけど指摘がシンプルで短く言い方が嫌味っぽくないので素直に受け入れることができる。
いちいちとげとげしい言い方をしたり睨みつけたり、怖い顔で脅したり、何回もちゃんとやってくださいねといった念押しなどによる余計な装飾が無い。
この人信頼できるんじゃないだろうか?
一号さんの指導が辛い件、副店さんに相談してみようかな・・・



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