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【理学療法士】 「予防の相」を意識した健康指導

予防医学から健康的な社会を作りたい理学療法士のジローです。大学院で、公衆衛生学について学んできました。

今回は、その中で予防医療についてお話し、理学療法でどのように役立てるかについて記事にしました。

一口に予防と言っても、何をすれば良い?誰ができる?を【予防の相】で細分化することで、リーチしやすい対象者が増えると思いましたので説明します。

(以下の内容は、国家試験対策にもおすすめです)


‖  理学療法士が可能な予防とは?


私のような、中ぐらいに古い理学療法士は養成校時代には「理学療法士及び作業療法士法(昭和40年 ver.)」で

第二条 この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えること

と、「身体障害を持つ人」にしか十分に対応できなかった時代があります。

そのため、私たちは「現疾患の再発予防や重症化予防」に注力していれば良かったのです。

平成25年に厚生労働省医政局から出された通知:理学療法士の名称の使用について では、理学療法士が、介護予防事業等において、身体に障害のない者に対して、転倒防止の指導等の診療の補助に該当しない範囲の業務を行うことがあるが、このように理学療法以外の業務を行うときであっても、「理学療法士」という名称を使用することは何ら問題ないこと、また、このような診療の補助に該当しない範囲の業務を行う時には、医師の指示は不要

となったため、コソコソしなくて良くなりましたし、一次予防にもしっかり組み込まれるようになっています。

‖  三次予防とは?


現疾患の再発予防や重症化予防を「三次予防」と言います。先に述べた昔の概念での理学療法は三次予防ということになります。

しかし、以前の記事でもお示しした通りに、すでに罹ってしまい、生活に支障がある状態になる前にいくらか手が打てないものかと思うのが人の常です。

‖  二次予防とは?


基礎疾患などにより、ある生活に支障が出る疾患のリスクがあるが、その大きな疾患が発症まではしていない状態

例1)重度の高血圧だが脳卒中にはなっていない
例2)糖尿病をこじらせているが、合併症はない

リスクは顕在化しているため、健康診断によるチェックや、健康調査が対処方法となります。

高血圧・高脂血症・糖尿病などは運動を実施することで状態の改善が期待できる疾患であるため、この辺りにしっかり理学療法士が関われればいいですね。

‖  一次予防とは?


まだ何の基礎疾患発症していない健康の状態から、何かの病気を発症しないための予防を言います。

対処方法としては、健康教育や、啓発事業になります。

一次予防、二次予防ともに、どのように予防をするかの対処や戦略が重要です。しかし、これらの問題は、個人が健康診断・健康教室などの情報を得て、自覚し努力をすることで健康を守る必要があります。環境面や個人の特性から、これらの予防事業などを受け取りにくい人には全く届かない予防となっています。

‖  個人の努力に頼らずに健康に導く0次予防とは?


無意識のうちに健康に望ましい行動がとれる環境づくりから、疾病の予防を図る概念を0次予防と言います。

例1)タバコの自販機や灰皿が少ない地域
例2)運動しやすい公園が近くにある。街の建物もオシャレ。→歩きたい意欲が増す
例3)新鮮な野菜を多く使った食事屋さんが多い
例4)社会参加しやすく、友人と繋がりやすい
例5)健康的な情報を取りやすい

取り組みやすいものから、手が届きにくいものまでありますが、皆が健康的に生きたいという機運になってくれば、街や社会が変わってくると思います。様々な仲間が集まれば、大きな事もできそうなので、このような場所で、情報発信を頑張っていきます。


まとめ

予防医療の相について解説しました。

三次予防:日常生活に影響を及ぼすような疾患の重症化予防、再発予防

二次予防:すでに大きな疾患のリスクがあるが、健康調査や検診から、大きな疾患を発症させない予防

一次予防:啓発事業や健康教育により、健康な者を何らかの病気にさせないための予防

0次予防:予防を意識していなくとも自然と疾患が予防されるような環境づくりやシステム作り

指導する側も、それぞれのフィールドに合わせて、できそうな予防活動を実践していきましょう。







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