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脳卒中リハビリの専門家が、栄養管理に目覚めた理由

こんにちは。
公衆衛生の知識をフル活用して、健康的な社会を作りたい理学療法士のジローです。普段は、脳卒中リハビリの現場にいます。

公衆衛生に関する記事の他に、「栄養管理」も並んで多いのですが、私は病院内で栄養サポートチーム(以下、NST)に10年ほど所属をしている関係で、知らず知らずにノウハウが溜まってきています。自分なりにやってきた事を仲間に情報共有できればと、発信を継続しています。

とはいえ、最初から「栄養」に興味があったわけではないんですよね。

私は、キャリアの中で大回りをしていて、2回も大学院修士課程に行っていて(ダブル修士)、NSTに配属になったのが、1回目の大学院を卒業した頃でした。

当時は、運動学習や姿勢調整をベースとした研究をしていました。
大学の協力や、県の委託事業などとタイアップして大掛かりな測定機器や、当時の最先端のロボットなどを使わせていただくチャンスに恵まれ、日々データをとって、まとめる作業を繰り返していました。

最先端のロボットとなると、「もちろん患者さんは皆、使いたいでしょ?」と思っていましたが、全くそのような事はなく、思うようにロボット使用の同意(研究の同意)がとれませんでした。

要因として、当院の患者さんの年齢層が高かった事が挙げられます。担当患者さんの平均年齢が80歳を超えていることがほとんどでした。また、多数の併存疾患を持っている重症の人も多かったことも要因の一つです。

ロボットは、見た目がかなり仰々しいですし、設定にもかなりの時間がかかります。設定しているうちに体力の限界を迎えて、訓練が中断することもしばしばでした。


最先端機器を使った運動学習から、私が学んだ事


最先端機器を使用すると、とても良い運動学習ができると確信がありました。しかし、当院に当てはめると、それを使うまでに至らない患者の方が多く、全く活かせない現状がありました。

動作を練習する土台となるコンディションや、体力がなければ、機器を使用した反復的な練習は不可能であり、まずはここに着手しなければ、効果的な運動学習は難しいと感じました。


どのようにすれば、運動量を確保できるか


患者さんを見ていると、活気がある患者さんは、しっかり運動量を確保できていました。

「活気」や「気力」を階層に分けると、

一番の底辺(ベース)には、その疾患や併存疾患が適切に管理されていること

中間階層に、栄養や水分がしっかり摂取できていること

その上に睡眠による体力回復や、前向きなメンタルが乗っかるといったモデルを想定しました。

疾患・併存疾患管理は、医師・薬剤師・看護師が主かなと。
睡眠、メンタル面も、看護師さんが主でフォローしてくれているし、、。

自分はNSTでもあるから、自分が関与できる領域では、栄養状態を把握しながら運動をする事に気をつけることで、土台作りに寄与しようと考えました。
当時は、栄養の知識自体が無かったため、正解・不正解が全くわかりませんでしたが、管理栄養士さんに教えてもらったり、NST専門療法士の資格取得のための勉強から知識を補っていきました。

実際に栄養状態に留意した介入をすることで、今までにない手応えを感じる事ができましたし、ベースの体力がつけば、しっかり集中して反復して練習してもらえます。勉強をしていく中で、脳卒中の二次的合併症にも、栄養状態が大きく関わっていることがわかりました。

ここで、やっと栄養管理に目覚めたくらいで(NSTに入って4年くらい経過)、目覚めまでにはかなり長い時間を要しました。

栄養管理と言っても、理学療法士が単独でできる事はありませんが、チームで情報を共有しながら、栄養面も考慮した理学療法やリハビリテーション医療が展開される事が当たり前になる未来がくればいいなと思っています。
(自分の病院の中でも温度差がありますが、、、(涙))



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