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【S08:MUSIC】真っ白なキャンバスに夢を描く、エレガントなシンセ・ロック

vo.新井一徳(あらい・ただのり)とkey.菊地祐介(きくち・ゆうすけ)によるユニット・ELECTOILE(エレクトワール)。彼らの楽曲とパフォーマンスが志向するところに迫った。

唯一無二の『エレガント』を表現する楽曲作り

現在、ライブでのレパートリーは10曲程度というELECTOILE。作曲とアレンジはほとんど菊地が担当している。「一昔前は、自分の作りたいものを思うがままに作っていました。でも現在は『どういうものを作ったらより多くの人に届くのか?』と考えながら作っています」。

YouTubeでMVを公開している『ネガイ』は、ユニットとして初めて作った楽曲だ。「ふたりともT.M.Revolutionが好きなので、うっかりすると似たような歌詞を書いてしまうんですよね。だから『敢えてそういうワードを封印しよう』と話し合って、タイトルもシンプルに行き着きました」と語る新井。

MVの映像としてのカッコよさも含め、『エレトワらしさ』を詰めこんだリード曲だ。

同じくYouTubeで公開中の『灼熱の太陽』は、元々菊地がソロで歌っていた楽曲だが、「イックンのために作ったんじゃないかというくらい似合ってしまいました。歌いこなしてくれています」。まったく同じ音源を使っているとは思えないという。

さらに、代表曲の一つである『Fly high』は新井の小学生時代の友人、『SOS』は菊地の友人から提供された楽曲だ。「僕らだけで活動していこう、とは思っていないんです。僕らがもっとよくなれるんだったら、色んな人からのアイディアを受け入れてやっていきたい」。

彼らが様々な手段を尽くして表現しようとしている『エレトワらしさ』とは、何なのか?

訊ねたところ、ふたりは声を揃えて「『エレガントさ』です」。

思いもよらない答えに、ますます彼らの楽曲を聴き込みたくなった。

見る者に衝撃を与えるライブパフォーマンス

ELECTOILEのライブでまず目を引くのが、菊地のシンセサイザーのプレイである。鍵盤の上で舞うような指遣い。両手両足を自由に使った演奏。

ダンスのレッスンにも通っているという菊地は、ソロ活動でもパフォーマンスに力を入れてきた。しかし「イックンとユニットを組んだことで、よりカッコよくなれた気がします。普通に弾くのも綺麗でいいかもしれないけど、もっと尖ってる、ぶっとんでるものを表現したいんです」。

最近はショルダーキーボードを使ったパフォーマンスのバリエーションも増やしているそうだ。

新井の華麗なステージングも見どころだ。ロックな楽曲は激しく、優しいバラードでは柔らかく、巧みに歌い分けていく。

ELECTOILEの他に、ギタリストの山口宗治郎と結成した『flosstRINGs(フロストリングス)』というアコースティックユニットでも活動している彼だが、そちらとは全く違う表情を見せる。「ユニットのテイストによって、ステージングや歌い方を変えるよう気をつけています」。

一般に、ボーカルとシンセサイザーのユニットでは、後者がステージの奥に下がりがちだ。しかし新井は「ふたりで前に出たいんですよ」と言う。『ボーカリスト』と『伴奏者』ではなく、並んで立つ彼らの関係性から生み出されるサウンドとパフォーマンスに注目である。

text:Momiji

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