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【S07:MUSIC】カジュアルに触れられる、本物の音楽で世界を変えたい

ピアノ弾き語りを中心に多彩な活動を行っているアーティスト・小鳥遊音(たかなし・おと)。よくある『ピアノ弾き語りシンガーソングライター』の典型に収まらず、幅広い活躍をしている彼女の楽曲群の内実に迫った。

1st single『Himawari』

19年5月に初のシングル『Himawari』をリリースした小鳥遊。普段は歌詞とメロディを同時に作っているが、本曲は過去の恋愛の思い出を書き起こすうちに「世に出すべき曲だ」と確信したことが制作のきっかけになったという。

「『Himawari』を代表作にしたいので、アレンジしてください」。小鳥遊から楽曲を手渡された野口氏は、メロディの素晴らしさと、歌詞の展開の面白さに惹かれたという。

「これは、ピアノバラードの作りをしたロックなんです。なよなよしたところは一切なく、本当に骨太で。

『僕は君のことが大嫌いになりました』から始まる歌詞をよく聞いてみてください。これがメインテーマであり、今回の実験です。Aメロはラジオボイスを使って、サウンドもデジタルで表現しました。Bメロからはアナログな楽器が出てきます。歌詞の凄みを音作りに反映しているんです。

トータルで骨太なロックになっていますが、バラードの美しさもキープしています。何層にも重なった形で音楽が展開していくので、私たちがあちこちに仕掛けた面白さを、ぜひ見つけていただきたいです」。

一方的なプロデュースではなく、小鳥遊と野口氏の『魂の取っ組み合い』で制作されたことがうかがえる。

YouTubeで公開されているミュージックビデオについて、小鳥遊は「『魂の喪失』を表現しています」と言う。「この楽曲を表現するために『見ていて辛いもの』を作りたくて。演技でも、編集でも振り切りました」。

今回の動画の編集はプロに依頼しているが、小鳥遊自身も編集について知識がある。感性と技術力、両方がともなっているからこそ、全体を見て判断ができるのだ。

「性格がせっかちなこともあるし、自分の中にイメージが確立しているので、制作速度は速いです」。非日常を感じてもらうため、髪型や服装にもこだわっているという。

小鳥遊が「勝負するために作った」という『Himawari』を、ぜひ視聴してほしい。

『小鳥遊音』の世界が詰まったアルバム作り

数百曲のオリジナル曲を有しているという小鳥遊は、これまでに3枚のアルバムを自主制作している。19年末には、まったく新しい二枚組アルバムをリリース予定だ。

「野口先生とタッグを組んで作った『Himawari』が素晴らしい仕上がりになったので、もっと作ってみようということになりました」。既に楽曲の選定は終わっており、現在はアレンジやジャケットの制作に取り組んでいるという。

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「小鳥遊さんは、作詞作曲やピアノ演奏といったシンガーソングライターの基本セットだけでなく、プロデュース能力が優れているんですよ」と野口氏はほめそやす。「直感でメロディがいくらでも出てくるし、今度のアルバムも驚くほどのバリエーションがあるんです」。

彼は次作のアルバムの説明として、ビートルズの『ホワイト・アルバム』を引き合いに出した。

「二枚組で、童謡からサウンドコラージュまで幅広く収録されている作品です。メンバーの4人がそれぞれ好き勝手やっているんだけど、俯瞰してみると、一つのアルバムとしてきっちりまとまっている。今、小鳥遊さんと作っているアルバムも、同じような雰囲気になると思います」。

完成後は、CDはもちろん、配信やダウンロード販売を通じて世界中の人に聴いてもらえるようにしたいという。「表現を届けて、相手をはっとさせて、世界を変えたいんです」。

「私はとても感情的な人間です。よく『ピアノの弾き方が面白い』と言ってもらいますが、一貫した弾き方ができないということでもあって。生き方はパンクでファンキーだし。でもポップでバラードです」と笑う小鳥遊。その生き方の豊かさが、楽曲の多彩さにもつながっているのだろう。

小鳥遊の色んな側面、あらゆるベクトルが詰まったアルバムの発売が待ち遠しい。

text:momiji

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