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【R20:STORY】幼馴染4ピースバンド・3 Tone Sunburst

Vo/Gt.髙嶋龍也、Ba/Cho.山岸佑司、Gt.後藤雅智、Dr.浅野敢太からなる4人組ロックバンド、3 Tone Sunburst(スリートーン・サンバースト)。中学校の同級生だった彼らは、東京都内のライブハウスへの出演を中心に活動。2021年11月で結成8年目を迎える。彼らが歩んできた歴史と、今後の展望を聞いた。

異なる背景をもつ4人が中学校で出逢い、バンド結成

Dr.浅野が音楽を学びはじめたきっかけは、小学4年生のとき、音楽会で大太鼓を担当したことだ。「それまでちゃんと楽器を演奏したことがなかったので、出来は散々でした。音楽の先生にめちゃくちゃ怒られました」。

5年生になると吹奏楽クラブに入会。パーカッションパートの一員として、楽譜の読み方から、音楽の基礎を教わった。「ドラムを叩き始めたのは、6年生になる少し前、先生に『ドラム座ってみなよ』と言われてからです」。

卒業後は、都内の中高一貫校へ進学。いったん音楽から離れた。

「中学には軽音部がなかったので、水泳部に入ったんです。部活でひたすら泳いだり、勉強を頑張ったりしていました。『高校生になったら軽音部に入って、またドラムをやろうかな』と考えていました」。

だが中学1年生の終わりごろ、不意にバンド結成の話が持ち上がる。

クラスメイトの高嶋、山岸とともに、学校から帰る途中でのことだった。

「みんなで『実は俺、楽器を弾けるんだよね』って話をしていたら、『バンドやろうぜ』って流れになったんです」。

Vo/Gt.高嶋は、物心ついたころから音楽とともに育っていた。

「父が趣味でギターをやっていたので、私も感化されて、幼稚園の年長か小学1年生くらいのときにギターを始めました。歌うことも好きで、よく家で歌っていました」。

Ba/Cho.山岸がベースを始めたのは、バンドを組む直前だった。

「幼稚園のころからピアノを習っていましたが、熱心に取り組んではいませんでした。中学生になってしばらくして、兄の影響もあり、ベースを弾くようになりました」。

あつらえむきに、山岸の家の近くには、中高生が無料で利用できる音楽スタジオがあった。三人は、放課後や休みの日に集まっては、合奏を楽しむようになった。

バンド名を決めたのは、活動開始から半年ほど経ってからだ。

「あのころ、よくみんなで楽器屋に行ってたんです」と、山岸は語る。

「当時、僕は3 Tone Sunburstの塗装が好きだったんで、『この色の名前カッコいいし、バンド名にしよう』と提案したら、みんなOKしてくれました」。

Sunburstは英語で太陽光を意味し、中央から外周にかけてグラデーション状に色が濃くなっていく状態を表す。ギターやベースの黒・茶・橙の塗装などで知られている。

さて、Gt.後藤がバンドに加入したのは、バンド名が決定する前後のことだ。

「小学生時代はサッカー小僧で、楽器には興味がありませんでした」と、後藤は振り返る。「でも中学に入って、『BECK』という映画をきっかけに『バンドっていいな』と思って。ギターというものに興味がわいたんです」。

そのころ中学2年生に上がり、クラス替えがあった。「同じクラスになった高嶋と仲良くなって、バンドをやってるって話を聞いて。『俺も興味ある』と言ったら、『一緒にやる?』と誘ってくれました」。

当時、浅野や山岸とは、面識はあったものの親しくなかった。後藤が加入すると知ったふたりは、非常に驚いたが、気づけば打ち解けていたという。

そんなこんなで、3 Tone Sunburstとして、4人での活動がスタートした。

「中学2年生の秋ごろ、みんなで後藤のギターを買いに行った日を、正式なバンドの結成日ってことにしています」。2013年11月のことだった。

コピーバンドからオリジナリティを追求するバンドへ

中学生時代は、山岸の地元のスタジオに集まり、好きなアーティストの楽曲を演奏して楽しんでいた4人。「BUMP OF CHICKENやRADWIMPSをよくコピーしていました」。

唯一、まったくの未経験からギターを始めた後藤は、求められるレベルに追いつくのが大変だったと語る。

「曲を聴いて耳コピして、をひたすら繰り返しました」。

高校生になると、全員で軽音楽部に所属。部内の発表会や文化祭などで演奏するようになった。「とても楽しかったですね。ずっとこのまま活動できたらいいなと思っていました」と、浅野は懐かしむ。

初めてオリジナル曲を制作したのは、高校2年生のころだ。

高嶋は当時を思い出し、「『バンドやってるんだから、オリジナル曲を作らねば』って意識があったんですよね」。

それまでにも、歌詞は書いていた。

「実は、ノート一冊分、歌詞を書き溜めていました。それらを曲として、形にしてみたくなったんです」。

完成した楽曲を引っさげ、2016年5月には、江東区の木場公園で開催された野外ライブ・Kiba Stockへ出演。16年および17年夏には、全国高校生アマチュアバンド選手権・TEENS ROCK IN HITACHINAKAへ参加し、朝日新聞DIGITALの記事にも取り上げられた。

とはいえ、高校を卒業するまで、オリジナル曲だけでライブをすることはほとんどなかった。

「あくまでコピーバンドというか、部活の延長の感覚でした」。

大きく意識が変わったのは、大学へ進学した後のことだ。

「大学生になると、大人と対等に扱われるようになりました。自然に、レベルの高い方々と対バンをする機会が増えて、僕らも変わらざるを得ませんでした」と、山岸は言う。

当時の思いを歌った曲が、今では彼らの代表曲ともなっている『決意』だ。

その作詞と作曲を担当した高嶋は「世の中には凄いバンドがいっぱいいるってことを肌で感じて、焦りや不安に押しつぶされそうで、でも『この感情を昇華しないと、前に進めない』と思いました。彼らと競い合って超えていきたい、これからもバンドをやっていきたいって決意を、曲にしました」。

後藤も頷く。「大学に入ってからは、オリジナル曲を演奏することがほとんどになったので、考えることも、話し合うことも増えました。コピーの難しさとオリジナルの難しさは、方向性が全然違います。苦労は増えたけど、自分たちで曲を作ったりCDを出したり、ライブイベントを組んだりと、喜びも倍増しました」。

18年8月27日に1st mini Album『青年は、夢を零(あや)す』を発表し、新宿SUNFACEにて記念イベントを開催。19年6月28日には1st single『歌ひ女/決意』をリリースした。

より真摯に自分たちの音楽と向き合うようになった彼らは、新宿や渋谷、下北沢周辺のライブハウスなどへ出演を重ねた。

「コロナ禍の前は、ライブが活動の中心でした。月2~3本のペースで、どこかのライブハウスへ出ていました」。

いつまでも4人で、他にない喜びを奏で続けたい

コロナ禍が本格化した20年からはインターネットの活用に取り組んでいる。

「YouTubeへの動画投稿や、インスタライブやツイキャスでのトーク配信など、試行錯誤しながら頑張っています。ある意味、コロナ禍をきっかけに、『ライブ活動だけのバンド』から『総合的な音楽活動をするバンド』に変われたのかもしれません」。

20年3月19日には、リリース済みの楽曲のなかから『決意』『スピーチコード』を再レコーディングし、各種サブスクリプションサービスにて配信開始。反響は大きく、同年10月にはインディーズバンド音楽配信サイト・Eggsの「今日の一曲」に『スピーチコード』が選ばれた。

これまで発表してきたオリジナル曲は、いずれも高嶋が作詞・作曲したのち、全員でアレンジを行っている。「4人の好きな音楽や得意分野が違っていることが、いい感じに作用しています。特定のジャンルにくくられるのではなく、『3 Tone Sunburstの音楽』と定義づけられたいですね。僕らにしか作れない音楽が、誰かの心に響けば嬉しいです」。

メンバーそれぞれに、今後の目標を聞いてみた。

高嶋は、ワンマンライブをやりたいと意気込む。「これまで、企画ライブを主催したことはありますが、ワンマンはないんですよ」。まさに今、準備を進めている段階だ。

浅野は「もっと大きな会場で演奏できるようになりたいですね」。憧れの舞台として、渋谷のCLUB QUATTROや、武道館を挙げる。「ステージからお客さんを見ていると、みんなの感情が揺れる瞬間に、グッとくるんです。もっともっと大きな会場で、もっともっと大勢の感情を揺さぶって、最高の景色を見てみたいです」。 

後藤は「最近、SNSなどを見ていると、うちのバンドの評価が高まっている実感があります。この輪を広げていって、全国の人に僕たちを知ってもらいたいですね」。

山岸は「ライブやCD販売で生計を立てて、いっぱしのアーティストになりたいです」と夢を語る一方、「一番は、ずっと4人でバンドをやっていたいですね。たとえ売れなくても」と付け加えた。

21年夏現在、メンバーは全員大学4年生。今後は就職、進学と道が分かれていくが、バンド活動を継続する方針は一致している。

「中高6年間は同じ学校だったので、当然のようにずっと一緒にいました。別々の大学に進学してからも、練習やライブのために週2回は集まってきました。これから、もっと大変になると思いますが、乗り越えたいです」。

彼らの進む道の先に、前途洋々たる未来がひらけていることを願う。

text:Momiji

INFORMATION

1st mini album『青年は、夢を零(あや)す』および1st single『歌ひ女/決意』は、ライブ会場にて販売中さらに。各種サブスクリプションサービスにて、音源配信中!

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