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【R29:STORY】どこまでもアーティスティックに生きていく・みけたはな

絵、作曲、シューゲイズなど、多方面で才能を発揮しているアーティスト・みけたはな。幼いころから絵を描くことや音楽を聴くことが好きだった彼女は、高校2年生のころにエレキギターを弾き始め、卒業後から本格的な活動を始めた。彼女が思い描く未来とは。

「創作をしたい」と思ったきっかけ

埼玉県出身のみけたはなは、一風変わった子どもだった。

「周りから『変』と言われることが多かったです。アイディアが突飛というか、目で見たものをそのまま受け取るんじゃなくて、無意識に連想したものと結びつけてしまうんです。『みんなと同じじゃない』っていうのは、ずっとコンプレックスでもありました」。

そんな彼女は、保育園のころから絵を描くことが好きだった。

「クレヨンで、思うがままに、自由に描くことを楽しんでいました。絵本や子供向けアニメをよく見ていたので、影響を受けたかもしれません」。

小学生になると漫画にハマり、特に、藤子・F・不二雄の作品に親しんだ。

「『ドラえもん』や『おばけのQ太郎』が大好きでした。当時は『大人になったら漫画家になりたい』と思っていました」。

ドラゴンクエストなどのテレビゲームにも熱中した。

「ファンタジーの世界観やキャラクター、何より、すぎやまこういちさんの音楽に衝撃を受けました。ゲームしながら涙が止まらなくなって、改めて『音楽ってすごいな』と思わされました」。

彼女にとって音楽は、生まれたときから身近にあるものだった。

「私の父は音楽が好きで、家にはピアノがありました。日曜の朝に目が覚めたら、父が弾くショパンやドビュッシーが聴こえるんです。それらは自分に染みついているというか、今でもクラシックを聴くと、他の音楽では得られない感覚があります。心臓がどきどきする感じ。私の音楽の原点は、クラシックにある気がします」。

彼女の父はクラシック以外にも造詣が深く、ビートルズやレッド・ツェッペリンなどの音源を流すこともあった。

「当時は何も分からないまま、ぼーっと聴いていました。中学生くらいになって、はじめてちゃんと集中して聴いて、『ああ良い曲だな』と思ったんです。それから色んな音楽に興味を持って、自分から聴くようになりました」。

時間があればインターネットを検索し、YouTubeなどで気になったアーティストの関連動画を辿ったり、ジャケットに心惹かれた音源を聴いた。

「洋楽を中心に、流行っているアニメやゲームの曲まで、数えきれないジャンルを聴きました。気に入ったアーティストを見つけたら、その人がどんな音楽に影響を受けたのか、ルーツを掘り下げていったり。音楽的な視野を広げることが、楽しくて仕方なかったんです」。

中学校と高校では軽音楽部に所属。バンドのボーカルを担当し、オリジナル曲を作って大会に出場するなど、熱心に活動していた。

部活動は楽しかったが、高校2年生ごろになると、「型にはまった音楽をしたくない」という思いが芽生えた。

「部活の大会は『5分以内の楽曲じゃなきゃダメ』とか『歌詞にネガティブな言葉を入れちゃダメ』とか、規定が厳しいんです。また、どうしても学生らしさというか、『元気いっぱい』『純粋』みたいな歌詞や演奏が評価されます」。

どれだけ工夫しても「規定に合わない」と一蹴されてしまうことに、不満を覚えた。「私が本当に表現したいようにやりたい、って思い始めました」。

折しも、ネットサーフィン中にニルヴァーナを知り、心を動かされる。

「もうカッコ良すぎて。『私もこうなりたい』って思いました。自分の創作心に火がついた瞬間でしたね」。

早速お小遣いを貯め、カート・コバーンのギターに似たモデルを購入。

「最初は、コードも何も分かりませんでした。好きな曲を耳コピして、真似をするところから、下手なりにがんばりました」。

同時期から、独学で作曲を開始。少しずつ曲数を増やし、SNSで発表するようになった。「私が通っていた高校は厳しくて、本名でSNSをやることは禁止されていました。だから芸名が必要になって、自分の飼い猫の名前を入れて作ったのが『みけたはな』です。5秒くらいで作った名前ですが、すっかり愛着が湧いています」。

自分らしい活動ができる環境を求めて

高校を卒業した春には、高田馬場にあったライブハウス・四谷天窓で初舞台を経験。

「初めてだったのもあるかもしれないけど、ライブって素晴らしいなと思いました。どんどんやりたいと感じて、誘われるがままに、あちこちのライブハウスへ出演するようになりました。多いときは、月5本くらい出てましたね」。

大学生活と並行して、アーティスト活動を本格化させた。

ライブを重ねるうちに、活動方針が定まっていった。

「自分に合ったライブハウスや、大事にしたいものが分かってきました。音響や設備はもちろん、共演する方々の世界観とか、お客さんの雰囲気も含めて『ライブ』だなって」。

2020年からのコロナ禍の影響も大きかった。

「ライブハウスが閉まったり、時短営業になったり、思う様に音楽ができなくなった部分はありました。私にとって良かったのは、その期間に、たくさん絵を描けたことです」。

子どものころは毎日にように絵を描いていたが、音楽活動を始めてからは、すっかり手が止まっていた。

「ギターや作曲の方が面白くなっちゃってたんです。でも、家にいる時間が長くなったことをきっかけに、再開しました」。

コロナ禍で何十枚も絵を描いたことで、急成長できたと語る。

「自分の楽曲に絵をつけるだけではなく、ポストカードを作ってライブ会場で販売するなど、活動の幅が広がりました」。

大学生活の後半は、将来について悩んだ。

「進学した段階から『早く手に職をつけて、両親に恩返しをしたい』と考えていました。でもアーティスト活動は続けたいし、時間がなくなるのは嫌でした」。

音楽専業で生計を立てていくことへの憧れはあった。

「それでも『社会人になって、限られた時間で、どれだけ表現できるかやってみよう』と決めました。音楽の先生にも『安定した職業に就けるのはありがたいことだよ』と、背中を押していただきました」。

実際に就職し、働き始めたことで、時間的、体力的な制約は感じている。

「毎日ハードで、家に帰ったら沈み込むように寝ています。いずれは、もう少し余裕を持てるようにしたいです」。

だが、学生時代に想像していたよりは、上手く両立できているという。

「なんとか自分の時間は作れているし、仕事から楽曲のインスピレーションを得たり、通勤時間にアイディアが降ってきたりすることもあります。『社会人になったら何もできなくなるかな』って不安があったけど、そんなことはなくて、よかったです」。

今後も働きながらアーティスト活動を継続すべく、努力を重ねている。

「時間を自由に使える学生に負けないくらい、アクティブに、想像力をもってがんばろう、フル活用しようって思っています」。

よりアーティスティックに、影響を与え合いたい

現在は月1~2本ほど、大宮ヒソミネを拠点にライブへ出演。TwitterやSoundCloudなどを活用し、多数の絵や楽曲を発表している。

「最近になって、やっと、自分にぴったりな環境で活動ができるようになったと感じています」。

2023年春には、Nintendo SwitchおよびSteamで発売予定のアドベンチャーゲーム・OUの主題歌『おまじないのように』の歌唱を担当。ゲームクリエイターの幸田御魚氏が作詞し、『トモダチコレクション』や『リズム天国』等のサウンドを手がけた椎葉大翼氏が作曲した楽曲を、物悲しくも美しく歌い上げた。

「SNSを通じてご縁をいただいて、貴重な経験ができました。私はやっぱりゲームが好きなので、いつか、もっと深くゲーム音楽に関わってみたいです。作曲者としてサウンドトラックを作るくらいに」。

5年後、10年後の目標を訊ねると「より解放的に、アーティスティックになりたいです」との答えが返ってきた。

「音楽を始めたときから、『売れたい』とか、そういうのはないんです。もちろん自分が好きなことでお金を稼げるって素敵だけど、稼ぐためにやるものではないと思っています」。

自分の表現を汲み取ってくれる人たちを大切にしたい、と語る。

「影響力を持ちたいというか、たくさんの人の目に届くように活動したいです。一番嬉しいのは、芸術的な活動をしている方に見てもらえることですね。絵でも、音楽でも、ファッションでも、どんなジャンルでも構いません」。

何かをきわめようとしている人と、互いに影響を与え合いたいと考えている。

「私自身、幼いころから、色んなアーティストの影響を受けてきました。たとえば子どものころは藤子・F・不二雄さんや鳥山明さんの絵をひたすら見て、真似して描いていました。音楽も、YouTubeやSpotifyを利用して、数えきれないほど聴いてきました。それらから少しずつ、自分のものにしていったというか。最初から自分一人だったら、何かを作り出せたのかな?と思うことがあります」。

これから彼女が生み出していく作品が、どんな人と、どんな風に波及していくのかを見守りたい。

text:Momiji,Tsubasa Suzuki edit:Momiji

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