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【RS14】日々を癒しに生きる・TAKAHASHI AYAKA

フリーのイラストレーターとして活動している、TAKAHASHI AYAKA。「せっかく生きているんだから、楽しいことをしたい」と語る彼女は、幼いころから絵を描くことが好きだった。高校から芸術を学び、専門学校を経て、現在の活動に至るまでの経緯を聞いた。

イラストレーターを志した理由

三重県出身のTAKAHASHIは、幼いころから、絵を描くことが大好きだった。

「ご飯を食べ終わってから家を出るまでの短い時間でも、幼稚園に行く直前の数分間でも、時間があればA4のコピー用紙を持ってきて、絵を描いているような子どもでした」。

それは小学生、中学生と成長しても変わらなかった。

「高校を選ぶ時期くらいから、将来はクリエイティブな仕事をしたいと思うようになりました」。

高校は総合学科へ進学し、芸術系の科目を多数履修した。

「油彩や彫刻、素描、デザインなどを学びました」。

学校の授業は楽しかったが、同じように芸術の道を志すクラスメイト達と関わる中で、気づいたことがあった。

「そういう世界には、描くことが純粋に好きで、常に何かを描いていないと死んじゃうような人たちがいるんです。ご飯を食べるのも忘れて、ひたすらたくさん描いているような。彼らを見ていて、『私はそうじゃないな』と思いました」。

彼女は、描き続けるより、何かを完成させることが好きだった。

「私は『この色を使いたい』とか『あのモチーフを描きたい』という気持ちが先にあって、手を動かし始めるんです。かといって、一つのものを突き詰めていく職人みたいなタイプでもない。中途半端かもしれませんが、やりたいところまで描きつつ、数も増やしていきたいんです」。

その中間地点で悩むうちに、イラストレーターという職業に興味を持った。

「イラストレーターの仕事って、必ず、商品と繋がっているんですよね。自分の絵が飾られたり、商品のパッケージになったり、そういう感動のために描けたら、嬉しいと思ったんです」。

高校卒業後は、創形美術学校へ進学した。

「もともとは、地元に近い名古屋や大阪の学校へ行くつもりでした。でも縁があって、上京することになりました」。

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上京して、最も大きく変わったのは、美術鑑賞の機会が増えたことだ。

「それまで、美術館や博物館に足を運ぶことはほとんどありませんでした。自分が描いていられたらいいし、身近にある作品に触れるだけで満足していたんです。でも、引率の先生について上野の美術館や博物館などへ行くようになり、解説をしていただくうちに、楽しさに目覚めました」。

以降、趣味と勉強を兼ねて、ギャラリー巡りをするようになった。

美術学校を卒業したのちは、WEBデザイナーとして就職。しかし、イラストレーターへの思いを捨てきれなかった。

「WEBデザインは、とても奥の深いお仕事でした。一人前のデザイナーになるためには、10年ぐらいは集中して取り組まないといけないだろうな、自分の絵も描きながら兼業するのは無理だな、と思いました。今、イラストレーターをやりたいという気持ちを大事にしようと決めました」。

好きなものを好きでいたい

TAKAHASHIの作品には、食べ物や、小物をモチーフにしたものが多い。

「可愛いとか、上手いとかだけじゃなくて、どんな場所に置いてもすっと溶け込むものを作りたいんです。食べ物も、学生のころはリアルに描くことが多かったのですが、最近は抽象っぽい描き方をしています」。

テーブルウェアや、机、カーテンなどの背景にもこだわっている。

「食べ物を描くときは、お皿も描くので、必然かもしれません。実在のブランドのお皿などをモチーフにするときもあれば、『こういうのがあったらいいな』と想像して描くこともあります」。

人物や犬など、生き物の顔を詳しく描かないのも特徴的だ。

「自分の絵柄では、目や鼻がじゃまだと思っています。表情がないからこそ、自由に受け取れる部分もありますよね。たとえば悲しい時に絵を見て『励ましてくれてる』と感じたり、怒っている時は、絵も怒って見えたり。見方次第で変えられる、決まり切っていないものが好きです」。

現在はInstagramの更新をメインに活動している。

「当たり前のことですが、描かないと作品は増えません。作品がなければ、どこかへ持ち込むこともできないし、誰かに見つけてもらったり、声をかけてもらったりすることもありません。まずはSNSを毎日更新するように心がけています」。

実際、インターネットで公開していたイラストが書籍編集者の目に留まり、21年9月刊行の書籍『イラストとパターンで魅せる かわいい布・紙・こもののデザイン』に見開きで掲載された。

イラストは、アクリル絵の具を使用した水彩画が最も多く、他にも色鉛筆、ペン、マーカーなど、様々な画材を使っている。

「アナログで描いた画像をパソコンに取り込んで、デジタルで加筆することもあります。GIFや簡単な動画を作ったり、ミクストメディアと呼んでもいいかもしれません」。

最近は、モノクロのイラストにも挑戦している。

「色を選ぶのは好きだし、色使いが綺麗だから好きと言ってくれる人もいるけど、モノクロだと、もっと形や柄、雰囲気で勝負できる気がするんです。面白い構図にしようとか、別の方向に頭を働かせる工夫をしています」。

これまで、正式な個展は開いたことはないが、セレクトショップや飲食店の企画展に参加したり、主催したりしてきた。

「池袋のStarbucks Coffeeや、新宿のバーに絵を飾らせてもらったり、キャンドルを展示するイベントをしたことがあります。いつか、ちゃんと場所を借りた個展をやってみたいですね。今はまだ名前を出すのも恐れ多いですけど、憧れの会場への持ち込みもしてみたいです」。

リスペクトしている、現在も活動中のアーティストとして、イラストレーターのさぶ氏と、画家の河合浩氏を挙げる。

「ギャラリー巡りをするなかで、おふたりを知って、圧倒されました。作品自体はもちろん、創作への向き合い方とか、多彩なジャンルに挑戦する姿勢などをふくめて尊敬しています」。

ぱっと見ただけでは、まったく異なる雰囲気の作品群のなかでも、TAKAHASHIにとっては間違いなく同じ『好き』があると語る。

「自分が好きなもの、好きだと思うセンスを守りながら、描き続けていきたいですね」。

好きなものを一緒に探求できる人と、仕事がしたいと考えている。

「たとえばケーキ屋さんの壁紙、コースター、店舗全体をまるっとデザインさせてもらうとか。パジャマを作るとか。10年以内には、自分はイラストレーターだったんだと自信を持てるような仕事や、企画がしたいです」。

彼女の『好き』がどんな縁を繋いでいくのか、楽しみだ。

text:Momiji

INFORMATION

TAKAHASHI AYAKAの最新情報は、HPTwitterインスタグラムからご確認ください。

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