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【RS19】私のための音楽が、他の誰かをも救えたら。・みおう

東京都を中心に活動しているピアノ弾き語りシンガーソングライター、みおう。小学生のころからインターネットを通じて歌い手文化に親しんできた彼女は、初めてリアルで路上ライブを見たことをきっかけに、音楽活動を開始した。その経緯と、今後に描く夢を聞いた。

歌い手に魅せられて

東京生まれ、東京育ちのみおうは、絵を描くことが好きな子どもだった。

「漫画家やイラストレーターになることが夢でした。一応、3歳からクラシックピアノを習っていましたが、始めた理由さえ覚えていません。なんとなくレッスンに通っているだけで、まさか自分が本格的な音楽活動をするなんて、思ってもみませんでした」。

彼女が音楽に興味を持ったきっかけは、インターネットだった。

「小学生のころ、ニコニコ動画などの配信プラットフォームで、いわゆる歌い手さんの動画をよく見ていました。なかでも好きだったのが、伊東歌詞太郎さんです」。

配信プラットフォームを視聴する習慣は、中学生になっても続いた。

ある日、伊東氏と、『ホシアイ』などで知られるボカロPの宮田“レフティ”リョウ氏のユニットが、路上ライブを行うという情報を知る。

「それまで、ライブなんて見たことがありませんでした。中学生だからお金がなかったし。でも、路上なら無料だし、家から行ける範囲だったので、足を運んでみました」。

初めてのリアルでのライブは、画面越しの視聴とは、全く違った。

「衝撃でした。生の彼らのパフォーマンスを見て、『自分もこんな活動がしたい』と心を動かされたことが、私の原点です」。

早速、スマートフォンで自分の歌声を録音し、SNSに投稿し始めた。

「少なからずコメントしてくれる人がいて、自分の歌を聴いてもらうことの喜びを感じました」。

そのうちに、自分で曲も作ってみたいという思いが芽生え、シンガーソングライターを志すようになった。

高校は音楽科に進学し、音楽理論やソルフェージュを学んだ。さらに、音楽専門学校主催の高校生向けライブイベントに出演したことがきっかけで、人前で歌うようになる。

「たまたま、ネットサーフィンをしていたら、そういうイベントがあることを知ったんです。当時はまだ、オリジナル曲は一つしか作っていなくて、カバー曲を中心に演奏しました」。

それから、様々なライブハウスやイベントへ出演するようになった。

「SNSでアーティスト仲間と繋がって、誘われたライブには全部出るようにしていました。ただ、思うようにいかない部分があったり、受験の準備などもあって、3年生のときにライブ活動を休止しました」。

それでも「音楽を続けたい」という情熱は変わらず、専門学校の門を叩いた。

専門学校を経て、本格的な音楽活動を開始

みおうが都内の音楽専門学校へ進学した時期と前後して、コロナ禍が世界を襲った。ライブ活動を再開したくてもできない状況となってしまったため、ひたすらに勉強し、制作に邁進した。

「高校までクラシック中心に触れてきたので、専門学校では一般的なポップスやジャズなどを学びました。オリジナル曲もたくさん作りました」。

楽曲制作の際は、歌詞にこだわっている。

「自分が見たもの、感じたことをそのまま書いています。歌詞を作ったあと、ピアノを弾きながら、メロディと一緒にコードをつけていきます」。

彼女の代表曲は、『Mugic(ミュージック)』だ。

「音楽の『Music』と、魔法の『Magic』を混ぜた造語です。音楽の魔法、みたいな。私が辛いときは、いつも音楽が寄り添ってくれました。高校生のころ、不登校気味だった時期の思いを詰めこんだ曲です」。

ライブが出来ない代わりに、インターネットの活用に力を入れた。

「毎日、YouTubeに動画を投稿していました。動画のカバーイラストも自分で描きました」。

制限の多い中でも研鑽を続け、2年生の夏ごろ、知り合いの企画ライブへの出演を打診されたことをきっかけに、ライブ活動を再開。アーティスト名を『みおう』に変更し、新たなスタートを切った。

「そのうちに、色んなライブハウスから声をかけていただけるようになって、多いときは月に4~5本くらいライブをするようになりました」。

翌年3月には卒業し、一般企業に就職。現在は社会人として働きながら、音楽活動を継続している。

進路を考えるとき、葛藤はなかったのだろうか?

「私の周りには、『アルバイトをしながら、音楽中心でやっていく』って決めた子が多かったです。でも私は、社会に出てる人には強さがある、と思いました。自分の音楽を聴いてくれる人のほとんどは社会人だし、そっち側の世界を知ってみたいなって」。

仕事を辞めて、アルバイト生活を始めることはいつでもできる。社会人として人生経験を積むことで、より多彩な歌が歌えると考えた。

初のワンマンライブの先に

就職して変化したことを訪ねると、「活動のペースもありますけど、一番は、自分が作る曲の種類です」。

学生時代とは、孤独の質が違うと語る。

「社会に出て、一人暮らしを始めて、守ってくれる人のいない辛さが身に沁みました。理不尽なことで怒られたり、仕事ができなくて落ち込んだりしても、自分で自分をどうにかするしかないんですよね」。

学生時代は、トラブルがあっても、親や先生が守ってくれた。社会人になると、そうはいかない。親や上司、ときには友人に相談もするけれど、「今ここ」には誰もいないことが当たり前だ。

「家に帰っても一人きり。自分で自分を励ましたくて、自分のために書く曲が増えました」。

環境の変化を感じながらも、2022年3月23日には代表曲の『Mugic』と『生きていて』の2曲を収録したデモ音源『いのちのうた』をリリース。さらに10月31日、『リブ』をはじめとした4曲入りのデモ音源『暮らし』を発売した。

23年1月29日には、下北沢STUDIO BAYDにて、主催ライブ『Mugic』を開催。尊敬するアーティスト仲間を集め、見事に成功を収めた。

8月12日には、真昼の月 夜の太陽にて、初のワンマンライブ『朝日を超えて』を予定している。

「みおうとして活動を始めた1年目は、とにかく必死でした。2年目が過ぎて、まだひよっこですが、聴いてくれる人も増えてきたし、そろそろワンマンをやってもいいかな?と思いました」。

ワンマンライブでは、通常のピアノ弾き語りに加えて、バンド編成での演奏も披露する。

「いつもと違うアレンジが聴けちゃうので、自分でも楽しみです。普段のライブではできない、お楽しみ企画も用意しています。ぜひ、多くの人に見届けてほしいです」。

現在はワンマンライブのことだけを考えているという彼女に、「5年~10年後はどんな自分になっていたいですか?」と聞いてみた。

「今の仕事は辞めて、音楽一本でやっていけるようになりたいですね。大きな目標というと難しいですが、VIVA LA ROCKなどのフェスが好きなので、自分もそのステージに出られたら嬉しいです。武道館でのワンマンライブにも憧れます」。

みおうが音楽を届けたい相手は、はっきりしている。

「今の私のモットーは、『私を救う私のための音楽が誰かを救う誰かのための音楽になれたら』です。私と同じように、仕事がうまくいかないとか、辛いことがあるとか、悩んでいる人に響いたらいいなと思います」。

彼女の音楽が、これからどのように広がっていくのか、興味深い。

text:Momiji

INFORMATION

2023.8.12(Sat) Open 18:30 / Start 19:00
みおう1stワンマンライブ『朝日を超えて』

[会場]真昼の月 夜の太陽(東京都新宿区大久保2-6-16 平安ビル地下1階)
[料金]前売¥3,000(+1drink) / 当日¥3,500(+1drink)

2曲入りデモ音源『いのちのうた』¥500、4曲入りデモ音源『リブ』¥1,000、その他手作り缶バッジやステッカーなど、ライブ会場にて販売中!

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