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【R11:STORY】新進気鋭のアニソン系ロックバンド・Hi Lu SeMAL

Vo.bell(ベル)、Gt.ryo、Ba.章太郎(しょうたろう)によるアニソン系ロックバンド・Hi Lu SeMAL(ひるせまる)。音楽の好みもプロを目指したきっかけも違う3人が出逢い、バンドを結成した経緯と、今後の目標を訊いた。

それぞれの夢を追いかけて

京都府宇治市出身の章太郎は、高校で軽音楽部へ入部したことをきっかけに楽器をはじめた。「最初はギターだったんですけど、全然弾けなくて。歌、ドラム、ベースとバンドっぽいことを一通りやって、高3のとき『ベーシストになろう』と決めました」と振り返る。

「ドラムはリズムキープが大変だし、責任が重い。ギターは花形で、ボーカルの次に目立つからしんどい。俺には、ベースの立ち位置が一番しっくりきました。縁の下の力持ち的なところが性に合ってたのかもしれない。他の楽器も好きですけどね」。

当時は、MUCCやgirugameshなどのビジュアル系バンドをよく聴いていた。「2010年代のバンドが好きです。彩冷えるとか。ビジュアル系のベーシストのライブ映像見ながらステージングを研究して、自分のパフォーマンスに取り入れていました」。

卒業後は関西の芸術大学へ進み、音楽学部の友人と複数のバンドを組んで活動。だが3年ほど経ち、バンドが解散してしまうと、しばらくは楽器も触らない時期を過ごした。「もう音楽はやめようかな、とも考えました」。

復帰したきっかけは、好きなアイドルへの思いだった。

「乃木坂46の秋元真夏さんがテレビに出てるのを見て、シンプルに『この人に会いたい』と思ったんです。握手会とかじゃなくて、現場で会いたいなって。『どうしたらいいんだ?あ、俺音楽やってたやん』ってなって、再開しました」と彼は笑う。

北海道函館市出身のryoがギターを始めたのも、高校3年生のときだった。「夏休みに友達がギターを持ってきて、『ちょっとやってみようぜ』ってなったのがきっかけですね」。

子どものころはオレンジレンジ、ポルノグラフィティ、Mr.Childrenなど流行りのJ-POPを聴いていた。

「ある日、友達からBUMP OF CHICKENのCDを借りて、衝撃を受けました。そこから音楽の聴き方が変わって、ビートルズとかオアシスとレディオヘッドとか、いわゆるUKロックにハマっていきました」。

ギターの魅力に取り憑かれたryoは、バンドやギター弾き語りの活動を始め、プロを夢見るようになる。

神奈川県横須賀市出身のbellは、高校を卒業するまで、ボーカルとして音楽活動をしたことはなかった。「吹奏楽部でトランペットを吹いていたので、少しは音楽に触れてきましたが、ほかのふたりに比べると、全然です」。

家で鼻歌を歌う程度だったが、出身地や家族の影響もあり、幼いころから昭和歌謡に親しんでいた。

「地元が同じっていうこともあって、山口百恵さんに憧れていました」。

水樹奈々などのアニソン歌手も尊敬しているという。

「高校を卒業するとき、大学へ進学することも少し考えました。でも『がんばって音楽で売れたい』という気持ちが強くなって、養成所へ通うことを決めました」。

養成所での出逢いと、Hi Lu SeMALの誕生

それぞれの過去と夢を背負って上京した3人は、18年4月から19年3月までの一年間、とあるシンガーソングライター養成所へ通った。

「養成所ではDTMの使い方を習ったり、ボイストレーニングやライブ形式のレッスンを受けたりしました」と章太郎は説明する。「講師の前で1コーラス演奏して、MCもふくめて評価してもらうんです」。

ryoは昼のクラス、章太郎とbellは夜のクラスに通っていた。

ある日の雑談中、章太郎が「アニソンを作ってタイアップを狙いたい」と話すと、bellは「私もアニソンが好き。そういうのが歌いたい」と盛り上がった。「『じゃあ、試しに一曲作ってくるから、歌ってくれへん?』ってなりました」。

その時、章太郎が1コーラスだけ制作したのが、のちにHi Lu SeMALの代表曲となる『Determination』だ。

「僕の思いを詰め込んだ曲を、そのまま表現してくれるひとを探してたんです。最悪、誰も見つからなかったら自分で歌おうかと思ってたけど、bellは綺麗に代弁してくれました。『この歌詞の意味が分からない』とか逐一聞いてきてくれるし、向き合い方が凄くて」。

bellもまた、章太郎が作った曲のカッコよさに魅せられた。

共鳴したふたりは「養成所を卒業したらアニソン系ロックバンドをやろう」と話し合いを進めた。

「バンド名のHi Lu SeMALは、元々、言い間違いなんですよ」とbellは微笑む。「カッコいい名前を決めたくて、ふたりでファミレスにこもって、色々調べてたんです。和訳辞典を引いているとき、たまたま『ひるませる(怯ませる)』という言葉を見て、『ひるせまるって何?』ってなって。ふたりとも違和感なくそのワードが入ってきたんです」。

しばらくして見間違いに気づいたが、インターネット検索をしても何もヒットしないことから、オンリーワンの言葉ということでバンド名に採用した。

「『無い言葉』なんで、英語の綴りも後付けで、カッコよさにこだわりました。誰とも、何ともかぶらない、検索したら一番上に出てくる。唯一無二の名前です」と章太郎は胸を張る。

だが、養成所の卒業からHi Lu SeMALの始動までには、約半年の時間が空いている。理由を訊くと、横から身を乗り出したryoが「bellはアイドルをやっていたんですよ」と教えてくれた。

「卒業してからしばらくアイドルをやって、いよいよセンターっていう話がきていたのに、それを蹴ってバンド活動に賭けた。カッコいいでしょ?」

何故、アイドルを辞めてしまったのだろうか。bellは考えながら「アイドルも楽しかったんです。お客さんとの距離が近いし。だけど自分の見せ方としてこれは違うな、と直観的に思いました。だからそっちは辞めて、前から計画していたHi Lu SeMALを頑張ろうと決めました」。

Hi Lu SeMALにryoが合流したのは、運命的な偶然が積み重なった結果だ。

ふたりとは違う時間帯のクラスに通っていた彼が章太郎と出会ったのは、養成所を卒業するタイミングだった。

「友達のライブを見に行ったら、ryoが対バン相手のサポートギターをしていたんです」と章太郎。終演後の会話で意気投合したふたりは、ユニットを組んで活動をはじめた。

「19年の夏ごろ、知り合いのボーカルを交えて、3人でライブをやろうとしたんです。でも、そのボーカルはなかなか連絡が取れない相手で、ギリギリまでちゃんと参加するかどうかが分からなかった。章太郎とbellが組んでることは知ってたので、『もしボーカルが来なかったらbellを呼んだら?』なんて話をしてたんですよ」とryoは振り返る。

「結局、知り合いはちゃんと来て、ライブは無事に終わったんですけど……その会話がきっかけで、俺もHi Lu SeMALへ参加することになりました」。

メンバー間の化学反応が生み出す可能性

2019年9月9日、下北沢BREATHでのライブにて、ryoが正式メンバーとして加入することが決定。年を改めて20年から本格始動し、月1回程度のペースでライブを重ねている。

今後の目標を訊ねると、bellは「演出にこだわったライブがやりたいです」と目を輝かせた。「会場をプラネタリウムみたいにして、キラキラの中で歌いたいです」。

ryoの夢は野外フェスへ出ることだ。「ロックフェスとか、人がワーッと集まっているところで派手にやりたいですね。あと、普段はエレキなので、アコースティックバージョンのHi Lu SeMALもやってみたいです」。

章太郎は、憧れのバンドが出演していた豊洲PITに思い入れがある。「あとはZeppツアーとか、大きい箱で演奏できるようになりたいですね」。

そこへ至る道のりのひとつとして、20年末にワンマンを行う予定だ。「100人はお客さんを集めたいです。結成一周年ちょいでもありますし」。

彼らに「Hi Lu SeMALの良いところは?」と訊いてみた。

「各々の背景や好きな音楽が全然違うからこそ、面白いことができると思ってます。今後続けていくにしたがって、より深みが出るんじゃないかな。メンバー間の化学反応が面白いと思います」と章太郎は力説する。

ryoは「章太郎は色んなジャンルの曲が創れるんです」と語る。「根っこはビジュアル系だけど、オーケストラっぽいのもできるし、良いと思ったものは何でも取り入れていく。楽曲の幅の広さが、うちの魅力だと思います」。

bellも頷く。

「ライブでは、色んなジャンルの曲を、一つのストーリーとして繋がるように演奏しています。私たちにしかできない世界観のバンドです。音源で曲だけ聴いてもらうのと、ライブを見てもらうのとではかなり違います。ぜひ一度、ライブにお越しいただきたいです。それで全部伝わるので」。

彼女は続けて「聞いてくれる人に元気を与えたい」と言う。「世の中には嫌なこともいっぱいあるけれど、私たちのライブを見ている間は、すべて忘れて楽しんでもらえれば幸いです」。

編者が彼らを見たのは、本格始動してから2回目のライブだったが、それとは思えないほどのクオリティだった。これから、どんなステージを作り上げていってくれるのか、期待が高まる。

現実に疲れた人は、束の間すべてを手放し、彼らが提供する別世界を楽しんでみるのも一興ではないだろうか。

Text:Momiji

INFORMATION

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1st CD 『海上都市の月と僕』
Hi Lu SeMALによる東京オリンピック非公式応援ソング。まるで海に浮かぶような、心地よい浮遊感に包まれるサウンドを体感したい。2019年12月19日リリース。全2曲、¥500 (税込)。

1st Single 『Determination』
Comming soon !!

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