起業家に迫る!なぜReapra と共に? 株式会社ジコウ 代表取締役 平田一茂氏
Reapraは、「研究と実践を通じ、産業を創出し社会に貢献する」をミッションに投資を行うベンチャービルダーです。現在は、シンガポール・日本をメイン拠点として、14か国で100社以上に投資をしています。
Reapraがミッションを達成するために「理論」として研究と実践を続けているのが「社会と共創する熟達」です。起業をご検討されている方々の中には、その独自の組織哲学を通して、実際の投資先はどのようにReapraと関わっているのか疑問に思われている方も多いのではないでしょうか?
そんな疑問にお答えすべく、Reapra投資先インタビュー『起業家インタビュー』を行いました!
このインタビューを通して、読者の皆さんに起業家としてReapraと伴走する具体的なイメージを描いていただけたら幸いです。
◎今回メインとなる読者:起業をこれからしようとしている方
◎こんな方も是非!:既に起業をされている方、複雑な領域にチャレンジしてみたい方、自己変容に興味のある方
「研究と実践を通じ産業を創出することにより、社会に貢献する」をミッションに掲げるReapra。東南アジア・日本の各地域に拠点を持ちながら、13か国 約60社のベンチャー企業へ投資支援を行い、数々の起業家と共に学習をし続けてきました。
とは言っても、具体的にReapraが起業家や投資先企業とどのような関わりを持っているのかがわからない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回はReapraが行う起業家への支援をご紹介するべく、投資先 株式会社ジコウ CEOの平田一茂さんにインタビューをさせていただきました!!
◎「社会と共創する熟達」とは?
◎Reapraの伴走支援って?
◎起業後の葛藤・やりがいは?
これらの問いに答えながら、平田さん(以下、‘’平田‘’として敬称略)がReapraと共に起業する選択に至った背景についてもお伺いしました!
起業家として学習し器を広げながら大きな産業に挑む姿をお伝えいたしますので、ぜひ最後までお目通しください!!
①Reapraとの関わり
インタビュアー:
平田さんは新卒で株式会社ベネッセコーポレーション、その後リクルートグループのindeedに転職されています。Reapraに転職するまでのキャリアとして、どのような背景があったのでしょうか?
平田:
前提として、自分自身の自己肯定感が低く、一貫していまは幸せを感じているけれど、将来当たり前の幸せを手に入れられないのではないかという不安がありました。その不安を解消するために、社会人として生きていけるスキルを身に着けたいと考えていました。そこで、ベネッセ時代ではプログラミングや英語のスキルを得たいと思い挑戦しました。しかし、会社の福利厚生で通っていたこともあり動機つかず、イマイチ没入没頭できませんでした。
そこで、何か今いる環境を大きく変えたいと思ってIndeedに転職しました。
マーケットリーダーの企業から、0から1へ大きくシェアを引き上げるところへ移ること、かつ業界の変化のサイクルが早い人材業界に身を置くことを通して自分をもっと高めることができると考えたからです。
Indeedでは、自分が得たいもの(待遇面や働く環境)を得られた感覚がありました。ただ数年立つとまた会社の制度や今の評価に安住することに不安を覚えます。自分の意志で何かを切り開くよりも誰かが作った良さそうな環境に飛び込み、周囲にマイナスの評価を与えないように他人の感情や行動を受け取ってうまく立ち振舞うことで、自分が不安にかられないように行動することが多いことに気づきました。また、環境をポンポンと変え続けて幸せになるには人生が長すぎると絶望しました。向き合いたくないが、根本的に自分の考え方を変える必要があるように感じたのです。
インタビュアー:
そこから、どうReapraと出会い、なぜReapraに就職することを意志決定したのですが?
平田:
まず第一に、自身に向き合うためには比較競争が激しい東京ではなく、地方で特に思い入れのある九州で仕事がしたいと思っていました。
第二に、元々起業してみたいと思っていて、起業家支援をしている場所で経営を学びたいと思っていました。また、そこから地方でしかできないことはなんだろうと考えたときに転職エージェント経由で自分の関心のあるアジェンダをもつReapraに出会いました。
Indeedのときは、自分が他人視点で動いていることもあり、誰かと比較されたり評価を気にしながら社会でずっと生きることが辛いと思っていました。元々やりたいことはなかったし、一つのことに執着している人はすごいと思っていました。Reapraでは起業家とともに、長期の自分の人生の捉え方、自分自身の豊かさを再定義したいと思いました。
インタビュアー:
平田さんがReapraへの就職を決めた背景がよくわかりました。Reapraといえば、独自の組織哲学がありパッと理解するのは難しいなと個人的に感じているのですが、平田さんはReapraの目指す「社会と共創する熟達」についてどう考え、なぜ歩むことを意志決定したのですか?
平田:
社会と共創する熟達を、自分自身がなりたい姿を一人に閉じずに、変化する社会と深くつながることで、次世代によりよい生活社会を提供しつつ、自分自身が主観的な幸福を得られるものであると解釈しています。
元々、自分自身はいまは幸せだけど将来は不安というのと、誰かと分かち合えないと幸せになれないのではないかという考えがあります。そのうえで、周りの人を犠牲にすることなく社会と接点をとりながら誰かと関わって前に進んだり後ろに戻ることや、社会の中で応援されていると感じることが持続的な幸福であると思っています。
インタビュアー:
人とのつながりを大切になさっているのは、お人柄からも強く感じます。
先ほどのご回答に、「次の世代」にもフォーカスを当てていらっしゃっていましたが、どのようなところからそのよう次世代の人々への想いが生まれてきたのでしょうか?
平田:
主観的にはなりますが、将来への不安は増幅しているし続くと思っています。
自分も経験した負の感情を次の世代が経験するのが単純にかわいそうだし、これで寿命が伸びているのでもっとかわいそうだと思います。
また、母親が子育てが落ち着いたあと、ある歌手の追っかけになっていて趣味に没入している姿をみて、次世代だけではなく一つ上の世代でも変わることがあると気づきました。
若い世代だけではなくどの世代にも固定観念に縛られることなく新しいチャレンジや学びを得ることができる社会システムにしたいと思います。
②株式会社ジコウ、起業後について
インタビュアー:
株式会社ジコウでは、Mission「あらゆるおとなが、じぶん色の豊かさを探求し続ける社会を作る」、Vision「はたらくおとなの創意工夫に、最も貢献する企業に」が掲げられています。
Mission、Visionの背景を教えてください。
平田:
前提として、Missionはジコウという会社が存在し続ける上でどういう社会をつくりたいかという使命であり願いとも言えます。、Visionはその社会をつくるために事業を通じてどういう価値提供をしつづけるのかという考えを反映しています。
ジコウという社名は、自分のなりたい姿を反映しています。
なにかいい機会や環境を他者から与えてもらうことを期待するのではなく、
自分で考え(自考)、自分で行動し(自行)、自分で工夫すること(自工)で、自分を幸せにしていく(自幸)ということを意味しています。
自分自身もそうですが、あらゆるおとなや社会も含んだものにしました。
ちなみに、起業当初はどんな事業をするかは決めていなかったです。
インタビュアー:
事業内容を決めずに起業するということに不安は感じませんでしたか?
平田:
不安感については、そもそも転職してから自分の給料が下がっていたので金銭面では手放すものが比較的ない感覚でした。それよりも将来への不安が上回っていたのかもしれません。
起業を通じて自分が後悔しないナイスチャレンジをしたいと思っていました。
インタビュアー:
社名やMission、Visionに込めた想いの強さが伝わりました。では、現在はどのような活動をされているのですか?
平田:
業務内容については、長期と短期でつなげて考えています。
長期に関しては、子どもが遊ぶように大人が働くことから学び続けることをイメージしていて、「大人版キッザニア」とよんでいます。領域でいえば越境学習領域になります。
短期に関しては、働く大人の中で創意工夫できていない職種の方にそれができる環境・機会を提供することを目指しています。その二つを両立できるのは転職だと考え、転職の意志決定のサポートを行っています。
全員の大人を助けることは難しいので、まずは日本の生産人口の11%くらいを占めているかつ自分も経験のある営業職にフォーカスしています。すでにある領域でターゲットを狭めているところと、長期のビジョンとのつながりから決めました。
インタビュアー:
ジコウが目指しているものがよく分かりました。では、今度は平田さん自身についてお伺いしたいと思います。起業してからの葛藤を教えてください。
平田:
起業家にとって、事業成長のキーは自分であり、ボトルネックも自分であると感じています。
起業することでは常に自分が意思決定者になります。
加えて、起業してからはなりたい姿や会社の目標とこれまでの怠惰な自分や現状数値との差分で悩みます。想定よりもはるかに地道なことが多い。
起業したら自分自身もいままでよりできることが増えると思っていたけれど、めんどくさくてやらないこともあるし、起業したら変わると思っていた部分が変わらなかったりすることを自覚して焦りを感じます。
今の自分の自我に引っ張られてやれるようにしかやれないし、赤ちゃんのように学べていないなと思います。
インタビュアー:
確かに理想と現実のギャップをみてしまうとつらいですよね。では、やりがいについてはどうですか?
平田:
やりがいは0から自分がみえる世界を手作りでつくっているところです。
また、それに対して意見をもらえることです。
以前は自分の意見をいうことに怖さをもっていましたが、今は自分の意見を言わなければならない環境なので、自分で主体的に自分のつくりたい世界をつくれている感覚があると思います。
また、自分は人の話を聞くのが苦手なのですが、インターン生やお客様からのご意見をちょっとずつ聞けるようになってきたなと思います。
インタビュアー:
そのように主体的に自分が動く原動力になっているものはありますか?
平田:
2つあります。
1つ目は、自分自身の願いを含んだ誰にも否定されない長期ミッションがあるということです。
否定されるとしたら、事業内容に対してになるのでそこを磨きこみたいですね。
2つ目は、リーダー像のアンラーニングができたことです。
自分のリーダー像として、リーダーというのはどの人よりもできる人でいなきゃいけないと思っていました。なので自分で業務を抱えてしまうことばかりでした。抱えすぎて一杯一杯になってある時、転職者の面談などの重要業務をメンバーに任せてみたところ、自分よりメンバーの方が自分が担当するより、クオリティが高いということがありました。そのようなことを通して、誰かに頼って進めることの重要さに気づきました。
インタビュアー:
誰かに任せるなど自分の行動を変えなければ、何も変化しないという状況に身をおいたことにより、アンラーニングをしたんですね。
平田さんは起業してからずっとReapraと伴走されていますが、Reapraの支援のあり方についてどう捉えていますか?
平田:
FLPの考え方が浸透してきたことによって共同学習ができるようになったと思います。
今までだったら社会と共創する熟達に共感している、ライフミッション、マスタリーテーマを設定することにインターン生も起業家も共通認識がとれていました。
それがよりFLPという考え方によって高解像度で捉えられるようになって、一緒にありたい姿に向けて進む共同学習スタイルになったなと感じています。
もう少し具体的にいうと、事業が伸びているからそれでいいでしょとはならなくて、自我を変容させているかステータスマップを使って話して、自分がなりたい姿に向けて強みを伸ばし弱みを変容させていきます。そこに起業家のみではなく伴走者も一緒に共同学習スタイルで伴走してもらっています。
※FLP=初期学習実践(First Leaning practice)
伴走者の支援を伴いながら、実践者が「過去の自分の学習様式を内省し、なりたい姿に照らした意思決定を行い、学習(=できないことを出来るようにする)する活動」を指す
※ライフミッション:人生をかけてエネルギーを費やし続けられると信じられ、かつ社会性を帯びたテーマ。
※マスタリーテーマ:
複雑性が故にまだ小さい次世代に跨ぐ社会課題で自分が執着して唯一無二の第一人者(=リーダー)を目指しうると信じられる領域。
インタビュアー:
起業家側も伴走する側もお互いに共同学習しているんですね。
では最後に、平田さんが今後学習していきたいことについて教えてください。
平田:
自分・自社に閉じない学習の場作りをしていきたいです。現在は、1対1でインターン生に教える教授型の構造なのですが、インターン生同士横のつながりをもった共同学習できる構造や場づくりをつくっていきたいです。それとつながっているのですが、あらゆる人から学んでいきたいと思っています。「できる」「できない」で人をジャッジすることをやめて、自分のもっていない観点から学習していきたいです。同業他社の方や、営業職に関する別業種の方とも交流していきたいですね。
また、いま現在、自分の学びの時間軸が短いなと思います。
目先の損得で判断するのですぐにできることしかやってことがないんです。
例えば、本当はインターン生同士で一緒に学び合いながら業務をする方が長期的に見たら良いのかもしれないのに、自分で教える方が早いので1対1 の教授型で業務を教えてしまっています。
5年後に学びになるものより、すぐに右肩上がりに成長できるものを選択してきました。
人の学びの時間軸はそれぞれなので、そこに寛容になっていろんな観点から学んでいきたいと思います。
平田さん、貴重なお話をありがとうございました!
Reapraは成長フェーズに応じた支援や、起業家/経営者とともに熟達に向かって日々継続的に伴走をしていています!
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