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知る人ぞ知る?茨城のお茶。

さしま茶農家のNAMIKIです。

前回あまり触れなかった産地としてのお茶のことについて投稿したいと思います。

…そもそも、茨城のお茶『さしま茶』とはなんぞや?

茨城の三大銘茶と言われているのが「奥久慈茶」「古内茶」そして「猿島茶」(※さしま茶)で、それらの地域で作っているお茶のブランド名です。

さしま茶の産地はお茶の産地としては北部の茨城県南西部に位置し、経済的栽培地域の北限が茨城の産地と言われているようです。

お隣の栃木県出身の私ですが、茨城でお茶を作っているなんて夫と知り合うまでは知りませんでした。

栃木や茨城より北でも作っている方はいらっしゃいますが、あまり出回らないのは様々な事情があるから… のようです。

ちなみに、

茶産地として北部に位置する=寒い地域ということによって病害虫の発生が抑制されたり…、

寒暖の差から新芽の茶の葉にはつやつやとした厚みがあり、深蒸し製法で製茶することによって適度な渋みとコクのあるまろやかな甘味がさしま茶の特徴として知られています。

しかし、さしま茶の産地はそれぞれの農家で畑や工場を持っていて(共同工場はない)、施肥管理や収穫時期、製造方法もそれぞれのやり方です。

深蒸しが多い地域ではありますが、地域や家庭によってうどんや煮物などの出汁や味付けが違うようにお茶にも産地的な特徴がありながらも各農家さんによって味わいは異なります。ちなみに我が家は中蒸し〜深蒸しです。

その為、さしま茶と言えど同じ味はないと言って良いでしょう。

(※他産地にも個人で工場を持っている方はいます。)

寒いということによってのデメリットは… 暖かい地域よりも収穫時期が遅く、お茶問屋さんがお腹いっぱいになる頃に収穫と製造をする為に良いものを作っても安く買い叩かれるところや、知られていない分、産地として・ブランドとして弱いところですかね。

知られていないのを逆手に取りたいところです(笑)

それと、春(新茶の季節)の遅霜・凍害にも気を付けなくてはなりません。新芽が枯れてしまいます。

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↑霜よけとして、この防霜(ぼうそう)ファンが重要な役割を担っています。

また、茨城・さしま茶の産地の歴史は意外にも古く、江戸時代初期の頃から栽培が始められたと云われています。(この地方の歴史書によると、栽培が確認されたのは1614年頃のようです。)

1859年には日本で初めて日本茶のアメリカ輸出に成功しました。


…嫁に来たばかりの頃は全く知らなかった茨城のお茶『さしま茶』。

どうです?ちょっと興味が湧いてきませんか?

綺麗事に聞こえるかも知れませんが、自分達が作ったもの(お茶)で誰かが喜んでくれたり、誰かの日常を彩る…ってこんな幸せでワクワクする最高な事ってあるのかなって思うんです。

もちろん大変な事も沢山… ありますが、私は茶農家として消費者としてこれからもお茶を楽しんでいきたいと強く感じています。

お茶は嗜好品ですので、是非お気に入りを探してみてください。茨城のお茶『さしま茶』も是非、飲んでみて頂けたら嬉しく思います。

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