2013年上半期マイベストアルバムは佐野元春のZOOEYです。

2013年上半期のマイベストアルバムですが、佐野元春の『ZOOEY』です。
アルバムタイトルの『ZOOEY』は、ギリシャ語で「ZOE(ゾーエー)=いのち」を語源としています。
タイトル通り、生命に対する尊さをストレートに歌った楽曲が多いです。
本作は、力強くそして優しさに溢れており、聴き心地の良いアルバムだと思います。
以下に自分なりに各楽曲のレビューを書いてみました。

◆世界は慈悲を待っている
アルバムのオープニング曲。
「♪若くて未熟なアナキストたちのために GRACE 今すぐ君の窓を開け放ってくれ」のフレーズは、
心の窓(=バリア)を解き放ち、いますぐ前進しようというメッセージだと受け取れます。
素敵な旅の序章はこの曲からスタートします。

◆虹をつかむ人
WOWOWの連続ドラマ『配達されたい私たち』の主題歌。
鬱になり心を失った男が、7年前の7通の手紙を届けるヒューマンドラマでした。
ドラマを見ていて、この曲は虹(=幸せ)をつかむまでの男の物語なのかもしれないと思いました。

◆La vita è bella
La vita è bellaは、イタリア語で「 Life Is Beautiful(=人生は美しい)」が語源になっています。
ライナーノーツで、「この曲ではひとの再生する力について書いてみたかった。」と述べています。
2011年3月11日、東日本大震災が起き、多くの命が失われました。
命は尊い同時に儚いものである。この曲を聴いてそんな想いを抱きました。

◆愛のためにできたこと
元春のラブソングは男女の深層心理を鋭く突いているのが特徴です。
「♪愛してると君は言う でも信じているとは決して言わない」というフレーズは恋人同士のあるあるに出てきそうな気がします。
恋人同士が肩を寄り添って聴くと、より曲の真実味が増すかもしれません。

◆ポーラスタア 
まずサウンドがカッコいいです。そして、元春の歌声が非常にイキイキしています。
「♪ほら、見上げてごらん 冬の星空 あれはポーラスタア 二人の行方 見守るように 瞬きを繰り返している」
愛し合っている二人を北の彼方の北極星様が見守ってくれたらどれだけ心強いだろう。
そんな気持ちにさせてくれる素敵なフレーズです。

◆君と行く道
愛されてるって言葉にできないくらい嬉しい。
人に愛されることで初めて自分を愛することができる。
愛しい人と散歩する時にはぜひ聴きたい一曲です。

◆ビートニクス
ロック色の強いナンバー。
元春が「♪信念のままに迷わずに歩け!」と力強く歌っています。
目の前の壁をぶち破りたい時に聴くと元気になれます。

◆君と一緒でなけりゃ
1993年発売のアルバム『サークル』の時にレコーディングされカットされた曲。
本人曰く、カットした理由は歌詞が過激だったとのこと。
冒頭で、「♪人間なんてみんなバカさ」と歌っていて拍子抜けしました。
歌詞は結構ストレートで過激ですが、腐敗した今だからこそ響いてくると思います。
聴いた後はスカッとして気分爽快になります。

◆詩人の恋
この曲は泣ける一曲です。
「♪残酷な運命 二人を分かつその日まで 私たちはずっと共にいる」の一節がお気に入りです。
時が変わり離れ離れになっても私達の心は共にあるという気持ちが強く現われています。
『グッドバイからはじめよう』、『彼女の隣人』と並ぶ元春の別離ソングです。

◆スーパー・ナチュラル・ウーマン
強くたくましい現代女性をテーマにした女性賛美ソングです。
縦横無尽に野原を駆ける馬のようという表現は実に的を得ていると思います。
元春もきっと女性には頭が上がらないんだろうなあと思いました(笑)
元春の言葉のユーモアがたっぷりつまっています。

◆食事とベッド
ピーナッツは二人の殻が合わさって初めて存在する。
愛は愛する男女がいて初めて成立する。
愛する男女をピーナッツに例えるセンスは非常にユニークだと思います。
人間は愛によって現代まで生存してきたと思うとまさに奇跡ですね。

◆Zooey
アルバムのラストナンバー。
元春の喜怒哀楽の感情がストレートに込められています。
元春が最後にリスナーに伝えたい言葉は、「♪誰もが誰かに ただ愛されたいだけ」。

元春の音楽は、人間愛をテーマにしています。
嬉しい時、楽しい時、辛い時、苦しい時、悲しい時、いつも元春の音楽に励まされています。
これからも愛をテーマに歌い続けてくれることを願っています。


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