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人っていいな 「カラフル」 森絵都著

閉塞感につつまれた社会
生きづらさを感じる日常
そんなときに読むと、
心が軽くなる
「カラフル」
森絵都さんの作品だ

人はいろいろな面をもっている
明るい自分
暗い自分
自分でも自分のことがよく分かっていない

主人公はひょんなことから、
真という中3の男の中に入る
心のホームステイをすることになる
魂として身体の中に入るのだ

主人公は真はどんな人物なのかを、
生活しながら探っていく
内向的な性格で
自分の気持ちを、
いじめをきっかけに
人に伝えられなくなっていた

主人公はそんな真とは逆に
どんどん自分の気持ちを
周囲の人にぶつけていく
ときにはケンカになり、
ときには本音を言うようになる
しょせん、赤の他人
思い切ってやってやる
そう思っていた

真は勉強もできなし、
背も低くコンプレックスの塊
そう考えていた主人公だが
真は、絵が人並外れて巧かった
絵を描くことで日々のつらいことを
耐えていた

そんな真の変化を見逃さなかった女の子がいた
だれよりも真の絵に救いを感じていた唱子
内向的だったけど、
自分の心の内側を
すてきな絵にしていたことを
唱子に知らせてもらい
驚く主人公

以下に重要な内容に触れます(いわゆるネタバレです)

心が入れ替わる前の真は、
実は自分だったことに気づいた主人公
そして当初、救いのない人と
思っていた真は、
実は周りの人に
気にかけてもらい、
優しくしてもらっていたことを理解する

元の自分に残ることを決めた
主人公

人はなかなか自分のことを
客観的に見ることはできない
この本のように違う人の
心と入れ替わったとでも
思わないと客観的に見ることはできない
それは感情がともなってしまうからだ

一度、その感情をとりはらって
自分を客観的に見ることができたら、
本当の自分が分かるかも知れない

主人公が、本当に望んでいたことは、
専門的に美術を学べる高校ではなく、
初めてできた親友の早乙女くんと
過ごせる何気ない日常だった

人っていやなところもたくさんあるけど、
いいところもたくさんあることがあることに
この本を読んで気づかされる

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