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高齢者デイサービスの新型コロナウイルス関係について、自粛開始から時系列にざっくりまとめてみた。

緊急事態宣言から約半年がたち、コロナウイルス対策についてまとめてみたくなった。

結論だけ先に言うと、対策そのものは「水際対策」が最重要だということだ。コロナウイルス患者を施設内に「入れない、見逃さない、広げない」の徹底ができるかどうかがカギだろう。

実はそれらは、インフルエンザ対策の時と何も変わらないのだ。予防・治療法が少ないので、皆が徹底するようになっただけだ。


思い返すと、2~3月のバタバタ感はすさまじい。

4~5月、緊急事態宣言後の生活や、6月からの緊縮明け、7月ごろからの第2波、政策の迷走も遠い過去のようだ。


今でも入居施設を中心に面会を限定的にし、外出自粛を要請している高齢者施設は多い。

現状は患者が発生したら保健所の指導で2週間程度の休業、しかも「グループを巻き込んでの休業」が必要になる。大規模ほどダメージが出るし、規模の小さい同業者にも2週間程度は致命的だ。

経営判断として、利用者の自由を制限することは正当だろう。職員に髪を切りに行くことも控えるように言うことだってあるだろう。

だが今年一年をしっかり振り返り、政策や企業独自のルールを見直すこと、とくに自由を制限すること是非は、客観的に問われるべきだ。

そのために備忘録として、2000文字程度でここにまとめている。


私は福岡市内の高齢者向けデイサービスに勤務している。

1月武漢のウイルス発生のころは対岸の火事だった。2月に国内感染者がでて、会社は対策に動き出していたが、職場の現場はまだまだ対策は少なかった。

3月の感染増加から休校要請、4月の緊急事態宣言より少し前に、まず有料老人ホーム入居の利用者が施設側からの要請で、自粛のため、利用休止を開始した。自宅からの利用者も、一部利用回数を減ずるなど、対策をおこなう人もいた。

やはり有名人の死去が、大きく響いたと思う。

このころのデイサービスは感染対策による業務量の増加があった。消毒作業、検温、体調確認、ディスタンスの確保などの環境整備だ。

また最大受け入れ人数の減少、営業活動の禁止などがあり、通所系の施設は軒並み営業利益が減少した。


4~5月が一番、職員、利用者、その家族ともに全体的にピリピリしたムードだったと思う。

利用者のマスクを持って行き忘れたことや、職員が家族の前でうっかりマスクを外していたため、家族からクレームをつけられるということも何度かあった。

近隣では営業自体を休止する同業者(主に病院デイケアや、有料老人ホーム付属のデイサービス)が出て、替わりの受け入れ先探しに奔走するケアマネジャーが多かったことだろう。


5月に入り、「ステイホーム」「あたらしい生活様式」という言葉が回る中、すでに3月からマスク・消毒用品が品薄で、備蓄も心もとなくなる。会社は2月ごろから動いたようだがそれでも手に入りにくい。海外から直輸入した物もあったようだ。

福岡は人口対比で全国トップ3に入る患者数増加で、医療関係者などは「なんでまだデイサービスとか行ってるの?」と平気で言っていたころだ。

職員にも、高齢のパートタイムさんなどは、家族からの要請で休職するという変化があった。デイでの一日は自体は自粛ムードに慣れ、落ち着きと穏やかさが戻ってきていたように思う。


6月ごろに感染者数が下火になって、入所系施設からデイサービス利用再開の許可がでる。自粛のせいでADLの低下が著しく、結局回復できないまま特養入所という方もいた。デイサービスは一時的に利用者数が回復する。

今度は三密の回避に思い悩む日々。

設備投資を多くし、サーキュレーター、検温装置、あらたな消毒液などを会社が導入する。

政府によりデイサービス側の営業利益の確保のため、なぜか利用者側にも負担を強いる制度が開始。家族側への調整や、書類作成、確認作業のため、デイサービス側の事務作業がさらに増加。僕自身の中で3月から渦巻き続けていた「絶対に許さない」という思いがMAXになる。


7~8月にかけて、国内の一日の感染者数が1000人を超し、市内の病院やデイサービスでも感染者のクラスターが発生。営業停止のため、利用者が流れてくるという事態になった。

消毒・換気・マスク着用が徹底されていても、感染者は出るのだ。

有料老人ホームからの利用者も再自粛で休止となり、家族の仕事が看護師や医療の関係者は再度利用の回数を減じる。

この当時は、感染者が出ることは「明日は我が身」という思いが強かった。


そして9月。福岡市内の感染者数は一桁が続いた。4連休も含めぼんやりと自粛明けムードが広がっている。

でも第3波は来るだろう。間違いなく。

10月の中旬~下旬に兆しが出るかどうかが勝負だと思っている。

デイサービスを続けなければ、利用者のQOLは低下し、職員は仕事を亡くし最悪寝たきりや自殺だ。振り返るだけでも、コロナがきっかけで生活が変わった利用者は多くいる。

最初に言った「水際対策」は、受け入れないことが最重要で、受け入れることが前提に考えたとき、結局は「0と1の間」が重要なのだ。



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