見出し画像

歴史を科学的に検証することの価値

「歴史にifはない」というが、史実として語れているものの中には、事実関係がはっきりしておらず、人によって解釈が分かれるものもある。

播田さんの書かれた「日本史サイエンス」という本は、特に解釈の分かれる歴史的な出来事を科学的に分析した本で、大変面白かった。

著者は父親を船大工の棟梁に持ち、ご自身も造船所畑を歩んでこられたこともあって、船舶関係の知見が豊富な方だ。

その豊かな知見をもとに「蒙古襲来」、「秀吉の中国大返し」、「戦艦大和沈没」の3つの事例について、何故それらの事が失敗したのか、あるいは成功したのか、ということについての内容がとても論理的で説得力がある。

これまで読んできた歴史書では、時のリーダーやキーマンがどのように考え、行動してきたのか、といった側面で語られていたものが多かったが、本書ではほぼそういった記述はなく、あくまで物量ベース、測定可能なものを元に考察されており、一部技術的な内容もあって素人には分かりづらい点もあるが、基本的には小学生の算数レベルで理解可能なものだ。

これをビジネスに置き換えて考えてみると、ある事業の成否を判断する際にも応用ができそうだ。

これまでに行ってきた事業の中での成功事例、失敗事例をエビデンスベースで分析することで、そもそも無理が生じているところはなかったのか、そのような意思決定に至らしてしまった要因は何なのか、ということについて冷静に分析することができるかもしれない。

民間企業では、恐らくそうしたことは日常的に行われているのかもしれないが、私が所属する非営利セクターでは、まだまだそうしたことは十分に行われているとはいえない。

歴史を科学的に検証することの価値は、主観的な価値判断によらずに、その時の失敗要因、成功要因を冷静に分析し、次に生かすことができる点だ。

科学的にあくまでエビデンスベースで事業の可否を判断するということ。

これを是非仕事の中にも取り入れていきたい。

宜しければサポートをお願いします。頂いたサポートを元に、今後もお役に立てるような情報を発信していけたらと思います。