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【台湾 10lane curry:十巷咖哩】おかわりの合言葉。

カレーライスが食べたいです。

炊き立ての湯気が白くキラキラしたごはんの上に、
どっぷりルゥをたっぷりかけて欲しい。
そう、お皿のふちまでなみなみとすこし親指に付いてしまうぐらいに。

毎年、夏であろうが酷暑であろうが関係なしに、
ぐっつぐつに煮たカレーうどんやチゲ鍋を自炊しては家族に引かれた目で見られ、

現在、台湾でも熱々の麵線を啜っているとクラスメイトにまで
「今天太熱了…?」今日、めっちゃ暑いよ…?
と苦笑いされる。

麵線めんしぇん。熱々とろみスープ麺

口の中を火傷でべろべろにしても、暑い日でも熱いものが食べたい。

実をいうとわたし、冷食がちょっと苦手である。
おそうめんもおそばも冷やし中華やパスタだって好きだし食べれるけど、
元気が出ないというか、そんなテンションのようなものだ。


先日、Twitterのフォロワーさんが、見るからに懐かしさを感じる和風カレーライスを紹介してくれた。

台湾では、いわゆる日本のカレーライス
『日式咖哩 』が台湾の食文化へ浸透されていて、とても人気がある。

日式:にちしき。
日本風。台湾のなかでアレンジされている。
ほかに各国、美式(アメリカ風)泰式(タイ風)などもある。
日本式:にほんしき。ほとんど日本と同等のもの。アレンジなく本格的。

カレー以外にも日本食をリスペクトして、
インスパイアされた素敵なお店をたくさん見かける。


最近、暑さで参っていたわたしのなかで、記憶の中にあるスパイスの香りが体内をめぐっていく。

カレーライス食べたいなぁ。
日清カップヌードルのシーフードカレー味を何度となく棚に戻したことか。

食べたいスタイルのカレーはじゃがいもがごろごろ入ってるやつ。
しみじみと想いを馳せながら、教えていただいた店名を照らし合わせて
Googleマップを確認していたある日、

黒地の生地に【咖哩飯】とネオンデザインのフォントで書かれたTシャツを着て、登校してきたクラスメイトがいた。

最近カレー食べたくて仕方がないわたしは、思わずTシャツを凝視した。
睨んでないです。

授業終了後、いそいそと身支度を整えて、帰りのバスに乗った。
目的のお店にできるだけ近づいて、徒歩で向かおう。

いつも帰りのバスの中から見ている景色だが普段、出向くことがない地域だ。
見知らぬ土地を歩くのはいつだって楽しい。

ふんふんと周囲を確認しながら着いたその先、

やってなかった。

えぇ…。

お店の都合で10日間ほど休暇期間に入ったらしい。


月間予定表に記された手書きの印はさすがにGoogleには反映されない。

呆然とふと、視線を上げると、咖哩の看板と並んでいる人たちが見えた。

台湾では、人が並んでいるお店はほぼ確信的に美味しいことが多いそうだ。

並んでまで食べたいし、待つことを厭わないファンがいることを示すそう。
Googleレビューも高評価みたいだし、
むしろはじめからここへ来たかのように、お隣にへそそそと移動する。

きっとおいしい。

タッチパネル式の自動券売機から選択する。


5時間後には晩飯が待っているのでお腹は空けておきたいなぁと考慮しながら
炸雞咖哩(唐揚げカレー)を選択した。


可愛らしい小姐にすぐ呼ばれたのでそろりと端の席へ着く。
外に待機している人達はお持ち帰り組だった。


奥に厨房があって、店内はとてもシンプル。
縦長のカウンター席は広い間隔のクリア板に仕切られているが、狭さは感じない。
揚げ物も注文が入ってから作りはじめるので、
タイミングによっては少し時間が掛かるらしいとのこと。
10分ぐらいだろうか、思っていたより早く、わたしのカレーが届いた。

盛り盛り。生卵ではなく温泉たまごだった。

白地に青しましまのお皿と中央の青いカップに入ったルゥ。
おお、卵と生野菜のサラダと果物付き。
唐揚げが大きい!と興奮した。

いただきますと心の内に挨拶をして、サラダを軽く口にしてから、
唐揚げをかじる。
ザクザクとした衣は揚げすぎず、肉汁も感じられて美味しかった!
コショウとチリパウダーが効いて少し辛いぐらいだが、
ほど良くスパイシーでこの唐揚げだけでも売れそうだ。

そしてルゥはニンニクとカルダモン・コリアンダーシードが効いている、
見た目よりしっかり個性のあるさらりと汁気のあるルゥだ。美味しい。
少し温かったけど、たまたまかもしれない。
外も唐揚げも熱いからまぁ良いかな。

もともと添えられたごはんは少なくて、ルゥが余ってしまったから、
もう少し食べたくてそわそわしてしまった。

くるくると小気味よく行き来する小姐が、ちょうどよく通りかかったので話しかけた。

「麻煩你,我想要一點白飯…它要多少錢?」
すみません、もうすこしごはん欲しいのだけど…お金掛かります?

片付けの手を止めて、ふんふんと聞いてくれた彼女が答えてくれた。

「不用錢,你告訴那個人,『加飯』」
お金はいりません。あの人に『jia fan』と伝えてください。

お皿持ってね、と厨房を指し示す。

言われるがままに席を立って、厨房内の人にお皿を差し出しながら
「じぁーふぁん」と伝えた。

嗯うん、とうなずいて、軽くごはんを盛ったお皿が返された。

合言葉みたいでくすぐったかった。

あとから情報を確認すると、ごはんとルゥがおかわり無料、
日式咖哩店として、とても人気店だったと知った。

わたしの前にも席を立ってお皿を持っていく人がちらほらといたが、
このことだったのかと納得した。

美味しいもんなぁと味わいながら、しっかり食べて、ごちそうさまと席を立つ。

ちょうど目が合ったあの小柄でかわいらしい小姐が、
「拜拜」byebye, と店を出るまで見届けてくれた。


合言葉は、じゃーふぁん。おぼえておこう。




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