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【世界ふしぎ発見放送】「台湾・大甲媽祖巡礼」にちょっとだけ参加してきた。

你好。

現在、台湾留学中の ろろ です。

台北市内の師範大学附属語学センターにて社会人留学をしています。


わたしにもほぼ毎週、参加しているミステリーツアーがあります。

今回はたまたま、いま話題の祭事に参加することができてしまったので、
記憶に新しい生のままを、できるだけ新鮮な状態で保存したい。

そう、まさに昨日。

4月22日土曜日・日本時間夜9時、【世界ふしぎ発見!】にて、台湾の特集が組まれていた、大甲媽祖巡礼だ。

大甲媽祖巡礼とは。
神輿に担がれた神像が、9日間かけおよそ400キロもの大移動をする媽祖(まそ)祭。台湾二大巡礼の一つで、媽祖の神輿を追い参加者11万人もが移動します。
日本のテレビ初取材となる歓喜と熱狂に包まれる9日間。

公式HPより抜粋



観ていない方にも分かりやすく、
ざっっっくり簡単に説明すると、
台湾国内で特に篤く、尊い女神信仰祭事だ。

わたしがこの祭事に興味をもったきっかけは、台湾在住ライター片倉真里さんが手がけたこちらの記事。

ぜひ、ご覧いただきたい。



記事を読み終わった後に、なぜか満ち満ち足りた気分にもなった。

『いつか機会があればいらっしゃい。』

わたしの中にある台湾人の血が囁いているかのような、
なんとも言えないふしぎな感情がこもる。

ひそやかに、いつかまた台湾へ渡った暁には、いずれ参加してみたいと思うようになった。


行き先がどこかわからない旅をミステリーツアーと呼んでいる。


『不可解』という意味であって、別に謎解きをするわけではない。


そろそろ一週間が終わる、週末のどちらか。

「明天早上七點起床,我來家。」あした朝7時におきて家にいくから。

じょじょ(舅舅:台湾華語でいう母方の叔父にあたる呼称)と出掛ける時はいつもこんなかんじだ。


当日朝、時間になるとオートバイのエンジン音が近付きながら聞こえてくる。
ベランダから見下ろせば到着したバイクを確認して、用意したカバンを背負って階段を降りる。
自分用のヘルメットを受け取ってバイクの後ろにまたがる。
体勢が整ったであろうものなら合図もなく発進する。重心が、揺れる。
近所の朝食屋さんに寄ってオートバイに乗ったまま注文、
出来上がった朝食を受け取ったなら、風をまといながら集合場所へ向かう。

わたしがいうミステリーツアーは、観光バスツアーだ。

台湾人しかいない台湾人のバスツアー。

日本でいうところの、はとバスのようなもので、
名所はもちろんコースもさまざま、日帰りが中心で、とても安価だ。
このバスツアー、とても楽しいのでいずれまとめて語りたい。

また旅行会社によっては、時間が余っていればコース外も気まぐれに寄ってくれたりと実に台湾らしい。

そう、わたしの場合、来たばかりの台湾。
国内の行き先を聞いてもよくわからないからこそ、ミステリーツアーなのだ。

「舅舅、今天我們去哪裡嗎?」
じょじょ、きょうわたしたちはどこへいきます?

「大甲媽祖」da jia ma zu


え、今日?


いつかはと願った祭事に突然ですが、参加できることになりました。

まさか日常生活にさらりと組み込まれるとは思ってもみなかったし、予想外だった。

今回のツアー内容は、巡礼地のルートまで赴いて、道中移動を参加体験するというもの。

テレビや記事でご覧になったように、あの神輿の下にひざまづいて直接ご加護を頂けるものではないけれど、
まざって参加できるだけでも貴重だ。

バスは高速を走り、台中市へ向かっていく。

台湾の高速道路。街の形が見れてすきです。



添乗員さんのアナウンスがはじまった。

バスから見下ろすと、進行していく大衆の姿に、気持ちが高まる。


Twitterでは動画になってます。



便利なApp

うわさのアプリを確認すると、媽祖さまはだいぶあちら方面にいらっしゃるようだ。

バスのステップを降りて、進行方向へ交じる。

今朝は肌寒いぐらいだったのに、
曇りから太陽がちらちらと差し込んできて、
おもいのほか暑い。
帽子も、日焼け防止の軽装も助かった。

道中の進行を補助する車が、爆音でお経?を流しながらゆっくりと並走する。
テクノ調に独特にリミックスされたお経は通年、新曲もあるらしい。
リリースは告知されてるのかな。

目印は目立つ方がいい。


周りを見渡すと、老若男女とはまさにこの事かと、本当にいろんな人がいる。

目の前の家族は、じじやばばの手を引いて、
隣のカップルは笑い合いながら、ハイキングに来ているかのように和やかだ。
いい大きさのキャンプカートには子供を乗せて、犬も連れて。

道路も堂々と渡ります。



旗と、守り札と、大きな帽子、途中の休憩で使用するためのマット。

巡礼者の神器。

あの背負うザックには、今回参加できなかった人のために、身代わりの何かが入っているかもしれない。

こういってはなんだが、本気なのだ。

服装や持参しているグッズから巡礼の本気度が滲み出ている。

バスから降りてすぐだった長い橋を渡り切ると、一般道路に出た。
歩道には大勢の人達が待ち構えていたように、大きな声でなにか叫んでいる。

その姿にまた圧倒される。


もらってもらって!!


突然、目の前に勢いよくペットボトル飲料を差しだされた。


「要喝水嗎?!」 おみずはいりますか?! 
「加油加油!!」 がんばってがんばって!!

戸惑うわたしに、じょじょはうなずく。

いただきなさい、と。

はじめは給水場が設けられているのかと思っていたが、違った。

巡礼者をサポートするために、会社や個人が無償で、飲料や軽食を配給しているのだ。

道路脇に所狭しと連なるそれは、
叫ぶような声援と共に、
多方面からたくさんの手から、いろんなものを差し出される。

飲み物、おやつ、うちわ、パイナップルや台湾バナナ、グァバなどの果物、ちまき、とにかくいろんなもの。

「おいしいから食べてたべて、力つけてね!受け取って!」

よく冷やしてあったり、食べやすいようにカットされていたり、
行く先々で気遣いのある差し入ればかりを手渡される。

自社の製品をアピールして名刺付きの試供品無料提供もあった。


もはや自社を公開!


工場があれば解放して休憩場に、
ガソリンスタンドも通常営業しながら、
涼める場として、

一般家庭でもトイレを貸し出したり庭の水を自由に使えるように、

軒先を解放して、椅子や日傘を設置して労う。

差し入れを食べたあと、
荷物になって困らないように、ゴミの集積場もたくさんあって、それもまたこまめに片付けている。

巡礼者のために用意したものは、手助けとして提供者が徳を積む。


幼い子供達も大人達がすることをみて、また促されながら、小さな腕でたくさん抱えて、たどたどしくも巡礼者に配る手伝いをする。

パイナップル、おこわ、エナジードリンクその他もろもろ




もちろん無理に受け取らなくても良いが、

わたしは何を手にとって良いのかまた戸惑いながらも、謝謝你、と何度も繰り返して、
それなりに受け取っていく。

『持ちきれないほど』とはまさに、このことかもしれない。
本当にもうどこにも入らない。

たくさんの差し入れを頂きながら、荷物を減らすために口も足も忙しい。


ガソリンスタンド通常営業中。


普段は作業車であろう青のホロ付きの軽トラが、今日は乗合車となっていた。
ぐったりとした巡礼者を乗せて、軽快に走っていく。
自宅に祀ってある神像だろうか、その神様を黄金の敷布で飾られた背負子に乗せて、ちょうど今から屈強な男性が道をゆく。

道ゆく男性へ声援と、手を合わせて見送る家族がいた。

日差し避けパラソルの下で、上半身裸のちょっと強面なおじさんは、
幼子の汗を甲斐甲斐しくやさしく拭う。

道ゆく人みな談話しながら、無理せず思い思いに休憩している。
そしてなにかしらよく食べている。

みんなどこから来て、いったい何時から歩いているのだろうか。



ぐったりと休む人達を横目に、巡礼の移動方法は徒歩のみかと思いきや、
わりかしなんでもいいらしい。

守り札をべたべた貼ったバイクや車が、ただ同じ方向へ向かう。


みんな一緒にいきましょう。



実に台湾らしくていいと思う。
過程は工夫して、参加することに意味があって、目的達成が大切だ。

今この瞬間、ここにいる人たちが信じているものはただひとつなのだ。

なんやかんやあっても最後には、すべてに愛を感じる。

いろんなものが在って、いろんなものが有って、どこか誇らしい。

この正気でいながら異様な熱気はむしろ心地よくて、もはや野外フェスのようだ。


しばらくすると、比較的、大きな交差点に差しかかった。
中華映画で観たような、長いラッパを携えた大楽団に交じりながら、
じょじょが誰かと連絡を取り合っている。

「好好好、謝謝、謝謝。」と電話を切りながら、
あっちにいくよ、とじょじょが指さす方向へ促された。

そこには今朝わたしが乗ってきたバスが待っていた。


え、もう、おわり???


高く上がっていた太陽から、逃げるようにバスへ乗り込んだが、
座席から見える向こう側の景色がもう別世界のようだ。

一抹のもの惜しさが、すでにさびしさに変わりそうだ。

時計を確認すると、バスを降りてあれから約一時間半ぐらい経過していた。

じょじょはというと、先に来ていたバスの同乗者たちと、
巡礼道中の感想を言い合っている。


わたしはアプリを開いてみた。

媽祖さまはいまどの辺にいらっしゃるのだろうか。

同じ目線はふしぎな気分。



いまどきの媽祖さまはリアルタイムYouTube中継配信をされているそうで、

なんだったらシード席から、媽祖さま目線も頂戴できる。

【媽祖さまこっちむいて!!】なんて、いつかファンサもしてくれそうだ。

のぼせたように疲れた身体をシートに預けて、
道中たくさん頂いた差し入れをつまみながら、日本にいる家族へLINEした。

『きょうは媽祖娘娘に会いに行ったよ』


あの日みた片倉真里さんの記事から今日になって。

ちょっとだけでも体感できて、本当によかった、
楽しかった。

この日見た光景はずっと忘れられないだろし、こうしてnoteに残すこともできた。

わたしは体験談としてこの日のことをずっと語っていくんだ。

いろいろあるけど、最後はけっきょく愛がいい。

そんな巡礼参加でした。


日本育ちの日台Hafuが、
台湾人に交じってのびのびと暮らしています。

よかったらまた見に来て下さいね。

再一見! (またあいましょう!)








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