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桜の謎

桜が満開だ。

一般的な植物のイメージ、なんとなく、芽が出て葉が出てその葉で光合成をして養分を作り、その養分で花を咲かせ、種を作り、枯れていく、、、という流れだと思う。

しかし、桜は葉よりも早く花を咲かせる。(そうでない桜もあるけれども)
つまり、光合成ができなくて養分が作れないのに、木に蓄えている養分だけであんな木全体を覆うような量の花を咲かせ、しかも咲いている間も養分を作れないからなのか、花が柔らかく木に付いている感じで、ちょっとの風でもすぐ散っていく。

桜に対して、儚いとか死とか、そういう共通のイメージがあるのは、ステレオタイプがすでにあるからという理由もあるだろうけれども、持ってる養分を振り絞って圧倒的に咲いて、すぐ散ってしまうような、この咲き方に対する直感的なイメージからも来ている気がする。

緑の葉は生命力に溢れてるような感じがするし、実際に光合成で養分を作って植物の生命維持をしている。緑の葉があるときに花が咲く植物は、もっと生命力があって丈夫そうな花が咲く。花に対するイメージ、結構物理的な要因そのままなのかもしれない。





最近知って驚いたこと、「ソメイヨシノ」は種の名前だと思っていたけど、実際には遺伝子が同じ個体を接木で増やしているのが「ソメイヨシノ」だということだ。これは、動物の中の人間でいうと、「ソメイヨシノ」は「ホモサピエンス」ではなく「山田花子」で、そのクローンが大量にいる状態ということ。
お花見してて見渡す限りの桜があるとき、それが全部同じ遺伝子のものたちなの、これは結構不気味な状態な気がする。
ちなみに桜だけでなく、リンゴの「ふじ」とか「シナノスイート」とかも同じことで、接木で増やした同じ遺伝子の木の名前らしい。

そして、桜やリンゴは同じ遺伝子の花粉を受粉しても種ができない。これは種の生き残りのため、同じ遺伝子の個体ばかりにならないようにする仕組み。だからソメイヨシノしかないような場所では、花が散った後に実ができないし、他の品種の桜が近くにある場所では、それらの花粉を受粉すれば実ができる。しかしその実の種を植えても生えてくるのはソメイヨシノではない別の桜なのだ。
リンゴも同じで、実を作るために別の品種の花粉をわざわざ農家の人がつけてるから、ふじを食べるときに中から出てくる種を植えても、それが木になって実ができる時にはふじではない実ができる。

自然に育ってれば1本の木の何十年かの人生だった桜の個体が、接木に接木を重ねて、1本の木よりはるかに長い時間、いろんな場所に存在してるという事実、そして同じ遺伝子の桜がそこらじゅうに立ち並んでいる事実、大気汚染とかの環境破壊を全然上回って自然摂理を破壊してる気がして、なんとなく不気味に感じてしまう。

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