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現実以上の「物語性」はない
写真を、ことに作品を撮ろうとすると、よく物語を創作しようとする。
彼氏と別れた日の夜、とか、音楽家を目指す私、とか。
個人的にそういう写真は見ててつまらないな、と思ってしまう。
多分それは自分が映画が好きだということに関係していると思う。
映画は断続的な瞬間の連続が、一定の時間をもって物語が進行していく。だからこそ、登場人物の描き方、細かな心情の変化が詳細に描き出せる。
ただ、写真は一瞬を閉じ込めしまう。そして、それ以外の時間を見ることが出来ない。組写真にしても、映画やドラマの尺数には全くもって満たない。
そうすると、写真を撮るために作られた物語はいつも陳腐になってしまう。なぜなら物語を深堀ることが写真にはできないからだ。
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だからスナップは楽しいと思う。
この現実世界は、人や動物やモノそれぞれの物語が連続的に進行し、交差している。
それが一瞬の光景として収められた時、そこに深みのある物語が生まれる。
写真を先行として考えられていない、数十年をかけた物語が現実世界には今も進行している。
砂浜には、出身地も年齢も性別も違う人達の足跡が残されている。
街には、誰かの捨てたゴミの上にゴミを捨て、それを突っつくカラスがいて、それを掃除する人がいる。
写真は、現実世界では流れていってしまう物語を押しとどめておく力がある。それをキャッチできる感覚がスナップに必要かもしれない、とぼんやりと思いました。
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