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バランスと視覚


前回のバランスと前庭に引き続き、今回はバランスと視覚について!

ビジョントレーニングが流行ってるように、近年は眼の大切さが注目を浴びてる。

ただ、どんな実技でもそうだけど、やり方だけを真似て臨床をするのはあまり好きじゃない。

運動・解剖・生理学的になぜその実技が◉◉の評価やエクササイズになるのかを理解しながら実践できたとき、何より自分自身が楽しい!

前庭についてはこちらの記事をどうぞ✨



視覚と経路

いまさら言うまでもないですが、視覚=視力な〜んてことはナシ。

視覚の機能には、動きや明瞭性、奥行きの判断、周辺視野などたくさんあります。

視神経・動眼神経・滑車神経・外転神経それぞれの経路と、視覚以外の領域との関わりを見ていきましょう。

抑えておきたいポイントは2つ

❶視蓋脊髄路とのつながり

調べてて初めて知ったんだけど、視蓋って上丘の別名なんですね笑

視神経は上丘につながって、そこから視蓋脊髄路へ。出発点である上丘は中脳にあって、視覚・聴覚・体性感覚に応答する場所

視蓋脊髄路は対側頸髄まで伸びて、頭と体幹の運動を眼球運動と協調させる役割を持ってます。

その経路の途中で、眼球の運動神経核や顔面神経、小脳と連絡してます


❷内側縦束に連絡

内側縦束は動眼・滑車・外転神経の通り道。

眼球に関する3つの脳神経は内側縦束によりお互いに関係性を持って眼球運動を制御します。さらに、前庭神経核にも連絡して前庭動眼反射に関わります。

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プロメテウス解剖学コアアトラスより


ちなみに、前庭神経核から視床下部への線維はめまいの際にみられる嘔吐と関係するそうです。

前庭神経核には視覚系・固有覚系・平衡覚系の全ての情報が送られるので、めちゃくちゃ大切ですね!

と言うか、ここさえ抑えておけばオッケーな気がしてきた。。。


瞳孔の反射

❶対光反射

一側の眼球に光を当てると、両側の瞳孔が縮瞳する反射のこと

❷輻輳・調節反射

近くの物体を見るときに起こる反射のことで、このとき眼には2つのことが起こる

1)両側の内側直筋が収縮して、寄り目になる(輻輳反射)

2)瞳孔が縮瞳し、水晶体が暑くなって屈折率が大きくなる


眼球運動の種類

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共役性運動と非共役性運動

全ての眼球運動の出発点は共役性運動or非共役性運動かに分けることができる。

共役性運動は両眼が同じ方向に動く眼球運動のこと。パスートやサッケードはまさにこれ。

反対に、両眼が別々の動きをするものが非共役性運動。例えば、本や新聞とか近くのを見るとき両眼が寄り目になるような運動(輻輳運動)、遠くを見るときの寄り目と反対の動き。


共役性運動~衝動性眼球運動(saccadic eye movement)~

対象物A→対象物Bに視線を急に動かすことで、意識的に眼球運動の速度を調整することが出来ないのが追跡眼球運動との違い。

共役性運動の中でも眼球運動の速度が速いバージョンっす。

面白いのが水平性と垂直性のサッケードは別々の神経回路で作られること。

水平眼球運動 👉 外転神経核近くの水平注視中枢

垂直眼球運動 👉 垂直注視中枢

だから同じサッケードと言っても上下・左右・斜めそれぞれを見ると、眼球や頭頸部の運動で違った反応がみられることがあるんですね。すごい納得。。。


共役性運動~追跡眼球運動(pursuit eye movement)~

衝動性眼球運動と違って、眼球を意識的にゆっくり動かすことができる。

衝動性眼球運動でも追跡眼球運動でも共通しているのは、随意的な運動であること。これとは反対に不随意的な共役性運動ももちろんある

それは、前庭性眼球運動と視運動性眼球運動。

前庭性眼球運動👉頭の揺れ運動による外界の像のブレを補正

視運動性眼球運動👉視野全体の象のブレを補正


❸非共役性運動~輻輳運動(vergence movement)~

両眼が同じ目標に向いているのを保つためのもので、奥行きの認識に役立つ


こんな感じで眼にはたくさんの運動があって、だから評価すべき項目も多い。



眼の能力をみるには、固定視・追跡性眼球運動・衝動性眼球運動をしっかりと評価しよう。

眼球の運動と頭の運動がそれぞれできないといけない。できないと、頸部での代償や眼に関する筋肉の過剰使用につながる。

例えば左目の内転運動

・右に移動する対象物を追う追視

・視線は正面を向いたまま、頭部を左回旋

全然、使ってるところが違いますね


脳震盪症状と眼球運動

追跡眼球運動の能力低下・衝動性眼球運動の遅延が報告されているように、眼球運動障害が予後の指標になる可能性がある。

ある研究では、事故直後の初期評価で円滑追視と衝動性眼球運動のどちらか一方あるいは両方の眼球運動障害がある場合、事故後8ヶ月経過しても障害が持続していたことを示した。対照的に初期評価で眼球運動が正常な患者の80%は全快するか、8ヶ月の時点での不快感はごく僅かであったとしてるんですね。


まとめ

・眼球運動は共役性運動と非共役性運動に分けられる

・共役性運動 👉 衝動性眼球運動・追跡眼球運動・前庭性眼球運動・視運動性眼球運動

・非共役性運動 👉 輻輳性眼球運動

・眼の能力は、固定視・追視・衝動性眼球運動で評価

・前庭神経核には視覚系・固有覚系・平衡覚系の全ての情報が送られるから、めちゃくちゃ大切


参考

・カラー基本生理学

・PTOTSTのための解剖学

・脳卒中理学療法の理論と技術

・カールソン神経科学テキスト 脳と行動

・プロメテウス解剖学コアアトラス

・頸部障害の理学療法マネージメント


ライタープロフィール

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運動器リハの中でも下肢疾患が大好き。今は上肢の魅力にも取り憑かれ、日々勉強中!

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