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レポート|ライブ配信・「法律学科」

こんにちは!
RE-STUDYコミュニティマネージャーのオギノです。

6月28日水曜日に、ライブ配信講座「哲学科」を行いました!
当日の様子を簡単にレポートしていきます!


<哲学科 講師プロフィール>
小川 泰治先生(おがぢ先生)
宇部工業高等専門学校一般科 准教授


今回から哲学科講座は「プレイバック高校倫理シリーズ 講座と対話で学んでみよう」というシリーズになります!


「プレイバック高校倫理シリーズ 講座と対話で学んでみよう」とは?

宇部工業高等専門学校一般科准教授であるおがぢ先生が、普段高校生に授業している内容をもとに、リスタ向けに展開するオリジナル倫理・哲学講座です。

この講座における「倫理」とは、善悪や正不正といった価値や人間の行為について学び考える(哲学する)ことを意味します。

価値や人間の行為は、「法」や「政治」と重なることもあれば重ならないこともあります。しかし、共通しているのは「たったひとつの正しい答えはなく、誰も答えを知らないもの」がほとんどであるということです。

私たちはこれまで、学校で教科書をもらい、年代を暗記し公式を覚え、蓄えた知識をもとに「正解のある問題」を解決する練習をしてきました。しかし、世の中は知識で解決できる問題ばかりではありません。いろいろな価値観があるために、はっきりとした答えが出せない「正解のない問題」がたくさんあります。犬にも人にも関わるお仕事をされているプロの方々であれば、動物と人のあいだにある正解のない問題に直面し、頭を悩ませる機会は頻繁にあるのではないでしょうか。

正解のない問題に対する対処法は人それぞれだと思います。知識で判断できる範囲であれば自分で落とし所を決めてみたり、「正論」らしく見える誰かの意見や多数の意見を参考に行動を決めることもあるでしょう。間違っているように見える人がいれば非難したり、議論しようとするかもしれません。

正解のない日常的な思考や悩みを考えるにあたって、倫理で取り上げるような哲学者や思想家の考え方は解決策を作るヒントになります。

そこで、この講座では前半に哲学者たちの考え方を学び、後半に参加者同士での対話(ワークショップ)を通じて、正解のない問題に対して自分で考えるトレーニングをしていきます。

リスタでは法律や科学的な知識を学べる他科目と並行して、自分で考える力を身につける練習のできる哲学科を尊重し、「対話ワークショップ」への参加を推奨しています。知識を蓄えることは自分の中から解決策を導き出す土台として必要不可欠であるものの、「実際に自分の意見を考えて言う」ということは、練習しなければなかなか身につかないことだからです。

参加者同士の対話ワークショップはライブ配信講座でしか体験することはできませんが、哲学者たちの考え方を学ぶ部分は後日公開する動画講座でも見ることができます。今回参加できなかった方は、動画講座の受講と、予定があえば次回のライブ配信講座に参加してみるのをおすすめします!


***


「最大多数の最大幸福」を目指す「功利主義」

さて、今回の講座で扱った考え方は「功利主義」でした。学校で習ったことがある方もいれば、覚えがないという方もいるでしょう。

功利主義とは、イギリスの哲学者・経済学者・法学者であるジェレミ・ベンサム(1748-1832)が確立した考え方です。(※詳しくは動画講座をご覧ください!)

ジェレミ・ベンサム|引用:wikipedia

この功利主義ですが、人と動物の関係に向けられ、ピーター・シンガー(1946-)という現代哲学者により動物への配慮を促す「動物解放論」として唱えられたことがあります。(※こちらも詳しくは動画講座内でご確認ください!)


ピーター・シンガー |引用:wikipedia 著作者:Bbsrock CC 表示-継承 3.0

シンガーが動物解放論を唱えた時代から50年ほど経った今、人間と動物の関係についての議論は深まり、私たちが動物への配慮を社会問題として捉えることは日々身近になっています。特に仕事として犬に関わっている方々は、人間と動物の関係と利益について考える機会が多いはずです。

動物の幸せを考えた行動を選択するうえで、シンガーの功利主義は参考になるひとつの考え方です。しかし、功利主義で導き出した「答え」は間違っているわけではないものの、いくつかの点を考慮すると、最善であると主張しきることはできません。ただ、正解のない問題に対処する時には強い手がかりになる考え方であるのも事実です。

実際に講座の中で「功利主義に基づいて考えるとどんな答えが出る?」という例に挑戦する機会がありました。自分の知識や価値観を根拠にすると別の答えになるものの、「功利主義で考えよう」と意識すれば、まったく違った答えを出すこともできると実感しました。

この経験から私は、

  • 何を判断の基準にするかによって、正解のない問題は導かれる答えがすぐ変わる

  • 判断の基準となる知識量や価値観は人それぞれなので、正解のない問題について人と争う(議論して勝とうとする)のはとても不毛......

だと改めて思うようになりました。

正解のない問題を考える時に「功利主義という過程を経て導き出される答えがある」ことを覚えておくと、自分と異なる意見を持つ人と話し合うときに「この人は功利主義に基づいているのかもしれない」と背景を想像できるようになる気がします。

言葉だけで見ると難しい概念に見える「功利主義」。おがぢ先生の講座では体感しながら学ぶことができるので、哲学について詳しくないという方ほど受講をおすすめできると思いました!

功利主義に関する講座の後は、哲学対話のワークショップを行いました。


哲学対話とは?

日々の生活では通り過ぎてしまう「問い」について、あえて立ち止まり、みんなでゆっくりじっくり考えてみることです。

哲学対話で取り上げられるテーマには答えがありません。

だれも答えを知らない問いについて自分の意見を話すことは、とても緊張したり、慣れていないので恥ずかしかったり、答えはないとわかっているけど間違っていないか不安になったりすると思います。だからこそ、安心して話をしたり考えたりできる場をみんなで作ることが大切です。

ライブ配信講座では参加者全員が匿名(リスタ参加名)で、発言をするときは一人ひとりに時間を設け、哲学対話のルールを守り、ひとつのテーマについて45分ほど語り合っていきます。

哲学対話のルール(守ってほしいこと)
1. お互いを尊重(リスペクト)し、バカにしない。
2. 話したい人は手をあげて(ボールをもらって)から話す。
3. 話している人以外は話をよく聞く。わりこまない。
4. だれかに無理やり話をさせない。
5. どの人にも伝わる言葉で、ゆっくり話す。

今回の対話ワークショップでは、講座タイトルでもあり功利主義の考え方でもある「結果よければすべて良しって本当?」というテーマで考えを深めていきました。

自分の意見を考えながら誰かの意見を聞いていると、新しい発見がありとても面白いです。こういう考え方があるんだという学びを得たり、それまで持っていた自分の意見に反映させたくなったり、価値観が更新されたりすることもあります。

また、自分が知っている言葉ではなく、どの人にも伝わる言葉を意識して伝えようとするのはなかなか頭を使います。私は考えをまとめたり言葉を選んでいるうちに、時間が過ぎてしまいました......。何回もワークショップに参加して、自分の意見をわかりやすくすぐに話せるよう練習したいと思いました。


***

今回の講座では功利主義を学び、じっくり話し合うことができました。

哲学対話のワークショップでは一般的なテーマを取り扱って話し合う練習をしていますが、慣れてきたら少しずつ、皆さんの興味が大きいであろう「動物と人のあいだにある問題」について話す機会も設けていけたらと思っています。

これからの哲学科講座、楽しみにしていてくださいね!





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