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02.BROMPTONの自転車

◉BROMPTON JUNCTION

 旅する編集者と言われたりする僕が、必ず旅に持っていくモノや、長年使い続けているマイスタンダードなモノ、その他シンプルにお薦めしたいモノなどを紹介する企画。第一弾の「ALL YOURS」につづく第二弾は、イギリスの折りたたみ自転車「BROMPTON(ブロンプトン)」。

 僕がよく、商品は最強のメディアだと言うのは、それを買うことでその人の暮らしが、人生が、変わるからだ。僕はこの自転車を買ったことで人生が大きく変化しつつある。

 小学生の頃、通称やーさんこと、大親友のヤスモトくんと二人、自転車で遊びに出かけるのが大好きだった。住んでいる神戸からすぐ隣町の芦屋に行くだけでも、なんだかとんでもない冒険に出た気持ちになったのは、やっぱりもって自分の足で漕いでいたから。

 海外に行かない僕だけれど、日本だってずいぶん広い。忙しさと比例するように飛行機移動が増えていく僕にとって、冒険心が距離で満たせないことくらい随分前から気づいてはいた。

 旅がちな僕は、最低でも旅に出ている時間と同じだけ、体験を反芻したりアウトプットしたりする時間が必要だ。いつものように地元神戸のカフェを渡り歩きながら原稿や企画を練り練りしていたら、「BROMPTON JUNCTION」と書かれた小さな看板を見つけた。

 吸い込まれるようにとはこのことで、これまで何度も前を通っていたはずなのに、まったく視界に入っていなかったそのお店に、そのときなぜか僕は目指していたかのような勢いで入っていった。

 細長い店内の片側の壁に、整然と並べられた折りたたみ自転車の姿が、なんだかとても美しく、今思えば、その時点で僕はもう買うことを決めたように思う。

 試乗できるというので、早速乗ってみた。

 神戸の街を走りながら、久しぶりに感じる自転車特有の風に、心のささくれを全て吹き飛ばしてもらったような気持ちになって、店に戻るなり僕は、まさか「これください」と言った。入店してから15分も経っていなかったと思う。

 人であれ、モノであれ、出会いとはそういうものだと言ってしまえば、それまでだけど、きっと僕のなかで蓄積された何かがあったんだと思う。自分の本当の気持ちなんてものは、こういう衝動的な瞬間に一番露わになるものだ。

◉BROMPTONの何がいいのか

 先日、キャッチネットワークというケーブルテレビの会社に呼ばれて、愛知県刈谷市に行った話をここで書いたけど、実は、それもこのBROMPTONに乗って行った。

 まさかゲスト講師が自転車でやってくるとは思わなかっただろう。少し照れながらチャリンコで会社までやってきた僕を見て、社員さんが目を丸くしていた。

 とはいえもちろん、神戸から愛知まで自転車を漕いでいったわけじゃない。BROMPTONの凄さは、慣れれば10秒でたためる折りたたみ機構の素晴らしさにある。これがもうはっきりいって完璧なのだ。なので、最寄りの駅までは輪行バッグに入れて、電車を降りて自転車に乗り換えた。その出し入れが、まったく苦にならないほど簡単。

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↑この状態から乗れるようにするのも逆にたたむのも20秒位でできちゃう。

 実はこれまでも事務所用の折りたたみ自転車を購入したりしていたんだけれど、安価なそれは、買って以降、一度も折りたたむことがなかった。だけどBROMPTONは違う。絶対にたたむ。しょっちゅうたたむ。それはなぜか? とにかくたたむアクションが気持ちいいというのはあるけれど、それより何より、BROMPTONが高いからだ

 一台20万はするBROMPTON。僕みたいな庶民にとって、本来ふらりと立ち寄って、サクっと買う代物じゃない。しかし、その価格に見合う頑丈さと美しき機能性がBROMPTONにはある。それ相応の価格だということは、体感すれば誰でもすぐわかるはずだ。そんなBROMPTONゆえ、街中に置いて盗難を気にするぐらいなら、サッとたたんで店内に持ち込んだ方がいい。それがBROMPTON。だからロードバイクのように頑丈で重たい鍵を買う必要なんてない。

↑僕が使っているとてもコンパクトなワイヤーキー。まじこれで十分

 旅が多い僕は普段からスーツケースを持ち歩くことが多い。そんなときに飲食店に入ると入り口あたりでスーツケースを置かせてもらったりするけど、あの要領でBROMPTONも店の隅っこに置いてもらえばそれでいい。例えば僕はよく神戸のMUJI cafeでランチを食べるけど、サッとたたんだBROMPTONを輪行バッグに丸っと入れてお店の隅に置いて食事している。あ、もちろん家では折りたたんで玄関に置いてる。盗難の心配はゼロだ。

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↑オイラのお気に入り輪行バッグ。下部が開くので転がして運ぶことも可。

 ちなみにBROMPTONはこんな小径なのに、結構なスピードが出る。気づけば高級ロードバイクと並走していることだって多々あるから、ほんとどういう機構になってるんだろう? と不思議に思うくらい。

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 なのにBROMPTONは、スピード出る自転車が来たぞー!的威圧感がまったくない。すなわち、自転車道が整備されきっていない日本の道で、歩道を走っても(もちろん安全に気をつけながら)、歩行者から嫌な顔をされることはまずない。あまり大きな声で言えないかもだけど、これって、かなり大きなポイントだと思う。だって車ビュンビュンな国道がいくら怖くても、ガチのロードバイクは車道を走ってくれよって思うけど、BROMPTONなら、威圧感がママチャリ以下だから、そんな風に思われない。ほんと最高の乗り物だ。 

◉BROMPTON初飛行

 実際僕は、この子に出会ってから、生活がガチで変わった。車だすのも面倒だけど、歩いていくには遠い。そんな中間域を埋めてくれるBROMPTONのおかげで、マイサウナは増えるし、原稿書く用のカフェも増えた。僕はいま、住んでる町がどんどん好きになってる。

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↑ちなみに先述の愛知県刈谷市の講演にBROMPTONで行ったのも、前乗りして隣町、知立にある「サウナイーグル」に行きたかったから。水温7.8度でバキバキにキマった。か・ら.の、講演&WSなんで、自分で言うのもなんだけどキレッキレだったよ。

 それに、雨降ってきたーとか、疲れたーってなれば、サッとたたんで輪行して電車で帰るとかも可能。僕は、朝勢いよく飛び出して、ちょっと遠いショッピングモールのカフェにこもって原稿書いて、帰りは夕ご飯の買い物がてら、車でやってきた奥さんにピックアップしてもらったりしてる。気分や環境の変化で、乗ったり、持ったりが自由ってほんと便利だ。

 で、実は昨日、はじめて飛行機にマイBROMPTONを乗せて自宅の兵庫県から秋田入りしてみた。

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↑伊丹空港→秋田空港(追加料金もなく預けるのも超スムーズだった)

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↑無事に荷物受取完了。ベルトコンベアで運ばれるのではなく別で係の人が持ってきてくれた。

 いつもは、のんびり秋田チームのヤブちゃんが車で迎えに来てくれるんだけど、祝日だし、ゆっくりしてもらって、今回は空港からホテルのある秋田駅近くまでBROMPTONで走ってみることに。

 と、その前に輪行袋に入れられたBROMPTONを袋から出して、乗車準備。わかりやすく連続写真で↓

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↑輪行バッグは、くるくる巻いてサドル後ろのバッグに入れる。

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ここからサササっと組み立て。まずはサドルを上げて…

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ハンドルをトンっと立てて…

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次に前輪を起こして…

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最後に後輪をポンっと跳ねあげれば…

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はい、完成!

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↑ちなみにオイラはこのハンドルバッグにスマホのバッテリーを入れて

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シリコン製のスマホホルダーにiPhoneセットして、目的地を設定。そのiPhoneで写真撮影してるから、セットされてる写真はないけども。

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↑ここにiPhoneがセットされるってことね。

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 ふむふむ秋田駅まで徒歩なら4時間。慣れない道だし、チャリンコだとまあその半分くらいで着けるかな? さあ出発だ!

◉走ってみたから、わかったこと。

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藤本智士(Re:S)

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ラッキーカラーはブラウン!
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編集者。1974年兵庫県在住。『Re:S』『のんびり』編集長。著書に『風と土の秋田』『ほんとうのニッポンに出会う旅』共にリトルモア、『魔法をかける編集』インプレス。『ニッポンの嵐』『るろうにほん 熊本へ』など手掛けた書籍多数。
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