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読書記録 ルーズヴェルト・ゲーム、麦本三歩の好きなもの

ルーズヴェルト・ゲーム 池井戸潤 9/30読了

本屋で見かけ、プロ野球のコミュニティで何度か聞いたことあったなと思い購入。
8-7のスコアがルーズヴェルト・ゲームという事は知っていたが、具体的にどんな物語かは知らなかった。
社会人野球が舞台だ。傾きかけた会社と野球部、それを取り巻く社員達。
いけ好かないライバルチームを倒すためにチームメイト一丸となって戦っていく、といった所まではよくあるスポ根ドラマ的展開だが、本小説ではそこよりもビジネスに重点が置かれている様に感じた。

リーマンショックが背景にありとにかく会社が経営難なので、野球部の存続すら危ぶまれている状態。
社内も、野球好きの社員もいれば野球部をなくそうとする社員もおり、一枚岩ではない。さらには会社を乗っ取ろうと画策する者もいたり、銀行は融資打ち切りをほのめかす始末。
止む無くリストラを決行していく展開は、リーマンショック当時の暗雲さを匂わせる。

そんなどうしようもない逆境だからこそ、終盤で魅せてくれる大逆転劇はなかなか胸が熱くなった。スポーツでもビジネスでも逆転劇はとても熱い。
ネットで見かけたが、逆転劇は池井戸小説の大きな見どころの一つだそうだ。ひと昔前に大ブームとなった半沢直樹は、まさにその代表作だろう。実は見たことがないので近いうちに手を出したい。

また、胸のすくようなガツンとした文章表現も多い。
リストラを迫る銀行に対して、数字ばかりで人を人とも思わない銀行屋とバッサリ斬ってたのは痛快だった。。笑

麦本三歩の好きなもの 住野よる 9/30読了

本屋で表紙が可愛いなと思って購入。
大学図書館勤務の若い女の子の日常生活が舞台で、表紙通りのほのぼのとした展開が続いていく。
主人公の麦本三歩は天然を通り越して”ド天然”。そして人付き合いがあまり上手くない。そんな彼女と彼女を取り巻く人々が平和に描かれている。忙しい日常に疲れた時にふっと手にとるのも良いかもしれない。

ただ、一般的な小説と比べると文章にとても癖がある。主人公の三歩の心の声がそのままほわ~っと漏れ出ていってる感じ。何も情報もなしに読んでみると、人によっては「なんじゃこりゃ」と思うかもしれない。私も読み初めの時はラノベかエッセイっぽいなと感じた。

また、三歩の天真爛漫さが可愛いなと思えるかどうかも評価の分かれ目かなと。
無邪気だったり天然な人を見て、ひたすらイライラしてしまうタイプの人には多分合わない。
実際、私も結構スレた人間だと思っているので、三歩は”天然で何事も切り抜けてそう”とか”天然で男転がしまくりそう”という印象を少なからず抱いた 笑

ただそれでも、ひたすらに日常生活を楽しんでいる三歩の姿は癒やされるし、無意味なことも大切にするというスタンスはとても共感を覚えた。
何事も意味ばかり求められ、疲れ切ってしまった人に勧める一冊。
スイーツや温かい飲み物と一緒に是非どうぞ。


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