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分岐点

「実感湧かないわ」

もうじき留学のため、日本を発つ同期が言う


「大丈夫なんかなぁ、不安やぁ」

来春からワーキングホリデーに行くらしいもうひとりの同期が言う


「この選択が正しいのか、怖いよ。茨の道だし」

大学院に進学したい私が言う


わたしたち、今きっと分岐点にいるんだね



新しい生活にワクワクして、不慣れなパソコンの使い方に苦戦して、機械系に強い友人が神様みたいに思えたあの時

今だったら「ありえない」と糾弾し得るような、教授の理不尽な態度も全部全部素直に聞いて、ノートを取ってたあの時

寮の部屋に集まって、夜な夜な語らっていたあの時

一連の恋愛、盗み聞きされて何故か全部把握されてたあの時



あの頃のわたしたちは、怖いものなんかきっと何もなかった



ところがどうだ、もう21歳だ

お酒だって飲める。あれだけ嫌っていた煙草の匂いにも慣れてしまった。深夜の駅前で、道路の真ん中を友人と肩を組みながら歩くことだってできる。女の子はみんなちょっとずつお化粧が上手くなって自分に似合う服を見つけて、男の子は少しだけ肌が綺麗になって丸くなった(性格の話)。気がする。
「披露宴、絶対呼んでよね」という声かけが、現実味を帯びてきた。なんなら「友人代表スピーチは誰にしようか」という話までできる。



あの頃の自分は世界を憎んでいたし、自分以外の人間なんてこれっぽっちも信用していなかった。ほんとだよ。人からもらう食べ物、全部毒が入ってるんじゃないかって恐る恐る食べてた。学生団体は全部詐欺だって思ってた。これは私が浅はかだったね。もっと簡単に、人を信じれば良かった。

(今だって世界をまったく憎んでいないわけではない。現に、私の研究における最大の動機は現代社会への憤りだ。憤りを消化するために、院に行くよ。)



でもさ、それも全部過去になってしまったの

19歳の時のわたしたちを振り返って、懐かしむことが増えたよ



19歳の自分よ、私ってずっと不安だったよね
もちろん今も、将来が不安なのは変わらないよ

でもね、あの頃には想像もつかなかった未来が待ってるよ。

夢が見つかったり、大切な友人ができたり、居場所が見つかったり、憧れの人と話せたり。もちろん紆余曲折して絶望もしたけど、今もこうしてなんだかんだ生きてるよ。



だから、あの頃の不安な私へ。大丈夫だよ。

今の、不安な私へ。きっと大丈夫だよ。



わたしたち、今きっと分岐点に立ってる

それぞれの道をまっすぐ歩いて、またいつか歩いてきた道を懐かしもうね。ぜったいね。




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でもさぁ!正直自分の進路選択になんて自信が持てないし、ずっと不安だよね。
周りの友人がどんどん海外に出て行く中で、ひとり日本に残って日本の社会問題に向き合い続けるの。不安だよ。
国内の大学院に行きたいのもなんだか自信が持てなくて、「海外の大学院も良いかもですね」って職員さんには言ってしまうし。そもそも自分が研究に向いてるのかどうかもわかんないし!
それでも、自分を信じるしかないですね。はい〜。

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