ヒトからヒトへ、長く着ていただく仕組みへの挑戦。そして新たな層とのタッチポイントを創出する公式リユースプロジェクト。
株式会社TSIホールディングス
MARGARET HOWELL(マーガレット・ハウエル)様 事例記事
公式リユースを始めた理由や価値を、プロジェクト責任者の山本様、メイン担当者の菊地様にお話しを伺いました。
公式リユースを始めた理由
運営ノウハウの懸念が解消し、ブランドフィロソフィーを体現する施策として挑戦がスタート。
ーー公式リユースを知り、検討し始めたのはいつ頃でしたか?
ベースにあるのは、ブランドのフィロソフィーです。ブランドを立ち上げた本人であるマーガレット・ハウエル氏自身が、ものを捨てることを好まない方だったので、ブランドとしてのものづくりの本質は「長く着れる服をつくる」ことでした。そういう意味では、「MHビンテージ(仮称)のような形で公式リユースにトライしたいね」という話はずっとあったんです。コロナ禍もあり、世の中の状況も変わって本格的に進めたいと思うようになりました。
ーーかなり具体的に検討が進んでいたんですね。そのとき実現に至らなかったのはどうしてだったのですか?
運営ノウハウと人員の問題で行き詰まりました。
いざ、トライアル実施について具体的に検討していくと、どうすれば商品を収集できるのか、どのお客様から、何点収集すればよいだろうか、という感覚がわからなかったんです。また、商品が集まったとして、どのように検品して、どうリユース販売価格を決めて、というやり方もわからない。
そうなると、社内にやりきれる人がいないですし、新たに専属で人を雇うイメージでもない。
その状態で無理にトライアルしてリユース商品の品質に問題が出ては行う意味が無いですし、実現は中々難しいなと、ペンディングしていたんです。
ーーそうだったんですね。今回、まだ世の中に公式リユースの事例が少ない中、このタイミングで公式リユース実施を意思決定していただけたのは、どうしてだったのですか?
同じグループのPEARLY GATES(パーリーゲイツ)が公式リユースを始めたのを見て「やれるんだ」と思いました。すぐPEARLY GATESのリユース責任者に話を聞きにいって、Free Standardさんを紹介してもらいました。
実際にFree Standardさんの話を聞いて、「自分たちがつまづいていた部分をほぼ全てやってくれるんだな」と感じられたのが大きかったです。いきなり常設店舗ではなく、オンラインでPOPUPを実施するということで、問題なく実現できる見通しが立ちました。
それに、ブランド価値を表現できるツールにもなるというイメージもわいていましたし、今までトライしたことがないプロジェクトに挑戦して、どうなるかを試したかったので、公式リユースを始めることを決めました。
ーーちなみに、始めるにあたっての懸念点や心配事項はありましたか?
実はそんなに無かったんですよね。あえて言えば検品クオリティでしょうか。マーガレット・ハウエルはデリケートな素材を使った商品も多いので、検品基準についてはどのように目線を合わせていけるだろうか、とは思いました。
ただ、これはやってみなければ分からないことです。多少の心配はあれど、とにかくやりたかった。始めたいと思ってもこれまで中々検討を進められていなかった新しい取り組みなので、挑戦したいという気持ちを第一に、進めることを決めました。
ーーなるほど。会社によっては社内から賛否両論が出てスタートが遅れるというケースも多いですが、社内の反応はどのようなものでしたか?
思ったより否定的な意見は出なかったですね。
普段、新しい挑戦をする際は「どのくらいの利益がでるのか」と詳細に問われますが、「公式リユースはマーケティング施策であり、ブランドのフィロソフィーを体現してもらえるツールとなって、将来のお客様を育てるものになる」と話したら賛同してくれました。
PEARLY GATESがRetailorを導入して公式リユースを行っていたことも安心感につながりましたし、世の中を見てもJ.M. WESTON(ジェイエムウエストン)さんのように上質な商品を提供するブランドがリユースを行っている事例も社内で共有していたので、経営陣もリユースの可能性を検討していたのかもしれません。
マーガレット・ハウエルはイギリスのブランドなので、本国にも話を通しましたが、本国の反応はとても良かったです。ブランドマネージャーと話していて「その取り組み、イギリスでもやりたい!」「でもどうやったら出来るんだ?」「全部サポートしてくれる会社があるんだね。」など、強い興味を持って質問攻めにあいました。やはりブランドのフィロソフィーを体現するプロジェクトであることが大きく、「MH RESELL」という名称もロゴも本国が提案してくれる位、共感してもらうことができました。
公式リユースの価値
物価高騰や若者の消費行動が変わりゆく中で、ブランドとの接点を作る。
ーーありがとうございます。公式リユースに期待する効果や価値はどのようなものですか?
「ブランドとの接点を作る」ということです。
マーガレット・ハウエルは、ブランドとして50年以上歴史を積み重ねてきました。世界情勢を見れば物価高が進んでおり、自分たちの商品価格も高くなっていきます。それでも変わらず品質を追求し、適切なブランディングを行っていくと、中々買えないお客様も増えてきてはいます。でも、公式リユースでは、たとえ誰かが使用した中古品だとしてもクオリティが高ければ、新たなユーザーがブランドをトライアルできる場所となります。
若い方の消費行動も変化しているので、そこに合わせて公式リユースというチャネルを提供できれば、支持されていくと思います。
プロジェクトの効果
3ヶ月で7割以上を消化し、購入者の約8割が「新規ユーザー」「ライトユーザー」であった。
ーーこれまでのプロジェクトを振り返っていかがでしたか?
MH RESELL(エムエイチリセル)リリースに向けてカスタマーサクセスのフォローアップを頂きましたが、Retailorのシステム、ベースとしてのノウハウがあるので、ブランドの情報・データを渡すだけでスキームを組んでくれてとても進めやすかったです。私たちはリユースをやったことがないので、全体像というか、販売スタートまでのイメージを示した上でプロジェクトをコントロールしてくれたことが一番助かりました。
リリース後の売れ行きはイメージ通りでした。メディア告知もして面白い取り組みだったので、皆さん興味を持ってくれたと思います。店舗でも、お客様から「面白い取り組みを始めたんですね」「マーガレット・ハウエルはこういうSDGSにも取り組むんですね」という声も頂くことができました。まずは3ヶ月で7割以上消化できたので一安心です。(編集部注:購入者を分析したところ、購入者の約8割が「新規ユーザー」「ライトユーザー」であったことも判明した。)ただ、スタートしたばかりの取り組みで認知度はまだまだ低いので、本当の意味で機能していくのはこれからだと思います。
ーーブランドビジネスにおける公式リユースの意義や、今後、MH RESELLをどのような存在にしていきたいか、教えてください。
公式リユースは、ブランドを永続的に続けていくための重要な存在だと思っています。
ブランドとしては、商品を売って終わりではなく、循環していてほしいんです。循環してるということは洋服が生きていってくれているということ。一般的にブランドというものは10年以内に消えていくケースがほとんどです。一方的に新しいものを作って届けるだけではなく、循環させていくことでブランドがずっと生きていく。そんな取り組みだと思います。
今後については、MH RESELLをPOPUPではなく常にある存在にしたいですね。ブランドとして、新品の新しいコレクションは今後もずっと発表していきます。公式リユースはそのすぐ隣にいて、着なくなったら戻ってくる場所です。ブランドの受け皿をしっかり持っているのは、お客様に対して、本当に良いものを作っているというメッセージ、証明にもなります。
「継続していく=ブランドとして成り立っている」状態です。しっかり事業としての力も強化して、育てていきたいですね。
マーガレット・ハウエルのリユースサイトはこちら
◆「リ・ライク」公式サイト:https://freestandard.co.jp/re-like
◆リコマースサービス「リテーラー」:https://freestandard.co.jp/retailor
◆フリースタンダード株式会社:https://freestandard.co.jp/
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