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上腕骨頭周辺の痛みや肩関節の動きを改善させるひとつの方法。 ※動画付き

リハビリにあたっているお客様のなかで上腕骨頭周辺に痛みを抱えていた人がいました。

この方、何年か前に上腕近位を骨折したそうで、整形外科でリハビリを受けたものの、それ以来肩(腕)が疲れやすくなり、動かすと痛みも出るようになったそうです。

その話を聞いてひとつ思い浮かんだのは、ストレイン・カウンターストレインの理論的背景でもあるγ運動神経の異常な興奮(1)があるのではないかということ。

または、筋の過剰緊張による局所循環の低下による発痛物質の蓄積などが考えられました。

そこでひとまずポジショナルリリースを行ってみたものの、どうやらあまり反応がよくありません。

そこでそれに加えて、普段私が肩関節の動きを瞬時に変化させるある方法を組み合わせることにしました。

それは、母指と示指の間の結合組織、つまり「水かき」を指で擦るという方法です。

これがなぜ肩関節の動きを瞬時に変化させるのか、これに確固たるエビデンスがあるわけではありませんが、母指の良好なアライメントが上腕骨頭の良好な肢位を提供することがエコーを用いた検証によって分かっています。(2)

さらに母指と示指間の水かきがROM制限を招き、それによって母指の動作が阻害される要因になることも分かっています。(3)

少し突飛な発想かもしれませんが、その水かきに対して素早い摩擦刺激を与えることで、水かきの滑走性が改善し母指アライメントを改善させ上腕骨頭アライメントを良好なものに変化させることが出来るのでは、と思いました。

なぜ素早い摩擦刺激なのかというと水かきは皮膚ですから、皮膚(真皮)組織にある触圧覚受容器に対して刺激を与えること、更に軽擦刺激によって皮膚そのものの動きを改善させるということを目的としています。

これを行うと、肩関節(肩甲上腕関節)の動きが短期的ではありますが改善されます。

方法は簡単で、単純に自身の母指と示指で対象者の水かきを軽くつまみ、擦るだけです。

1分間ほど行います。その際に片方の手で対象者の親指を軽度外転位に保持しておくと良いでしょう。

話は戻りますが、そのお客様に対してその「水かきアプローチ」を行ったところ、たったそれ1回で数年悩まされてきた痛みを改善することができました。

これまでたくさんの方に水かきアプローチを行ってますが、肩周辺筋の緊張の軽減、ROMの改善、疼痛改善に役立つようです。

皆さんもぜひやってみてください。
パートナーがいる場合にはパートナーに、自分でやっても肩の軽さを感じることができますよ。

※必ずしも効果が出るわけではないことはご了承ください。

↓動画リンクを貼っておきます↓
https://youtu.be/8lCX938_Hvo
https://youtu.be/Qlp_AZr3ors

参考
(1)ロレンス H.ジョーンズ , ランダル・クスノセ, エドワード・ゲーリング共著(1995)スカイイースト社 『Dr.ジョーンズのストレイン-カウンターストレイン』
(2)福井勉 編 (2012) HUMAN PRESS 『ブラッシュアップ理学療法』
(3)Carlal A. Oatis著 山﨑敦・佐藤俊輔・白星伸一・藤川孝満監訳(2014) ラウンドフラット社『オーチスのキネシオロジー 身体運動の力学と病態力学 原著第二版』

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