大人になるって
私はもうすぐ30歳になる。
30と言えば完全に「大人」のイメージだった。
まぁ、本音を言えば
「おばさん」と呼ばれる日までの
スタートを切るような。
ちょっと失礼なイメージもあった。
そして、そんな失礼な自分が
実際に20代ラストスパートに
立ってみて。思う。
「案外こんな感じ?」
私はまだまだ子供だし、ハタチには負けないくらいの無邪気さはある。ほうれい線もあるからぜんぜん29歳なんだけど。
なんか、全然こども。予想外。
つまりは、
「案外こんな感じ?」に
ホッとしたり、ワクワクしたりしてる。
大人になる とは、?
2/18
レイ(4歳息子)の発表会だった。
ダンスと楽器、合唱。
毎年のように成長を見せてくれる彼は
大体、ステージの真ん中。
今年もちょっと誇らし気だった。
ステージショーは得意分野なんだね。
母に感動をありがとうね。
発表会といえば、子供の様子は様々で
レイは、まじめだったと思うし
単純に楽しんでいた。
ある子は、
曲のリズムなど完全無視だ。
タンバリン全開。
バリンバリン全開。
ハッピーオーラ全開。
こちらも笑顔こぼれる。
ある子は、
ステージ上にあぐらをかいて座っていた。
「早く終われ」と言わんばかりに
鼻くそをほじっていて
それはそれでアリだった。
ある子は、
「にんげんていいな」の歌を
存在しないはずの3番まで歌ってしまった。
自分のミスに
照れくさそうに笑ったその笑顔が
最高にキュートだった。
そして、
私が気になった女の子は、ひとり
ステージの端の方で
最初から最後まで、突っ立っていた。
笑いもせず、泣きもせず、やや放心。
私の知る彼女は、人懐こい笑顔で
いつも挨拶をくれる暖かさのあるタイプだった。だからまぁ、なんとなく彼女の中で思うことがあったのだろう。そんな風に思っていた。
そんなこんなで十人十色の発表は無事終わり、奥の部屋から子供達が一斉にでてきた。
母を見つけて走ってくるレイ。
胸に飛び込んできたレイを抱きしめてから
聞いた。
「がんばったね!緊張した?」
すると、レイは
「きんちょん したよ!普通くらい!」
と、ナイスな返答。
そして、そんな私達のすぐ隣では
放心で突っ立っていたあの彼女が
母親に抱きしめられていたのだ。
ふと見ると、
彼女は見たこともないくらい
顔を真っ赤にして
糸が切れたようにポロポロと
涙を落とし始めた.
母親である女性は、「頑張ったね」と。
同情でも、励ましでもない
暖かく小さな声で
彼女を強く抱きしめ続けた。
その瞬間が今日のハイライトだったのだ。
なぜかって?
子供というのは、想像以上に
過酷な世界で生きている。
生まれた家庭や、生まれた土地によって
住む環境が決まってしまう。
経済力もなければ、自由もない。
毎日向かうべき、居場所が決まる。
苦手でも、早起きしろ。
苦手でも、ドッジボールをやれ。
苦手でも、算数をやれ。
苦手でも、友達と手を繋ぐんだ。
実際、その場では
苦しい以外、何も感じないだろう。
苦しさ以外のものに気づくのは、
少し後のことなんだ。
数日後かもしれないし
数年後、いや、数十年後かもしれない。
ただ、そんな子供達のように
やりたくないことや、苦手なことを
経験するたびに人は成長するでしょ?
だから、今日
笑顔で踊りきったレイと同じくらい。
突っ立っていた
彼女の涙には意味があったんだ。
私はそう思うから。
胸に込み上げた。
今日もひとつ彼女に学びをもらった。
そして、彼女だけじゃない。
人にはいつか
「あの時の、あの経験があってこそ
今の私がいるんだ」
そう。
そう思える日が来る。
そんな瞬間こそ
「大人になる瞬間」なのかもしれないね。
私は、。
今の私は、そんな風に思えるようになって
それなりに30歳を迎えるのだろう。
だから、今日の彼女に負けないように。
私は30代になってからも、
「苦手」に挑み続けていくよ。
大人になるってそういうこと。
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